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暗黒音楽研究・その3

2008-11-07 10:21:33 | 音盤ノート
Simon Fisher Turner "The Garden : Original Soundtrack" Mute, 1991

 1990年の英国映画のサウンドトラックである。この映画は、エイズで亡くなったDerek Jarmanの監督作品の一つで、"Caravaggio"から1993年の"Blue"まで彼とコンビを組んだSimon Fisher Turnerが音楽を担当している。

 音楽は、シンセサイザーで作ったアンビエントな楽曲や甘美な弦楽四重奏の上に、コラージュ音を重ねるというスタイルである。日本盤のライナーノーツによれば、テープコラージュの音は映画の撮影現場で拾ってきたものらしい。不穏に鳴るシンセサイザーに重なって、突然絶叫や怒声を浴びせかけられる。慣れないと、夜一人で聴くのはかなり怖い体験だろう。ただ、アルバムの統一感には優れ、最後の弦楽四重奏+テープコラージュ曲"Cold Cold Cold"まで緊張感を持続させる。全体として暗く重たい楽曲が多い中、ダレないところは素晴らしい。

 日本盤と輸入盤ではジャケットとボーナストラックが異なる。創美(だったけ)が発売した日本盤のボーナストラックの方がアルバムの雰囲気によくはまっている。一方、洋盤のボーナストラックは作品の統一感を損ねる出来だ。しかし、ボーナストラックのために現在廃盤の前者を探すほどの出来でもないので、輸入盤で"Cold Cold Cold"まで聴いて終えるというのが賢明だ。

 
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