2015年1月10日(土)6:00pm NHKホール
フォーレ 組曲「ペレアスとメリザンド」5′2′5′4′
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第3番 10′10′10′
ピアノ、アレクサンダー・ガヴリリュク
(enocre)
ショパン 12の練習曲op.25から第7曲嬰ハ短調 5′
Int
ベートーヴェン 交響曲第5番 6′9′5′10′
ジャナンドレア・ノセダ 指揮 NHK交響楽団
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見た目はロボコップ、芸風はトスカニーニ。
そんな感じがぴったりのノセダの風を切る顔つきと凄まじい演奏。
ノセダの演奏会やCDは結構な数をこなしています。昔はジャンプはかなり上まで到達しましたが、今でも激しいとはいえ、だいぶ低くなりました。棒は相変わらずの卓球で言うところのフォアのロングを一人でやっている感じ。タイミングはゲルギエフと似たりよったりで、ボーと見ていると、なんでこんなにずれて音が出てくるのかな、1拍半遅れだよね、となってしまう。ゲルギエフと会う前からあのような棒だったと思います。
プログラム後半の運命は激しい猛速で草木をなぎ倒すような演奏でした。第3楽章の冒頭、やり直しがありました、ベースの入りが決まらなかったのですかね。妙な3拍子とあの棒ですから、N響は何度もノセダと共演しているが克服するにはもっと回数を重ねるべきなのかもしれない。
冒頭の運命の扉叩きの4個目の伸ばし音、ノセダのタイミングだとあの音、2回振る。1回目は腕で、2回目は両肩で、そこで初めて音が出てくる。あの呼吸ですね。N響だとしっくり決まるところは決まる。
いずれにしても最初から最後まで激しい音楽が鳴り響きました。彼の振るイタオペは引き締まったものではあるのですが、この日の運命のような過激なものではないと思います。圧巻の演奏でした。イタリアの猛士ですね。
終楽章提示部繰り返しあり。
前半のガヴリリュク、お初で聴きました。1984年生まれとあるからまだ30歳といいつつ、激しく活躍しているようです。プレイは激しいというより切れ味鋭い。あまりにも鋭いので激しく見えてくるといったところか。
プロコフィエフ作品独特の線の細さや奇妙な動きがガラス張りのようなタッチで弾き込まれていく様は圧巻ですね。オケ伴奏がどんどん押していって、しまいにはオケが先かピアノが先かの状態になる、ノセダも煽る煽る。このように音楽におけるヒート感やカタルシス的なもの、生まれるべくして生まれる、音楽の再生というより生成、創造、生き生きとしている。このようなものを求めている自分。本当に満足の一夜でした。
ピアノであれなんであれリサイタルにはほぼ出かけないのですが、ちょっと行ってみようかなという気になりました。
最初のフォーレ、ノセダのフォーレ。なんでこの選曲なのだろうと思いながら少しうたた寝。
おわり