昨日に続き、1991年に来日したロイヤル・フィルのことを書いてます。
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昨日書いたコンサートのラフマニノフは必聴でした。
今日のシュトラウスも必聴でしょう。
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1991年9月29日(日)2:00pm
サントリーホール
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シュトラウス/ドン・キホーテ
ブラームス/交響曲第4番
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アンドレ・プレヴィン指揮
ロイヤル・フィル
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シュトラウスの室内楽的大規模曲とでも言うべき愛すべきドン・キホーテである。
曲想の面白さ、室内楽的に分解された美しさ、そしてダイナミックに鳴らされるフルオーケストラ。
シュトラウスの多彩な音楽表現を、プレヴィンは肩を張ることなくリラックスさせてうまく聴かせてくれる。
非常に品のある表現だ。
壊れそうで壊れない、というのではなく、壊れないものは決して壊れないものなのだ。
プレヴィンはそのように主張しているのかもしれない。
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オーケストラが、ときとして音の太さがふやけたような印象を残すのは、技術力に問題があるからと思われるが、超一流どころと比べてはいけないのかもしれない。
プレヴィンのいつくしむように作り出す音楽にこそ耳を傾けるべきなのだろう。
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ブラームスの交響曲では第4番が一番好きだ。
これはプレヴィンに合っているのではないか。
大音響で鳴らす曲ではなく少し締まりっけをだして絹ごし豆腐のようにあえていけばいいのだ。
ブラームスの作り出すチェック模様の4番は知らず知らずのうちに少しずつ熱を帯びていき、いつのまにかチェック模様は巨大にして流麗なパッサカリアへと変身する。
みごとな音楽をプレヴィンは同じ方針で進める。
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ロイヤル・フィルのサウンドというのは一聴、つかみどころがない。
まず鋭くブラッシュアップされたオケサウンドではないというのは聴いていてすぐにわかる。
現代風に言うと機能的でないということになるのであろうか。
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それでも昔のビーチャムサウンドというか、初期の頃の一流プレイヤーの寄せ集めというか総動員というか、いざとなればなんでもできるのだよ。といったイメージがなんとなくあり彼らのサウンドは比較的安心して聴いていられるのだ。
いいトレーナーがいればいいというものでもなく、オケのメンバーが納得できる指揮者でないとダメだろう。
集中度の方向感が指揮者によりあっち向いたりこっち向いたりする。その気持ちの揺れが音にあらわれる。
1991年の6回公演では、ベートーヴェンの交響曲が多かったが、それは聴いていないのでわからない。当時、別にプレヴィンのベートーヴェンは聴かなくてもいい、と思っていたのだろう。今でもその感じは変わらない。
おわり
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