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リーブマンとバイラークによる一世一代の名演

2011-08-23 20:56:43 | 音盤ノート
Wayne Shorter "Tribute to John Coltrane: Select Live Under the Sky '87 10th Special" King Record, 1987.

  ジャズ。誰がリーダーかは未記載だが、一般にはWayne Shorterのリーダー作として扱うことが多いようなのでここでもそう表記する。1977年から92年まで毎夏よみうりランドの野外音楽堂で行われていたイベント「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」の1987年公演の録音。現在ではDVDのみの発売されているが、かつてはLP・CDも出ていた。以下はCDを聴いた感想。メンバーは、ショーター (soprano sax), Dave Liebman (soprano sax), Richie Beirach (piano), Eddie Gomez (bass), Jack DeJohnette (drummer)。

  コルトレーン没後20年をテーマとした企画で、track 1 "Mr.P.C.", track 2 "After the Rain / Naima", track 3 "India / Impressions"と全曲コルトレーンのオリジナル。ショーターの登場時間は長くないが、それでも一聴して彼だとわかる怪しげな音色とフレーズを聴かせる。しかし事実上、中心となっているのはリーブマンとバイラーク組。リーブマンは、血管が切れそうなほどの凄まじい勢いでソプラノサックスを咆哮させる。あまりに男性的で色気も何もないが、このスタイルこそがコルトレーンの正統だと言わんばかり。バイラークは緊張感を高めるフレーズを次々繰り出しては、鋭角的な空間を作り出してサポートしている。Track 2のバラード二曲はリーブマンとバイラークのデュオで、他のメンバーは絡んでこない。1980年代前半で失速したと思われているこの二人だが、この日の演奏にケチをつける人はいないだろう。というわけで、彼らが輝きを取り戻した一瞬を拝聴できる貴重な録音である。
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