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マタハラが「女の職場」で起こる理由 - 女性同士の価値観の違いが大きく、軋轢が生まれ易い

2014-10-29 | いとすぎから見るこの社会-少子化問題
これはあくまで個人的な見解だが、日本女性の大多数は
マタハラを本気で解決しようと思っていない可能性が高い。

女性は大まかに分けるとオトコに負けず働くキャリア派と
あわよくば専業主婦になってあくせく働かずに暮らしたい生活重視派と
生活も仕事も大事にする中間派がいる。

この三派は根本的に価値観が違っており、互いに助け合うことに不熱心である。
人生のイベントの如何によって「鞍替え」する者も少なくない筈だ。
独身の時は「育児とか言って早く帰ってズルイ! 許せない!」と言いながら、
結婚したら「日本社会は育児に冷たい! 仕事と両立させてくれない!」と言うような例である。
(素直と言えば素直であるが、始末が悪いことに変わりはない)

真に仕事と育児の両立を考えるなら、北欧や仏のように長時間労働を排し、
税と社会保険料の重い負担に耐えて育児支援、両立支援を手厚くする筈である。

さもなくば賃金の低い移民を受け入れて家事育児を依頼する(アメリカ型)かだが、
安全を極度に重視し排他的な日本社会は移民を選ばないであろう。

本音ではカネに対する執着が強く、負担を分かち合って
女性が育児をしながら仕事を続けられる環境を築くためのコストを嫌がっているだけだ。

膨大な公費が投入されている認可保育所に入らせろとデモを行う女性はその典型だ。
彼女らは、認可保育所が税金と借金がたっぷり投入されている「利権」であるのを理解していない。
彼女らが本当に社会制度を理解しているなら、認可でも非認可でも平等に選べるように
バウチャーを直接給付してくれと要求しなければならない。

しかし実際には「私達だけでも税金をたっぷり使って安い保育料にしてくれ」と要求しているのだ。

北欧も仏も、我が国の労働者より10%以上は手取りが低く、
その高負担があってこそ日本と比較にならない充実した育児支援を受けられるのだ。

働かない女性に厳しく、育児と仕事の両立に努力する女性を強力に支援する社会だから、
出生率や女性就業率ばかりでなく、成長率も生産性も一人当たりGDPも日本より勝っている。
至極当然の結果であろう。(因に、待機児童は殆ど存在しない)

▽ スウェーデンの労働者は、手取りを減らしても育児支援のため重い負担を甘受している





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


当ウェブログはリアリズムに立脚しているので、
綺麗事で誤摩化している裏に利害関係が隠れているのがすぐに見えてしまう。

「「離婚したい」女性が最大の要因として挙げるのが「夫の低収入」で、
 夫が厳しい労働環境にあることには著しく関心が薄い。
 こうした素朴な利己主義こそ、政府や厚労省が理解していない決定的な動因である」

「夫に対してさえこれほど冷淡な妻が、
 今まさに待機児童や仕事と育児の両立、必死で働く母子家庭に同情する筈がない。
 口では同情してもカネは出さないのである」

「この頑強な利己主義があるからこそ、
 経済インセンティブでなければ政策としては効かないのだ。
 だから少子化も待機児童も片親家庭の貧困も改善しないのである」

「日本社会を蝕んでいる「合成の誤謬」の中核に、
 この何も考えていないむき出しの利己主義がある」

悲しいことであるが、日本社会の貧弱な育児支援制度を生み出したのは
自分自身と子にしか関心のない利己的な精神である。
しかもアメリカ社会のように自ら新しい現実を築こうとせず、他人に責任転嫁する。

 ↓ 参考

ブラックな妻「夫がきつい労働環境でも給与さえ多ければよい」- 少子化も待機児童もこの利己主義が遠因
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9c7e850d0dadce09cc9fa7ca61a69307‎

「夫はランク外になった」- 恐ろしい出産後の妻の豹変、「お金を欲しがる」との義母の声も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ce9b99eff214b7ef22954fc9b024a319

若年女性の34%が専業主婦を希望、「仕事は嫌い」「夫の収入で生活できる」との声も - 厚労省調査より
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a6b038e07ff6793e047c28f6b0250319

▽ 日本人は、自分の子に甘いが他人の子に冷淡である

『家族の衰退が招く未来―「将来の安心」と「経済成長」は取り戻せるか』(山田昌弘,東洋経済新報社)


妊娠降格、明確な同意必要=均等法規定で初判断―女性敗訴破棄、差し戻し・最高裁(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201410/2014102300547
”広島市の病院に勤務していた理学療法士の女性が、妊娠を理由に降格されたのは男女雇用機会均等法に反するとして、慰謝料などを求めた訴訟の上告審判決が23日、最高裁第1小法廷であった。桜井龍子裁判長は、妊娠や出産を理由とした降格について、「自由な意思に基づく明確な同意、または業務上必要で女性労働者の仕事の充実という同法の目的に反しない特別な事情がなければ違法」との初判断を示した。
 その上で、原告については同意がなかったと判断。
〔中略〕
 裁判官5人全員一致の意見。
 事業者側が妊娠、出産した従業員に不利益な待遇をする「マタニティーハラスメント」が問題となる中、司法が妊娠による降格を禁じた規定の例外を示して適用基準を明確化し、事業者に適切な労務管理を促した格好だ。
 女性は妊娠を機に負担の軽い業務への転換を希望したところ、副主任の役職を外された。女性が均等法違反を主張したのに対し、病院側は「役職を外した措置は合理的な裁量権の範囲内で、女性の同意も得ていた」と反論していた。

漸く裁判でマタハラに厳しい判決が出た。
あと訴訟を何件が起こして勝てば、社会も次第に変わってくれる。
アメリカの女性が自ら裁判で社会の現実を変えていったように。


妊娠降格訴訟:マタハラ 13年度の相談3371件(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20141024k0000m040122000c.html
”妊娠や出産を理由にした女性への差別は「マタニティーハラスメント(マタハラ)」と呼ばれる。厚生労働省によると、国には昨年度「妊娠や出産で不利益を被った」「母体の健康が配慮されなかった」などという相談が3371件寄せられた。この数年は3000件前後で推移している。
 この数字はセクハラ(昨年度6183件)のほぼ半分だが、マタハラ問題に取り組む連合非正規労働センターの村上陽子・総合局長は「手を挙げられないマタハラ被害者は他にも多数いる」とみる。
 センターが昨年実施した意識調査でも、マタハラ被害を受けた女性の45.7%が「我慢した。人には相談しなかった」と回答した。
〔中略〕
 法政大キャリアデザイン学部の武石恵美子教授(人的資源管理論)は「妊娠や出産を契機にした降格は、これまで雇う側の裁量に委ねられブラックボックス化していた」と指摘。「最高裁がこうした降格を原則禁止としたことで、企業側には今後、徹底した話し合いの中で女性が望むキャリアの在り方を決定していくことが求められる。女性が働く環境整備が前進するきっかけになるのではないか」と話す。【山本将克】”

上の訴訟では病院がマタハラで訴えられている。
本気で仕事と育児の両立に取り組めば裁判になどならないから、
極度の人手不足か怠慢な職場はどんどん訴えられればよい。
そうしないと鈍い企業の鈍い経営陣は目が覚めない。

例の美容外科でもマタハラ訴訟があるらしく、
女性の多い職場でもマタハラが生じている事実が、
この問題の深刻さを示唆している。

▽ 仏のように長時間労働を厳しく規制し、全労働者が社会保障基金に積み立てればこうした問題は発生しない





『フランスの子育てが、日本よりも10倍楽な理由』(横田増生,洋泉社)


