熟年の文化徒然雑記帳

徒然なるままに、クラシックや歌舞伎・文楽鑑賞、海外生活と旅、読書、生活随想、経済、経営、政治等々万の随想を書こうと思う。

三菱商事株主総会、同期会、そして、国立能楽堂

2016年06月24日 | 今日の日記
   今日は、私にしては、かなり早く鎌倉を出た。
   東京に出るのは、いくら早くても、大体、11時の歌舞伎公演開演を目指すのでもっと遅い。
   この日は、三菱商事とみずほFHに行けたのだが、面白いのは商社だと思って、浜松町で下りて増上寺を目指した。

   さて、三菱商事の株主総会だが、
   何故、面白いと言ったのか、資源に入れ込み過ぎて、エネルギーと金属部門で、大赤字を出して、初の赤字に転落したことである。
   詳しい説明がなかったので、以前に報じられた現代ビジネスの記事を借用すると、
   ”4,300億円と予想される減損損失の内訳は、AAS社株(チリで鉱山と製錬所を運営する「アングロ・アメリカン・スール(AAS)社」に対する出資(簿価4,700億円)への出資分が2,800億円。豪州のLNG開発計画の見直しに伴う減損が400億円、同じく豪州の鉄鉱石事業の減損が300億円、南アフリカのフェロクロム事業の減損が200億円などとなっている。これらと比べると損失額は30億円と小さいが、シェールガス事業の再評価に伴う減損も発生する見通しだ。”と言うことである。
   事業の損益で赤字が積み上がった訳ではなく、バランスシート上の減損なので、市況の激変と言う側面があるけれど、要するに、予測なり経営判断を誤ったと言うことであって、経営戦略なり戦術のお粗末さの帰結であろう。
   会長は、原油が50ドルから70ドルへと5年間も上昇基調にあった時期の経営判断であったと言うのだが、その投資戦略なり経営判断が適切であったのか、問われるところであろう。
   
   これに懲りてか、向こう3年間の経営の考え方として4本柱を打ち立てているのだが、
   その内、「経営基盤の再整備」で、「キャッシュフロー重視の経営」は当然として、「資源」と「非資源」のバランスの見直し、
   「成長に向けた打ち手」で、「事業のサイクルを踏まえた入れ替えの加速」なども当たり前だと思うのだが、「事業投資」から「事業経営」へシフト、の2点については、疑問を感じる。
   資源分野は、原料炭・銅・天然ガスへ経営資源を集中して他を抑え、主体的に強みや機能を発揮できる分野に投資を集中すると言うのだが、セグメント別の売上高や事業費率が分からないので何とも言えないのだが、要するに、資源に偏っていた経営を非資源へ比重を移すと言うことであろうか。
    さて、「事業投資」から「事業経営」へのシフトだが、単純な投資ではなくて、事業の中に入り、三菱商事の「経営力」をもって主体的に価値を生み出し成長して行くと言うこと。
   簡単に言えば、商事の社員が、投資先の会社に入って経営を行う経営に参画すると言うことだが、そんなことが出来る十分な能力なり資質を持った社員がいると言うのであろうか。
   ローソンで実績を上げた新浪剛史社長のケースもあるのだが、これは、投資するだけではなく、その経営にも最大の関心を払って運営すると言う姿勢だととらえておくのが無難であろうか。
   いずれにしろ、大三菱が、今後の経営の柱として、今更、打ち出すべき戦略なのであろうか、疑問に思った。

   もう一つ、興味深かったのは、大株主でもある三菱自動車の燃費詐称問題について質問された時に、改変の激しい自動車業界において、三菱自動車が、果たしてこのままでよいのか、グループに入ってシナジーを追及することも大切で、むしろ、日産との統合は、そのチャンスを得たのではないか、と言ったニュアンスの回答をしていたことである。
   社長が、東南アジアで三菱自動車の車を売っているので、サポートしたいと言っていたが、私自身は、三菱自動車は、企業のコンプライアンスなど経営には問題があっても技術力などは十分にあるのだし、いわば、バーゲン価格で、大三菱グループを巻き込んだのであるから、日産にとっては、願ってもない統合だと思っている。

   昼から、前の会社での同期会があったので、途中で、三菱商事の総会を出た。
   都営に一つ乗って三田に出て、田町の「牡丹」に向かった。
   集まったのは9人、現役はわずかで、殆ど、悠々自適の老人生活である。
   途中、イギリスのEU離脱如何が心配で、何度もスマホでチェックして、テレビをつけっぱなしにしている妻からの電話を待っていたのだが、仲間たちは、殆ど関心がなかった。
   ゴルフや病気の話、とにかく、いまだに、半分故郷でもあるイギリスの帰趨や国際経済の動きに気を揉んでいる私の方がおかしいのかも知れない。
   お開きの少し前に、妻から、EU離脱が決定的と言うテレビ報道の情報が入った。
   お開きの後、田町の駅近くの居酒屋で、騒いで来年の再会を約して別れた。
   その後、しばらく時間があったので、神保町で本屋をはしごして、夕食を取り、北参道から国立能楽堂に行った。

   この日は、「能楽鑑賞教室」のうちの「外国人のための能楽鑑賞教室」であった。
   日本人用の公演は、10回あるのだが、普及公演なので学生や生徒の団体目当てのために空席が少なくて思うように予約できなかったので、解説は英語でも問題はないし、偶々、最後まで空席が残っていた外国人用のチケットを取ったのである。
   解説は、リチャード・エマート、能に見えて殆ど半世紀で、武蔵野大学文学部教授。
   歌うように美声で能を謡う、凄い先生で、語り口も簡潔で清々しい。
   狂言は、野村万蔵と小笠原匡の「柿山伏」。
   能は、「小鍛冶」。
   シテ/観世喜正、ワキ/殿田謙吉ほか。
   このシリーズの公演のなかでも、是非鑑賞したいと思っていた演者出演のプログラムであったので、素晴らしい舞台を楽しむことが出来た。

   
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする