熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

日本経済の危機:新コロナウイルスの危険、観劇止める

2020年04月02日 | 政治・経済・社会
   これまで、通っていた東京での観劇やコンサートが、新型コロナウイルス騒ぎで、次々と公演キャンセルとなってしまい、近くの映画劇場でも、殆ど客が寄りつかなくなって、観劇の機会がなくなってしまった。
   老年は危ないというので、子供たちも、散歩程度以外の外出は認めず、殆ど、近所1キロ以内の行動範囲で、様変わりの毎日である。
   尤も、私の場合、緑の多い鎌倉山の裾の住宅街に住んでおり、庭も適当にあってガーデニングには支障がなく、元々、自分自身一人で楽しめる趣味が多いので、困るのは、観劇に出かけて東京へ触れるチャンスがなくなったということくらいで、それ程フラストレーションがないのが幸いである。
   歌舞伎は、もう、少し前から観劇は止めているが、今月予約を入れなければならない国立劇場の能狂言と文楽は、好演目が目白押しだが、上演されても、当分、出かけるつもりがないので、全く、残念だけれど、すっぱりと、予約を入れないことにした。
   観劇は、NHKBSやWOWOWや、録り溜めたDVDを活用して、気が向いたら、レビューを書いてみたいと思っている。

   さて、私は、その程度だが、
   新型コロナウイルス騒ぎは、まだ、ピークの気配さえなく、医療崩壊など、危機的状態への傾斜が危ぶまれているのだが、時機を失しても、政府が非常事態宣言などのアクションを取らないのは、経済的な危機の勃発を恐れてのことであろう。
   対応が遅れれば遅れるほど、経済社会構造が老朽化して制度疲労を重ねた日本の経済的危機からの脱却は難しくなって、いくら膨大な経済浮揚策をとっても、効果は短期的で、安倍首相の言うようなV字回復など、期待するのが無理であろうと思う。
   今回の経済悪化は、需要の急減のみならず、同時に、供給サイドにも一気に壊滅的な打撃を与えており、これまでの循環的不況とは根本的に異なった完全な不況であり、長引けば大恐慌の恐れさえあり、即効性を意図したカンフル注射的なケインズ政策では、根本的な解決にはならないであろう。

   グローバル経済の進展で地球規模で張り巡らされたサプライチェーンが崩壊寸前の危機を迎え、貿易の壊滅的な縮小や需要のドラスチックなダウンのみならず、自動車を筆頭にして日本の誇る製造業さえ生産活動に急ブレーキをかけねばならなくなり、その裾野へのダメッジは計り知れず、特に、都市生活が麻痺して空洞化して一気に需要が消失した宿泊・飲食サービス、交通、イベント産業など多くの観光・エンターテインメント関連産業や、そして、多くの小売りなどの商業施設など、特に、日本経済を支えてきた中小企業への壊滅的な経営危機の深刻さは、未曾有と言うべきであろう。
   政府の経済政策で、当座の運転資金や賃金保障などが賄われたとしても、事業を従前のように正常に戻して、さらに事業を促進するためにどうするのか、そのあたりまで見越した政府のサポートがなければ、不況脱出と経済再生は難しい。

   アベノミクスと称して3本の柱を打ち立てながら、金融政策と財政政策に明け暮れて、規制緩和などによる成長戦略が不十分で、民間投資を喚起するなど民間企業を活性化して経済構造を刷新して国際協力を高めようとする成長戦略を推進できなかったために、日本の生産性向上指数が、先進国では下位の水準で、生産性本部の「労働生産性の国際比較2018」発表では、
   日本の1人当たり労働生産性は、84,027ドル。OECD加盟36カ国中21位。
   2017年の日本の1人当たり労働生産性(就業者1人当たり付加価値)は、84,027ドル(837万円)。ニュージーランド(76,105ドル/758万円)を上回るものの、英国(89,674ドル/893万円)やカナダ(93,093ドル/927万円)といった国をやや下回る水準で、順位でみるとOECD加盟36カ国中21位となっている。
   と言うことで、破竹の勢いで驀進していた前世紀のJapan as No.1時代とは様変わりで、目も当てられないような惨状である。
   日本の時間当たり労働生産性は47.5ドルで、あの疲弊を極めて低落傾向の米国(72.0ドル/7,169円)の3分の2程度の水準に相当し、順位はOECD加盟36カ国中20位だった。と言うから、何をか況んやである。
   「緩やかに回復している」との政府発表を信じて耐えてきた国民も、日本のGDPが、1994年に501兆円で500兆円超えを実現し、1997年に532兆円のピークに上りつめたものの、その後は、鳴かず飛ばずで、2018年に、やっと、549兆円に達したという現実に気づけば、失われた30年は、一体何であったのか、
   一人当たりのGDPは、1988年の世界第2位から2018年の第26位へと凋落は釣瓶落としで、アメリカの6割ノルウェーの半分以下で、ヨーロッパ諸国の殆どの後塵を拝するという体たらく、
   日本の経済力の弱体化は、自明であろう。

   ただ、アベノミクスの評価になるかどうかは分からないが、就任の2012年のGDPが、495兆円で、漸進的に増加しており、2019年に、558兆円が見込まれているから、「緩やかに回復している」と言っても間違いではなかろうか。
   しかし、この新型コロナウイルス騒ぎで、状況がさらに悪化して、非常事態宣言が発令されて、日本経済が恐慌状態に突入すると、アベノミクスなどひとたまりもなく吹っ飛んでしまう。

   そんなことより、心配は、今後どうなるかと言うことである。
   まず、悪い材料は、日本の昨年の10-12月期GDPが、消費や設備投資の不振で前期比年率マイナス6.3%と5期ぶりにマイナスになったことである。
   その要因は、消費税増税後の反動による消費の低迷が響いており、大型台風の襲来による打撃や暖冬の影響、それに、設備投資の不振も大きい。
   今後の関心は、新型コロナウイルスの感染拡大がどう影響するかだが、
   まず、3月日銀短観、大企業・製造業DIがマイナス8 と非常に悪化、
   この数字は、コロナウイルスの危険を十分反映していないので、もっと悪い数字の筈だが、とにかく、経済環境は、どんどん、悪化の一途を辿っている。
   私は、大恐慌とはならなくても、欧米先進国が壊滅的な打撃を受けて、さらに、新興国や発展途上国を巻き込んだグローバルベースでのパンデミックなので、相当な痛手は必然で、日本経済も、相当なマイナス成長になるだろうと思っている。
   まだ、何とも言えない現状なので、推移を注視したいが、日本だけ、欧米の悲劇の埒外だとは思えないので、先行きは極めて暗い。
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