河童メソッド。極度の美化は滅亡をまねく。心にばい菌を。

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OCNから2014/12引越。タイトルや本文が途中で切れているものがあります。

1185- マーラー 交響曲第3番 ミュンフン・チュン N響2011.2.12

2011-02-16 00:22:28 | インポート

2010-2011シーズン聴いたコンサート観たオペラはこちらから。
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2011年2月12日(土)3:00pm
NHKホール
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マーラー 交響曲第3番
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アルト、藤村実穂子
女声合唱、新国立劇場合唱団
児童合唱、東京少年少女合唱隊
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ミュンフン・チュン 指揮
NHK交響楽団
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チュンの線をむき出しにした大胆な解釈が、アヴァンギャルドでブラスの割とクレイジーなサウンドの3番にベストマッチ。ブラスをはじめとする単旋律の強調、それぞれの線がアンサンブルというよりむしろ、ぶつけ合うような響きに新鮮な響きを感じ、これまでの第4楽章以降の方に主に引きずられてしまうような解釈ではなく、前半3楽章の魅力をこれほど感じたことはない。
タイミングはだいたいこんな感じ。
Ⅰ:33分
Ⅱ:10分
Ⅲ:15分
Ⅳ:10分
Ⅴ:4分
Ⅵ:24分
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第6楽章は声が欠落したまま厳かともいえる流れるような響きに圧倒されるわけだが、結末がこのような感じなのでどうしても正調派音楽のようなイメージなんだが、チュンのこの日の演奏では、前半第1,2,3楽章の響きが大胆で面白かった。
普通やらないようなスネアドラムの強調、コントラファゴットの異様なフォルテシモ、ベースのブイーンといった響き、しなる。フレーズの強調グリッサンド。
際どい単旋律のブラス、ウィンド、むき出しで強調させる。結果、アンサンブルが音のぶつけ合いになり独特の響きとなる。なにか非常に現代的で新鮮な響きとなる。
第1楽章は曲想があまりに膨らみすぎて、ついそれがソナタ形式であることさえ忘れさせてしまうような長丁場。チュンは弛緩することがなく大胆な表現でこの巨大な第1楽章のイメージをより現代方向に舵を取る。またオペラティックな棒の振り具合が素晴らしい。曲想に合わせて大振りと細かい振りを小節単位でめまぐるしく変える。このように曲想を意識した棒というのはオペラからの賜物であろう。非常に楽しめた第1楽章。
同じ方針の第2,3楽章も味わいがありコクがあり噛みしめて聴く。
第3楽章のポストホルンは少し音が小さすぎると思うのだが、これはチュンの指示ですね。納得ずくの棒でしたから。
ブラスの細かな瑕疵をごちゃごちゃ話したりしているツイッターもいるが、響きの大胆な面白さの前に、このようなことは耳くじらを立てるような話ではなく、議論に値しない。解釈から何を聴きとるかだ。
とはいえ、多数のトラが総動員された大規模オーケストラ編成で、少しの濁りは致しかたがないところがあるとはいえ、ミスがトップにあらわれてしまうというのは、非常な難曲であることを改めて思い知らされるし、彼らにしてみれば、何度でも完璧さを求めて挑みたくなるような曲であることに間違いはない。それだけ魅力的な曲だ。
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あと、第4楽章の藤村の気持ちの入れようは尋常ではなく超スローななか一時たりとも緩むことがない緊張の糸が張りつめた歌は素晴らしいの一語に尽きる。アタッカの第5楽章で合唱が入ったところで、聴衆から思わず安堵のようなため息が漏れた。
おわり

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