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前作より少しだけ多く叩いておりかつ少しだけ明るい

2010-06-06 23:36:23 | 音盤ノート
Manu Katche "Third Round" ECM, 2010.

  アフリカ系フランス人ドラマーによるECM三作目。前二作からメンバーを刷新しており、ポップミュージック時代のソロ“It's About Time”(BMG, 1992)から交流のあるPino Palladino (bass)と、StingやJeff Beckとの録音がある英国人ピアニストJason Rebelloの三人でリズム隊を作っている。一方、フロントとなるサックスはTore Brunborg(元Masqualero)、三曲参加しているギターのJacob YoungとともにそれぞれECMでの録音がある。また、三曲でよく知らないKami Lyleという女性がトランペットを演奏または歌っている。

  内容は前二作と大きな変化はない。Katcheのオリジナル曲を静かに聴かせるという趣向。ただし、少しだけ、ほんの少しだけだが明るくなっている。今作のメンバーが欧州風に渋く決めようしていないためだろう。前二作のメンバー──Jan Garbarek、Tomasz Stanko、Marcin Wasilewski──らは、ECMのスタイルに理解がありすぎていて、音楽から温かみや生気を排除しようとしているかのように演奏していた。今作のメンバーにはそんな心掛けはないようで、素直で癖の無い演奏を披露している。また、Katche自身も前二作より手数の多いドラムを叩いている。

  とはいえ、Peter GabrielのドラマーとしてManu Katcheを知った向きには、このアルバムに満足しないだろう。優れたドラムテクニックを持つ人物であり、一流ミュージシャンとの激しいインタープレイを聴かせる録音が切望される。だが、今のECMでは無理だろう。どこか別のレーベルに期待したいところだ。
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