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ギターの速いアルペジオと男声ファルセットが特徴の内省的ジャズ

2013-11-06 13:20:29 | 音盤ノート
Ben Monder "Excavation" Arabesque, 2000.

  ジャズ。ベース(Skuli Sverrisson)とドラム(Jim Black)に、ギター(Ben Monder)とヴォイス(Theo Bleckmann)の四重奏団。モンダーは米国出身のギタリストで、1990年代から活躍しはじめるものの、あまりリーダーとしての録音は多く無い。この作品は同じ楽器編成の四重奏団としての最初のアルバムで、続いて"Oceana" (Sunnyside, 2005)と"Hydra" (Sunnyside, 2013)が、それぞれ長いインターバルを経てぼつぼつと発表されている。

  編成だけ見るとロックバンドのようだが、演奏も一筋縄ではいかない。エレクトリックギターを弾くモンダーは、速いアルペジオで隙間を埋めてゆくものの、同じくアルペジオをサウンドの要とするバーズやカントリー音楽のようには爽快にはならない。その和声感覚はsonic youth一歩手前の不協和で、不安定感がある。ヴォイスのテオ・ブレックマンは、ロングトーンのファルセットでヴォカリーズするのだが、メセニー組のアズナールのような清涼さがなく、ヨーデルやグレゴリオ聖歌の影響も垣間見せ、なんとなく気色悪い。全体として、狂気を内に抱えた内省的な演奏となっている。

  気持ちの良さとは無縁の、カルト臭のある演奏であり、かなり聴く人を選ぶだろう。アルバムペースが遅いのも売れないからなのか?
コメント
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