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「水」をシンセサイザー音で表現するという1970年代の試み

2015-02-16 13:52:54 | 音盤ノート
Edgar Froese "Aqua" Virgin, 1974.

  ドイツのシンセサイザー音楽の開拓者、エドガー・フローゼが今年1月20日に亡くなっていた。享年70歳。プログレッシヴロックバンドであるTangerine Dream(以下TD)のリーダーとして知られ、サウンドトラックも数多く残している。バンドは1970年以降毎年のようにアルバムを発表し、かつ1980年代以降は年間2枚以上発表していたので、そのレコーディング枚数は膨大なものとなっている。しかしながら、キャリアの中でもっとも世評の高いのが1970年代初期から半ばまでの作品だということに異論は少ないだろう。

  本作はフローゼ初のソロ作で、TDの代表作"Phaedra"(参考)と同じ年の発行。アナログ・シンセサイザーによる霊妙なインストルメンタルというところは"Phaedra"と同じだが、本作のほうがアンビエントな感覚が強いのが特徴である。"Phaedra"のあの執拗な反復シーケンサー音は、TDメンバーのChris Frankeがゲストで参加したtrack 3‘NGC 891’のみで聴ける(というかあの音はFrankeが創ってたのだろう)。"Phaedra""Rubycon"(1975)ほどの完成度ではないが、その二つが気に入ったならばTDの"Stratosfear"(1976)よりも抑制の効いた良作として受け入れやすいはずである。

  なお、本作には曲順と録音時間の違うドイツBrain社盤と、録り直しされた2005年盤の三種類あるのでお間違え無きよう。僕が聴いたことのあるのはこのVirgin盤だけである。
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