2017年10月14日(土) 6:00pm NHKホール
モーツァルト イドメネオ 序曲 4
ベルク ヴァイオリン協奏曲 11-17
ヴァイオリン、クララ・ジュミ・カン
Int
モーツァルト 皇帝ティートの慈悲 序曲 5
ベルク ルル スイート 5-11、4、4、3、6-3
ソプラノ、モイツァ・エルトマン
下野竜也 指揮 NHK交響楽団
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プログラムは作曲家だけ見れば前半後半ミラー。ベルクだと客が入るかどうかわからないし、プログラムにも創意工夫がいるのだろうと思うが、そんなにほめられビルディングではない。色々とこじつければそれなりに意味のあるものかもしれないが、直感のほうがポイントですよ。
ソリストが二人というあたりに苦労がにじみ出ている。
イドメネオの第1音、清涼感あるもので、このバカでかいホールでこのようなサウンドを響かせることが出来るのはこのオケだけだろうなと最初から妙な感慨にふける。
フィリップ・カンの娘さんのジュミ・カンは一度聴いてます。
2003- ブラームス、Vn協、クララ=ジュミ・カン、Sym1、ヘンヒェン、新日フィル、2015.10.25
今日はベルクもの。大柄で弾きの強い印象があったのだがベルクものに繊細さに心砕いたのかもしれない。
この作品はあまり好みではなくて、それでも興味はあるので実演には積極的に参加。
ひとつの進行の中に同じ(高さの)音の存在を多く感じる時があり、その瞬間、こちらの気持ちが揺らぐ。ハーモニーのせいだろうか。凝縮と昇華が圧倒的だとは思うものの。
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ルルは昔メトで観た。記憶によるとフランツ・マツーラがゴル博士役で、第1幕第1場に登場し心臓発作でいきなり死んでしまい役どころ終了で客が大爆笑。というのも同じ時期にパルジファルのクリングゾルで出演していたため、あまりのキャラ違いに大爆笑と。笑うところかという話もあるがメトではたまにこういったことがありますね。カヴァレリア・ルスティカーナの大詰めのところでトゥリドゥが、マ~ム、と歌うところあすこも同じく笑いが入ったものだ。内容の深刻さとは別のところで笑いが入っちまうのは毎日流れていく音楽シーンや生活様式など色々と触れる空気というものがあるから。
ということで、ルルは組曲でなくオペラで観るもので、音だけ取れば難解、観れば少し違うもの、そういう話であるので、組曲だけだとイメージをつかむのは困難だと思う。
プログラム解説にある第1曲ロンドは、第2幕の第1,2場という二つのシーンから成る。下野もきっちりポーズし分けて振りました。
第5曲は組曲オリジナル。歌は第3曲のルル,第5曲の令嬢。こちらは短い。シーンをイメージしながら聴きました。
ソリストはシリアスな表現が見事。下野の棒は高速運転のところはテンポをドンドン絞めていく。緊張感に富んだもので研ぎ澄まされたベルクの音楽の切迫感を見事に表現していました。
おわり