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華金の深夜、六本木通りと外苑東通りの交差点界隈は、真夜中2時だというのに、ものすごい喧騒だ。その源泉は日本人ではなく半分以上が外国人だったりする。それでも通りを一つ裏にはいると喧騒は嘘のように静かになる。なんだうわべの表通りだけ騒がしいだけじゃないかと思うのはちょっと甘い考えだ。人がいないのは建物の中にはいってお酒を飲んでいるからだ。横道、裏通りにはいろんなお店がある。六本木の多国籍人種さながらの多種なお店がある。道をそれてお店に吸い取られていく。店も人も多い。
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六本木の寿司屋は銀座なみに高いが、ハードリカーのバーはどこへ行っても大体同じような支払いだ。
銀座のバーは落ち着いたお店が多い。小さなバーでも小粋で秘めた自己主張を感じるお店たちがなかなか深い味わいを醸し出してくれる。
六本木はどうだろうか。いままでいろいろと徘徊して感じるのは意外にも、横のつながり、親戚、家族、男女、の関係である。客とスタッフの関係を言っているのではなく、スタッフだけの話です。つまりお店の人たちのことです。意外にもこのような関係で結ばれているというかつながりがあるというか、そのような人たちでやっているように見えるケースがわりと多い、多く見えるということです。
自然と空気感もそのような雰囲気になるわけで、若い連中がやっているお店が多い割には角があまりない。銀座と比べて良し悪しがどうのこうといっているわけではなく、このような雰囲気の違いがあるということ。
銀座のバーでお酒を飲んでも酔えないときがある。背筋を伸ばしてかっこつけて飲む酒もあるわけだ。肺腑をえぐるハードなリカーを飲んでも胃壁がきりっと張っているところに流し込む酒はいくら強くても内臓に沁みていかないのかもしれない。それでもそのようにお酒を飲みたいときもあったりする。
六本木のお酒はもっとフランクで自由度が高いかもしれない。自由度が高ければ敷居は低くなり良いものも悪いものも両方あるというわけだ。澱のあるローカスクから混ざりものを取り除けば一番おいしいところもなくなってしまう。両方混在する面白さが六本木にはある。
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喧騒の交差点を東京タワーを正面に見据え飯倉方向に歩いて小路を二つやり過ごし行くと、左側に三つ目の小路のわりときつい下り坂がある。そこを折れると右側に金魚がある。
香和とか金魚とかは河童の趣味ではない。ニューなハーフより団子がいいな。ハーフより団子。。
年末年始のバスツアー団体さんなどが列をなしてはいっていく姿がほほえましいとは思うがその一員にはあんまりなりたくないなぁ。
それで金魚のビルの小路をはさんで左側の分かりにくい雑居ビルのこれまた分かりにくい地下に気合の入ったバーがある。
お店の名前がまた輪をかけてわかりにく。
Don’t make it a one night stand
今宵限りではなく、もっとお付き合いしたいね。
あら、あたしもそうおもってたの。
会話としてはあけ透けだがこれが六本木の風というわけだ。
それで、名前があまり長いのでONSと略しているようだが、これだと肝心の否定の部分が抜け落ちてしまうので、本当に今宵限りになりかねない。。
それはそれとして、お酒はなかなかうまく作ってくれる。
ウィスキーをストレートで飲めばどこへ行っても同じ味のはずだが、こころざしの高さがそのお酒に見えないディテールをブレンドするのかもしれない。こころざしの波長が空気を揺らしウィスキーを自然のシェイクで満たしてくれる。
また、BGMが軽めのクラシックというのもいい。クラシックといえばあっちのほうがかなりコアだ。あっちのほう?ほれ、俳優座の裏の決してわからないドアからはいるネプラスウルトラ。この前なんかクナのパルを流してた。。ちょっとわからない人のために。
この前なんか、過去のドイツの大巨匠指揮者であるハンス・クナパーツブッシュが指揮するワーグナーの最後のオペラであるパルジファルを流してた。となる。
ネプラスウルトラはとりあえず今日はやりすごし、一度はONSで飲んでみたい。
ざっくりとした中にきりりとしまるカクテルもいい。河童はウィスキーに目も皿もないけど。。
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それで、いろいろ調べたら食べログに書いちゃったりしているのね。
レストランといいながらバーしか書いてない。
それもまだかなり少ない。
たまには寄ってください。
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