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ニューヨーク・フィルハーモニックの話をしているつもりなんですが、なんだかワルターの話が続いてしまいました。
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ブルーノ・ワルターは1922年の秋ミュンヘンを去り、1923年2月15日にワルター・ダムロッシュのオーケストラであるニューヨーク・シンフォニーを振りアメリカデビューをしました。
その後、いろいろと政局があり、1939年シーズンはロスアンジェルス・フィルで幕をあけました。
そして、NBCシンフォニー、ニューヨーク・フィルハーモニックを振るためにニューヨークに戻りました。
特にニューヨーク・フィルハーモニックはその後彼の拠点になりました。
結局、彼はニューヨーク・フィルハーモニックを計373回振りました。
1928年にニューヨーク・フィルハーモニックが統合する前の演奏会も含めると約400回になります。
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アメリカでワルターが最初に振ったブルックナーは第5番。
1933年の1月に5番の4回公演をニューヨーク・フィルハーモニック相手に行いました。
そのうちの一つはブロードキャストされてます。客受けが良く、翌年第8番を振る約束をしました。
後年5番は彼のレパートリーから消えましたが、4番7番8番は振り続けました。
また9番も少ない回数ですが振っております。
ワルターが1941年に振った8番に対し、ニューヨークタイムズのオーリン・ダウンズの評は芳しくありません。ただ、1933年10月に8番にはもっとシビア。
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こんな感じでワルターは8番をかなりの回数振ってますね。
1935年1月にモーツァルトのピアノ協奏曲第20番の弾き振りをしてからニューヨーク・フィルハーモニックを振っていなかったが、1941年1月にブルックナーの8番を振って新生ニューヨーク・フィルハーモニックに登場した。
1941年1月、ニューヨーク・フィルハーモニックを振った日は
16、17、19、23、24、26、30、31
計8回。うち、8番を振ったのは、
16、17、26
Music&Artsから1月26日の公演のCDが2003年にでた。
音は悪いが、やっぱり、聴きたい。
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Music&Arts CD-1106
ブルックナー/交響曲第8番
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ブルーノ・ワルター指揮
ニューヨーク・フィルハーモニック
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この音源のオリジナルはWABCの放送録音のディスクですね。
また、8番の版は1892年版。
これ以上細かい話はやめます。
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曲を聴かなければ話にならないわけですが、一言でいって表現が大きい。特に第4楽章の振幅が激しく、激しいながらもセカセカせず、余裕の音造りとなっている。
また、第2楽章はかなりユニークな表現で、練習を積み重ねなければできない表現が随所にある。
当時のニューヨーク・フィルハーモニックは腕にかなり怪しい部分もあったりするが、ワルターの求める大きな表現は忘れていない。
音のコンディションは良くないが最初から最後までしっかりと聴いてみることを勧めたい。
拍手入り。
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