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■帯広コンテンポラリーアート2016 ヒト科ヒト属ヒト(4)

2017年01月14日 19時31分00秒 | 展覧会の紹介-現代美術
承前

 2016年10月の1カ月間、帯広の森を会場に開かれた野外美術展の紹介記事です。

 前回のアップから、間があいてしまってすみません。

 冒頭画像は、東京から帯広へ、さらに昨年、十勝管内豊頃町に拠点を移した白濱雅也さんの「裏_物語」の説明板。

 作品自体は、ポップな色合いの小屋のような形をしています。
 これは薬の錠剤やカプセルの形状で、メーテルリンクの童話に登場する「お菓子の家」ならぬ「ダイエット薬の家」というところでしょうか。

 近づいていくと…。

 中に誰かいるようです。

 このきょうだいが、悲惨な末路をたどったのです。
 スマートフォンやダイエットなど現代への諷刺を主軸に据えた、ブラックユーモアを感じさせる大作です。


 阿部安伸(帯広)「50 to 100」

 帯広の森の散策路に、足跡をいくつも置きました。

 この作品は作者の意図を超えて、現代アート展にとって示唆的なものになったのではないかと、筆者は思っています。
 というのは、当初は散策路の中央に並べていたのですが、ふだんから帯広の森を歩いたり、犬の散歩に利用している住民から、じゃまだという苦情が出て、会期の半ばから、端のほうに移設したからです。

 この構図自体は、リチャード・セラの「Tilted Arc」事件に似ています。もちろん、あちらはパブリックアートですし、公共性などをめぐって活発な議論が巻き起こったのに対し、帯広の森は私的なグループ展ですし、とくに論議もなく、すこし場所をずらしただけという、大きな違いはあるのですが。
 これは、北海道の「現代アート」が、鑑賞者や地域住民と没交渉気味である実情を示す、象徴的な事例ではないかと、筆者には感じられました。
 海外でも国内でも、ソーシャルエンゲージドアートや参加型プロジェクトなどが現代アートの主流となりつつあります。そういう潮流から北海道は離れつつあるのではないでしょうか。

 野口裕司(石狩)「Artifact」

 最近の野口さんは、一時期ほど映像を用いておらず、地面に置いたり貼り付けたりするような、高さのほとんどない作品が多いと思います。


 上ノ大作(北広島)「ヒトの巣」

 巣なので樹上に設置されているようです。


 野村裕之(札幌)「幸せだと思っていたら狐に騙されていた(騙されたママが良かった)」

 土俗的というか昭和的というか、ふしぎなテイストの人形です。


 加藤かおり「自然対話」

 この近辺は樹木が多いため、それを利用したかたちでの展示が目立ちます。


 この近くに、帯広と群馬県の双方を拠点に幅広く活躍する半谷学さんの「花の人」という作品が、木の枝と枝のあいだに張り渡されるような格好で設置されていました。


関連記事へのリンク
□白濱雅也さんツイッター @shirahamamasaya
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□阿部安伸さんのサイト http://www.geocities.jp/psychedelic_atmospheres/
防風林アートプロジェクト
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□野口裕司さんツイッター @nogupee
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□Artist Kaori Kato http://www.geocities.jp/kaorikato555/


http://www.hangais.com/art.htm
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六花ファイル第3回収録作家作品展 「秋の漂い 冬の群れ 半谷学展」 (2013)

(この項続く) 


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