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『エコノミスト』4月9日号 - 欧州の環境政策が「逆コース」へ、インフレと難民増加が原因

2024-04-04 | 『週刊エコノミスト』より
今週のエコノミストはかなり良い。
「俊敏なエコノミストは時宜に適った特集「EV失速」」
と先週に書いた通りであろう。

特集にない点を捕捉すると、欧米のEV促進策は中国勢に恩恵を与え過ぎた。
中国勢ばかりが伸びている現状ではEV補助金が正当化されないのは当然だ。

しかし同時に、気候変動対策には電動化は避けられないから
イノベーションにより電池価格が低下してゆき
日本企業がより低廉なEVを欧米市場に供給できるようになれば
必ず欧米はEV再加速に舵を切るようになる。それまで中国勢を抑止する必要があろう。


エントリーのサブタイトルは70頁より。
欧州のグリーンラッシュ(グリーンバックラッシュ)の背景に
インフレと農民の抗議運動、そして難民急増による極右勢力の伸長があるとか。
理念先行の欧州の環境政策に無理があった訳で、これからは再エネ投資に歩調を合わせ、
かつウクライナでロシア軍が消耗して停戦に追い込まれることで
欧州の脱炭素は再開されることとなるだろう。それまでの小休止である。

『週刊エコノミスト』2024年4/9号


市岡繁男氏は世界の公的債務拡大が2008年の金融危機前夜に迫っていると警告している。
しかも日米欧中の生産年齢人口は既に減少ステージに入っており
氏の懸念は決して杞憂ではないと言えよう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

ダイヤモンドの私立特集はよく売れているようだ。
但し日本社会としては決して望ましい現象ではない。

私立小中は教育投資として効果が低い。
日本は初等教育の質は高く評価されているから
本来なら高等教育以降こそが重要なのである。

先週「「中堅校人気で受験率が過去最高」ということは教育浪費の増加ではないか」
と書いたが、まさにその通りの内容と言えよう。


池上氏は今週の連載で、AO(総合選抜に名が変わったらしい)大学入試が
社会分断に繋がると懸念を示しており、米国や韓国で起きている問題を見る限り
氏の懸念は的確である。私立受験だけでなく日本は大学受験でも禍根が生じつつある。

‥‥因に、氏が挙げているエルシステマは処方箋として意味がない。
北欧のように新しいキャリアと直結した高等教育の再構築こそが重要である。
(事実、日本では既にAIやデータサイエンスでの人材不足が問題になっている)

『週刊ダイヤモンド』2024年4/6・13合併特大号 (中高一貫校&塾&小学校)


今週号で最も宜しくないのは佐藤優氏の書評。
「アイム総理」を取り上げているのだが
いつもの通りの我田引水の書評であり
「メディアの揚げ足取り」を批判し
(まるで自分がメディアの揚げ足取りをしていないかのような口ぶり!)
森喜朗が「北方領土返還に最も近付いた」などと臆面もなく放言している。

「近付いた」などというのは何ら客観性のない思い込みでしかなく
森喜朗時代も含め「北方領土は返還されていない」のが厳然たる事実である。
これでは情報分析ですらなくロシア流の情報操作に堕している、と言えよう。
森喜朗は外交では功績があったかもしれないが、東京五輪汚職はじめ
政治的には「害」が多々あったというのが公明正大な議論というものであろうに。
(悪い意味で、非民主的なロシアやアフリカに通じる側面があったと言うべきだ)

    ◇     ◇     ◇     ◇

東洋経済はメイン特集、市場関係者はバブルでないとしているそうだが
それこそバブルである明白な証拠なのに、何を書いているんだか。。

特集後半の「若者への強力な支援が必要」も口だけで、
延々と重くのしかかる高齢者三経費の負担こそ最大の問題なのに
他人事のように嘯いている酷い内容である。

『週刊東洋経済』2024/4/6号 (株価4万円時代の「お金」超入門)


今週の東洋経済で非常に高く評価できるのは92頁の寄稿、
「裁判官の昇進への意欲が「迎合」を招き司法を歪める」である。
政策研究大学院大学の後藤潤氏の執筆で、インドの司法組織を分析しているもの。

何と、高裁長官が誰になるかで地裁の判決が左右される傾向が確認されたとか!
これは昇進インセンティブによるものである可能性が極めて高く、
我が国で電力大手に有利な判決が出る理由をも整合的に説明するものである。
(是非、若手研究者は奮って実証研究されたいところだ)

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週はエコノミストに注目、「長短金利逆転でも景気堅調」という米国経済のコナンドラムが焦点。

▽ 米中では格差拡大、日本は「共同貧困」状態だとか。。(経済政策の大失敗である)

『週刊エコノミスト』2024年4/16・23合併号【特集:今こそ知りたい! 世界経済入門】


▽ 帰省の時期でもないのにお墓特集の東洋経済、「人口移動と家族縮小で経営悪化」だそうだ。。

『週刊東洋経済』2024年4/13号 (無縁時代の「お墓」新常識)

大して出生率を上げてないのに鼻息荒い前明石市長の特集も、奈義町の方が余程優秀なのに。
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