マタハラ被害が女性間で増加 「育休は1年半で十分」と識者(ポストセブン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20131126-00000000-pseven-bus_all
”妊娠経験を持つ女性社員の4人に1人が受けているとされるマタニティハラスメント(マタハラ)。安倍政権は“3年育休・抱っこし放題”プランを掲げて、女性の産休権利や出産後の職場復帰を後押しする構えだが、かえって現場の混乱に拍車がかかっている。
 とあるIT企業の30代男性社員が困り果てた顔でこういう。
「ウチの育児休業期間は最長で2年取得でき、復帰後のキャリア継続も可能ですが、出産後半年ぐらいで戻ってきて以前のようにバリバリと働く女性と、2年間たっぷり取ってからほどほどにしか働かない女性が同じ部署にいると軋轢が生まれやすい。『子育てを理由にいつも定時前に帰っているあの子と私が同じ給料なのは許せない!』なんて愚痴をこぼされて大変なんですよ」
 今年5月に実施した連合の調査によれば、マタハラが起きる原因のトップは「男性社員の妊娠出産への理解不足・能力不足」(51.3%)が圧倒的だが、じつは「女性社員の理解不足」も22%あり、女性どうしの嫉妬や嫌がらせも職場復帰を阻む壁となっている。
 近著に『マタニティハラスメント』(宝島社新書)がある人事ジャーナリストの溝上憲文氏が指摘する。
「仕事も家庭も両立させてなおかつ昇進したいという女性がいる一方、子供を産まないで働く女性もいますし、仕事はそこそこでいいから『良い母になりたい』という女性だっている。いろんな価値観を持つ女性のキャリアプランをよく聞かないまま、とにかく育休を長く取らせればやさしいと考えている企業が多いから、女性どうしのマタハラも減らないのです」
 よりによって、安倍政権は育休制度の拡充を図りながら、女性の管理職比率を2020年に30%(全上場企業)にまで高める政府目標を挙げている。これがマタハラ被害をさらに深刻にさせていると溝上氏はいう。
女性の積極登用は結構ですが、本来、管理職になれる能力のない女性や、そもそも管理職になりたくなかった女性を無理に押し上げることで、ほかの女性社員ばかりか男性からの批判も集中し、その矛先がマタハラに向かう悪循環を招いているのです。
 結局、いくら有能な女性の人材でも3年も休まれたらキャリアの継続は難しいし、管理職は男女関係なく、実力のある然るべき人を昇進させないと本人も会社も不幸になるというのが、多くの人事担当者が実感していることです

 では、企業のマタハラ対策、女性の積極活用の秘策はあるのか。溝上氏は全社員に占める女性比率が58%で、女性の多い職場として知られるベネッセコーポレーションの取り組みを参考にすべしとアドバイスする。
「ベネッセの考え方は【ワークライフバランス】ではなく、【ワークライフマネジメント(WLM)】。
〔中略〕
 例えば午後2時からの保護者会でも会社を休まなくていいように、コアタイムなしのフレックスタイム制度を設けたり、育児休業は1年程度と短いながらもライフスタイルに応じて時短勤務を利用できたりと、育休そのものの期間よりも戻りやすくする働き方や社員の意識改革をしています。
 ベネッセのほかにも、バンダイやファイザーなど女性の仕事への意欲を向上させる取り組みをしている企業の多くは、育休期間は1年~1年半と法定の範囲内か少し上回る程度に留めています。逆にいえば、その期間でも十分に仕事と家庭を両立できる仕組みがつくれるのです」(溝上氏)〔以下略〕”

雇用関連で冷静かつ鋭い取材をしている溝上氏が、流石の記事を出している。
昨年の記事であるが、現在も全く状況は変わっていない。

マタハラなどとつべこべ言わずに辞めろと思っているバリキャリ派女性、
無理に仕事仕事と言う女性がいると働かないといけなくなるから迷惑だと思っている専業主婦派が
この日本社会に絶対に多数いると確信している。
彼女らは育児支援のため負担が重くなると聞いたら激怒して本性を現し、猛反対するだろう。

▽ 見逃していたが、読んでみようと思う

『マタニティハラスメント』(溝上憲文,宝島社)

重要なのは自分の損得ではない。全体最適を考慮し、未来のために制度を再構築する取り組みだ。
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