河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1490- ベートーヴェン7番、ブラームス1番、ミヒャエル・ザンデルリンク、ドレスデン・フィルハーモ

2013-06-25 22:16:59 | インポート

2012-2013シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから
2012-2013シーズン
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2013年6月25日(火)7:00pm
サントリーホール
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ベートーヴェン 交響曲第7番
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ブラームス 交響曲第1番
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(アンコール)
ブラームス ハンガリアン・ダンス第5番
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ミヒャエル・ザンデルリンク 指揮
ドレスデン・フィルハーモニー
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プログラム前半にベト7を持ってくるあたり、後半はさらに上を行くプログラムという意気込みを強く感じさせるこの日のコンサート。ベト7の気張りがブラ1では消え、滑らかな弦に埋もれた素晴らしい演奏となりました。
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ドレスデンと言えば、ドレスデン国立歌劇場のイメージが強く、フィルハーモニーのほうは個人的にはないがしろ状態に近いものがあった。
しかし、今回の来日公演、500円のプログラムパンフによると、9回公演で、プログラムはなんと、
ベト5,6,7、皇帝、エグモント、ブラ1、メンコン
定番とはいえ、技術力を突き抜けた何かが無いとこんなラインナップでうならすのは大変だろう、特にツアー先が日本だし。
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劈頭(ヘキトウ)から7番。ノリとかインストゥルメントの余熱具合とかいろいろあると思うが、オーケストラがちょっと気張り気味。7番では粒立ちの良さが欲しいが、スタッカートが泡立ちせず、ウキウキ感やすっきり爽快感があまり感じられない。かなり気張って音を出している。「後半のプログラムを考えて抑えていた」の真逆であったような気がします。張りきり過ぎ。でも、エグモントとかを頭に置くことなくいきなり7番からはじめる、神経集中と気構え、そこは買いたい。序奏一音目の気概を買います。もしかしてコンクール的緊張感がプレイヤーにも少し混ざっていたのかもしれない。
第1楽章のコーダはめくれるような付点音符のウィンド、ブラスの響きが欲しかった。そのままアタッカで第2楽章へ。この楽章は雨に濡れた石畳のペイヴメント、ときとして、その上を歩く人たちの悲しみの表情、これからに期待しよう。
ソナタ形式という概念をはずした時に、一体何が残るのか。第3楽章では響きの妙を楽しみたかった。ちょっと緩みましたね。
終楽章の快速テンポは、それまでの楽章の流れからいって少し違和感あり。無理やり興奮のるつぼに惹きこもうとする作為は指揮者のものであろう。オヤジならどう振っていただろうか。
でもまぁ、一旦このテンポに乗っかってしまえば、極度に速いというわけではないし、この楽章のなかだけの推移でいうとインテンポ的な流れの品性がある。(間違っても小躍り指揮ではない)
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ブラ1は前半とうって変わって、深い弦の森。滑らかでぶ厚い弦の響きが圧倒的。この塗りたくるような響きは明らかに指揮者の意図するところであると見える。スリムで大柄なミヒャエルが縦ではなく横に振りまくる。明白な弦の響きと言える。
指揮者自身、前半のベートーヴェンよりもこちらのブラームスの方が得意そうだというのは腕の運動と鳴り渡るオーケストラの響きの一体感からいっても明白。
ブラスのアタックが明確過ぎるきらいがあり、強奏部分でうまくブレンドしきらないもどかしさが少しあるものの、16型弦楽五部の圧倒的な厚みと流れ、この深い滑らかさそれ自体が音楽のドラマティックなものを自己表現するという状態にまで高められたと思います。
ブラームスが言う劇的な音楽とはこのようなもんだったのかもしれないと少し興奮。
長丁場の演奏でしたが、この深みのおかげであっという間の出来事に終わってしまいました。第1楽章の序奏からしてベートーヴェンとかなり異なっていたので、第2楽章はきっと素晴らしいに違いないと、案の定、瞬間に過ぎ去りました。よかったと思います。堪能できました。
第3楽章から終楽章への推移はもはや指揮者の自然棒のなせるわざと言え、全般に目障りさのない動きとともにまだぎこちなさが残るものの精一杯の音楽への愛情表現ということになるのだろう。
オーボエはソロ女性は前半でお仕事終わり、このブラ1では男性に交替。ホルンは4本に、ティンパニは下手から上手に位置替え、弦は対向から通常へ。
ということで、秀でたソロプレイヤーがいるのかどうかは知りませんがウィンドは手堅く、オーボエはツートップということなのかな、ホルンは小粒ながら音色が揃っている、特にこの曲の第4楽章では一つポイントになりますね。
ホルン含めたウィンドと弦楽五部は、コクがありうまくブレンドされている。
トランペットとトロンボーンが、パーンという感じで出てくるので、いわゆる深みが無い。譜面通りの出、ということになるわけですが、厚い弦に負けることなく、ではなくて、この深い弦を聴いてからおもむろに音が出てくる、そんな雰囲気が欲しい。そうゆう部分はありましたけれど、基本的に、この日は十分満足しました。
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アンコールでは久しぶりに聴くハンガリー舞曲第5番。ぶ厚さ加減はブラームスと同じで濃いものでしたが、この曲にかけるミヒャエルの濃厚棒。ベト7とブラ1の憂さ晴らしではないと思いますが、やたらと濃厚な味付けで、もろ作為を越えたような面白さがありました。舞曲における確信犯的な遊び心、ヘヴィーな曲2曲のあとなら軽く許せますね。
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演奏全部、堪能できました。ありがとうございます。
おわり


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