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アントニオ・ロウレイロ9/30東京公演の感想

2015-10-02 15:50:45 | 音盤ノート
Antonio Loureiro "In Tokyo" NRT, 2014.

  来日中だったアントニオ・ロウレイロの東京公演(9/30)を観てきた。渋谷WWWは中年殺しなオールスタンディグの会場で、僕より年配そうな白髪の方も開始前から最後まで2時間ずっと突っ立っていて同情した。普通のライブ会場よりは年齢高めで、ざっと見た限りでは300人弱ぐらい入っていたのではないだろうか。

  最初の二曲は、芳垣安洋(drum)と鈴木正人(bass)、ピアノおよびエレピ、ボーカル担当の本人というトリオ編成での演奏。緊張感の高い丁々発止のジャズ的な演奏で、こういうこともできるのかと感心した。エレピの音の歪ませ方はマイルス時代のチックコリアみたいだったな。途中から林正樹(piano)、藤本一馬(guitar)が出たり入ったりする編成になって、スケール感のある落ち着いた演奏になる。特に五人揃っての演奏は曲も美しくてとてもよかった(林の曲らしい)。こうした楽曲重視の曲でも、時折あらぬ方向に飛んで行ってしまい、またこれがスリリング。全体として、構築された楽曲の美の追求と、そこからの逸脱という危ういバランスを上手く保っていたと思う。

  しかしデビュー作からの曲はやらないのね。あれが一番MPBらしい作品だが、今は関心がないということだろうか。現在の方向はジャズ要素の強い変拍子無国籍大衆音楽という印象である。個人的には大編成のアンサンブルで彼の曲を聴きたいところだが、アドリブ展開を求める今の方向と調和しないかもしれない。

  見出しに挙げた作品は、2013年の初来日公演の模様を収めたライブ盤。今回と同じく芳垣と鈴木のリズム隊に、アコーディオンの佐藤芳明を加えた編成。基本は本人のボーカルとアコースティックピアノによる弾き語りで、バックは手探りで音を添えているという印象。今回の東京公演におけるバンドの一体感と比べるとちょっと見劣りする。楽曲の骨格を確認するように聴くのが使い道だろうか。
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