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一般の日本人の間での発行50年後の超名盤の知名度

2017-03-24 22:39:56 | 音盤ノート
The Velvet Underground & Nico "The Velvet Underground & Nico" Verve, 1967.

  ロック。もはや古典であり、アンディ・ウォーホルによるバナナのジャケットも有名である、と断言したいところだが、ロック史に通じている人以外であまり知っている人はいないようだ。先日、職場で宴会があり、僕と年齢の近い同僚の教員がこのアルバムのジャケットをあしらったTシャツを着て出席していた。しかし、誰も気づかないし、指摘しない。僕が突っ込んであげて、20代の女性職員にこのアルバムの来歴や評価を説明したのだが、彼女たちはどうでもいいという風情だった。アヴァンギャルド?そんなこと考える男って面倒くさそう、というような。

  ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは活動期間中まったく注目されなかったグループだが、解散後にメンバーのLou Reedがソロとして活躍するようになって徐々に支持を集めるようになり、1970年代末から80年代にかけてのポストパンク~ニューウェーブ期になると神格化されるようになった。当時Joy DivisionやR.E.Mなど有名どころが彼らの曲をカバーしており、オルタナ系の祖先として崇め奉られるようにまでなっていたのだ。Tシャツの彼も僕も同じ世代としてこの時代の洋楽に親しみがあり、この世代のロック好きにおいて好き嫌い以前にこのアルバムは「常識的知識」として存在していた、のだが。

  しかし現在、ロックは若者の音楽であることをやめ、洋楽なんか聴かないという日本人が増えた。結果、20世紀後半のカウンターカルチャーのこまごまとした知識をため込んだ僕らは、本当に時代遅れのオヤジになったしまったようだ。バナナのTシャツを眺めながら、このような悲しい感慨に襲われた。それとも、オルタナ系統において音楽を追及する若者に対しては、まだこのアルバムはアピールし続けるのだろうか。
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