熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

新型コロナウイルス、撲滅か経済再開か

2020年05月13日 | 政治・経済・社会
   NYTの電子版の記事、
   Coronavirus Live Updates: Americans Are on the Move, Even as New Warnings Sound
   Millions more U.S. residents left their homes this week, according to a Times analysis. The stay-at-home order in L.A. could last into July. Dr. Anthony Fauci said reopening too soon risked a new runaway outbreak.Right NowMore than 1.3 million people in the United States have been infected with the coronavirus and at least 82,300 have died, according to a New York Times database.

   米国立アレルギー感染症研究所・ファウチ所長が、アメリカの新型コロナウイルス対策を指導する専門家が議会で証言し、アメリカ国内で進む経済活動の再開に向けた性急な動きに警鐘を鳴らした。「一部の感染者の増加が爆発的に広がっていくことを懸念している。新たな感染者が2週間にわたって減少することなど経済を再開するためのホワイトハウスの指針に従わないと深刻な結果になる恐れがある」と警告したにも拘わらず、実際には、再開した州や近く再開する州の多くで感染者が増加するなど再開の条件を満たしていないと報じられている。再発防止のために拙速な経済活動の再開にファウチ氏は専門家の立場で反対し、早期に経済の再開を積極的に推し進めて大統領戦を有利に展開したいトランプ大統領とのずれが浮き彫りになったところだが、歴史の重要な帰路で、非常に難しい問題である。
   アメリカの感染者は、130万人、死者8万人以上と言うから、まさに、中世のペスト危機を彷彿とさせる深刻なパンデミックである。

   この新型コロナウイルス押さえ込みに対して、ロックダウンやStay-at-home規制を継続するか、これを解いて、経済活動を再開するかの問題は、世界中の国々が直面している危機的な政策課題であり、先進国では、多少先が見えてきたが、
   問題は、経済的に脆弱な新興国や発展途上国などでは、殆ど、選択の余地なく、新型コロナウイルス危機の進行覚悟で、経済活動を優先せざるを得ない状態に追い込まれている。ことである。
   ロシアで12日、新型コロナウイルスの感染者数が23万2000人を超え、アメリカに次いで世界で2番目に多くなって、1日に1万人以上増加するという進行途上にありながら、プーチン氏は11日のテレビ演説で、6週間続いた「不就労期間」を終了すると発表し、市民は翌12日朝から仕事に戻り始めた。と言う。
   ロシアの生命線である石油と天然ガス価格の壊滅的な価格ダウン下での国家財政の危機と国民生活の窮乏が、国民生活の危機意識を誘発して抑えが効かないのであろう。
   南アフリカでは、ロックダウンで生活の糧を絶たれた貧困層が暴動略奪に走り、政府は、ロックダウンを解かざるを得なくなったとNHKは報じていたし、
   インドでも、 新型コロナ感染の拡大が続くにも拘わらず、長引く外出制限によって経済への打撃も深刻化しているとして、外出制限を一定程度緩和し始めている。
   コロナは怖いが、日々の生活の糧を稼がなければ生きて行けないと言う切羽詰まった選択、背に腹は代えられないと言うことである。

   ブラジルでは、12日報告の新型コロナウイルス感染症による1日当たりの死者数が過去最多の881人となり、感染者数は17万7589人とこの2週間で2倍余りに拡大し、累計の死者数は1万2400人。
   しかし、ボルソナロ大統領 が、「新型コロナウイルスは、軽いインフルエンザか、ただの風邪程度だ。マスコミは、各国の事例を最大限に言いはやし恐怖をあおっている」 と豪語し、
   記者に、新型コロナ死者5000人を超えたと言われて、「だから何だ? すまん、私にどうしろと言うのだ?」
   これまで一度も、病院を訪問したり、新型コロナウイルスの犠牲者や遺族、人工呼吸器や病床不足を訴える医療従事者らに対する連帯を示したりしたことはなく、経済恐慌を防ぐため人々に仕事へ行くよう勧めてきた。と言うから、これは論外である。
   私は、大分前だが、ブラジルに4年間住んでいて良く知っているのだが、
   ブラジルでは、貧しい人たちの住むスラム街「ファベーラ」が多くあって、公営の水道を利用できないほどの劣悪な衛生状態のため感染が拡大しており、それぞれの地域を掌握している犯罪組織さえも、住民に対して外出しないように呼び掛けるなど予防措置を取る事態になっている。と言うから、ブラジルで、コロナウイルス危機を終息させるのは至難の業だと思っている。
   

   これは、南アでもインドでも、アジアやアフリカ、中年米の貧しい国々でも同じことであろうし、ひとたび、新型コロナウイルス騒ぎが発生すると、国家財政にも国民にも、経済的余裕などあるはずがなく、どうするのか、豊かな先進国でさえ、国運をかけて必死に対処しても苦渋に呻吟しているのであるから、これから、もっともっと深刻なグローバル危機が勃発するかも知れない。
   現実にも、コロナを押さえ込んだと言われた優等生シンガポールでも、劣悪な環境で生活する外人労働者でコロナが再発して、盲点を突かれて苦しんでいる。
   これが、先進国と貧困国の同居するグローバル世界の現況であり、
   欧米や日本で、いくら、新型コロナウイルス押さえ込みに成功しても、
   既に、グローバリゼーションで世界は一つ、新型コロナウイルス騒ぎは、長期戦とならざるを得ない。

   そうである以上、日本政府の対応は、遅いし規模が不十分であり過ぎる。
   政府の政策で、経済活動をストップさせたのであるから、この被害を受けた人々に対しては、十分な保障とサポートがあってしかるべきで、今のような、一回限りの少額給付で乗り切れるはずがない。
   国民は、あまりにも大人しいので、それを良いことにして、政争に明け暮れているが、とにかく、国が傾くほど、大盤振る舞いをしてでも、困窮する人々を救うべきである。
コメント
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