熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日本人の米国大学院留学生の激減・・・教育の低下が日本を蝕む

2005年04月22日 | 政治・経済・社会
   昨夜、大手町で開かれたペンシルヴァニア大学のビジネス・スクールであるウォートン・スクール大学院の在日本同窓会の年次総会・レセプションに、久しぶりに出かけた。ウォートン・スクールは、1881年創立の米国でも最古で、かつ、世界屈指のビジネス・スクール、大先輩富士ゼロックスの小林陽太郎会長も出席し、ゲスト・スピーチを行っていた。
   私がビックリしたのは、この秋に入学する新入生14~5人が呼ばれていて挨拶していたが、日本から送り出すこれ等の学生の半数以上は外国人であったこと。インド人の男子生徒が三人、白人女性が一人等などで、日本に進出している外国企業の社員の模様である。
   日本人学生が少数派で、それも、殆ど自費留学とのことであったが、我々が留学していた頃は、ファイナンスで名を馳せたMBAコースなので、通産省や日銀を筆頭に政府系や都市銀行の金融系の派遣役人や社員が大半だったが、正に、今昔の感である。あのバブル崩壊以降、政府や企業からの海外留学制度は廃止されたのであろうか。
   
   同じ日に、野口悠紀雄教授のメルマガが入っていて、同じ様にスタンフォード大学への日本人留学生の激減について嘆いていた。日本人留学生に対して、中国人が6倍、韓国人が4.6倍で、日本人の留学生の絶対数そのものも減少している。もっと深刻なのは、語学留学等は多いが、米国学生と対等に激しく競争し切磋琢磨する大学院等高等教育の分野での留学が激減している事だと言う。経済的な問題か、学習意欲の減退か、日本の明日を象徴しているような気もする。
   野口教授は、「教育面での遅れは、10~20年程度のタイムラグで、経済のパーフォーマンスに影響を与える。将来の中国を率いるリーダーやテクノクラートは、アメリカで学んだ人達であろう。」と仰る。日本がじたばたしても、もう遅いと言うことであろうか。

   おって、誤解があるので米国のMBAコースについて一言。もう30年以上前になるが、ウォートンの場合、必須の経済学は、マクロ経済学とミクロ経済学の2科目。2学期制なので、マクロ経済学を例に取ると、2時間授業が25回程度、最初の4回ぐらいでサミュエルソンの「経済学」を終えて、色々な経済学を勉強し、最後の数週間の授業では、最新・最先端のの経済学の学術論文を読むところまで持ってくる。ミクロも似たり寄ったりで、私の場合、この2科目だけで、旧帝大国立大の経済学部4年間で勉強した経済学に優に匹敵すると思っている。他に、専門を含めて、この6倍以上の単位を取り、毎日深夜まで、図書館やコンピューターセンターにつめて勉強するのであるから、米国のトップMBAコースは、如何にハードであるか。
   
   余談ながら、日本の詰め込み教育が悪い、日本の生徒は勉強しすぎだと云うのであろうか、「ゆとり教育」と言って、Πを3.14ではなく3 にしたり、極めて手を抜いた教育システムにして、今になって学力の低下を嘆いているが、明治時代から少しも変わっていない日本の教育が如何に程度が低かったかを知らなかった「井の中の蛙」的な文教政策の結果である。
   現在の教育の手抜きと長期ビジョンのなさ、そして、世界に伍して最先端の教育、科学・技術、芸術等に挑もうとする意欲のなさが、今の経済不況よりも、もっと、日本を蝕む。そんな気がしてし方がない。  
   
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