2015年1月13日(火)7:00pm サントリー
ドヴォルザーク チェロ協奏曲 17′13′13′
チェロ、堤剛
(enocre)
バッハ/無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV 1009よりブーレ 5′
Int
ベートーヴェン 交響曲第7番 16′7′8′8′(1mvt提示部リピートあり)
阪哲朗 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団
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この指揮者を見るのは20年ぶりぐらいです。その時はN響を振ったのですが、新人で何とかの賞を取った後だったとはいえ、秋のシーズン初日に持ってくる指揮者ではなく、内容的にも散々だったのでよく覚えております。
それがこうやって容姿も指揮ぶりも内容もまるで変ってしまった姿を見るにつけ、並大抵の努力ではなかったのだろうと推測するのを押しとどめるのは何もない。
誰の棒にも似ていないインディーズ系の振り姿は、なぜか右腕メイン。左手はぶら下がったまま時折動くだけ。リハーサルでやりつくしたことを本番でうまく出ていると感じているからでしょうか。まぁ、余裕の棒で、変われば変わるものですね。激変です。
それから、日本人の他の指揮者にやたらみられるような、ニヤケ笑がほぼ無い。その指揮は好感もてますね。ストイックな感じはあまりありませんが集中していく姿はいいものです。
オケピットでだいぶ鍛えられたこの20年だったように感じられました。オペラで経験積むと恐いものが無くなるんですねきっと。
オーケストラ全体をかなり前に配置。ギリギリ指揮台があって、コンマスに届きそうな感じ。ひな壇の最後壇は空いている。手前は混雑気味。凝縮した面白い配置でサウンドも密になっている。
収録マイクもなんだかとっても多い。可視で宙吊り13本、床上4本。チェロ用1本。
プログラムはオーソドックスなもの。
後半のベートーヴェンは奇を衒うことの全くない王道の棒。やりつくされた曲を王道の解釈でできてはじめていろいろな表現にトライしたときに説得力をもつのです。それがわからずいじくりまわせば変態の解釈となります。少なからずそういう指揮者はおります。数をたくさん聴いている聴衆は見透かしていますよきっと。
ということで、阪さんの棒はそのような軽薄なものではないということがよくわかりました。
トランペットのアタックの決まり具合が印象に残りました。それから森のような弦の響きに、自ら森の中に入りつつ鬱蒼とした中で光が上から直線的に舞い降り、聴衆に音の森林浴をさせてくれた、見事な演奏であったと思います。
おわり