JA1KIH's Radio Memo

DXとの交流や設備メンテなどをアップしています。

SDRの実験(ケンウッドリグへバンドスコープをつける)

2014年02月11日 | 無線機

TS-950Sなどケンウッドの古いリグはIFが8.83メガ帯でその出力がSM-230などのためにバックパネルに出ている。 製品としてLP-PANが出ているが最近SDR(ソフトウエアラジオ)がテレビのワンセグ受信用として安価に手に入るUSBドングル(USBメモリより若干大きいサイズでVHFからUHF帯まで受信できる)を改造してHF帯を受信する記事が沢山出ている。 このUSBにはRTL-2832U デコーダチップが入っており、HF帯用に改造後、PCにSDRソフトを入れることによってHF帯のスペクトラムやウォータフロー画面が見えるというもの。 TS-950SのIFアウト(ピンジャックで出ている・・・・IFフィルタに入る前のワイドバンド信号)にUSBドングルのアンテナ端子をつなぐとバンドスコープとして使える(はず)。 以下手順。

  • USBドングルの入手  使ったのはDVB-T+DAB+FM DV3 USB2.0 ドングル、アマゾンに発注、一日で到着。 RT-2832Uチップを使った製品であればOK。価格は3K円程度。
  • USBドングルのドライバのインストール  SDRで検索すると沢山のサイトが出てくるので適当なサイトを選びダウンロード先などを確認、アイコムのサイトに手順が簡潔に出ているのでFB。 zadig_v2.0.1.60をダウンロード後手順に従ってインストールし、インストール後ドライバがちゃんと入ったかデバイスマネージャで確認。 libsub(WinUSB)devices配下に二つ入っていればOK。

Photo_2

  •   この状態でVHFからUHFは受信できるのでアンテナをつないでFM放送などを受信してこのドングルが動いていることを確認しておく。
  • ドングルの改造  HF帯を受信するにはRTL-2832Uチップのピン1と2にHF信号をインプットする必要があり、改造が必要、と言っても50Ω:200Ωのトランスをトロイダルコアでつくり実装するだけなので手間はそんなにかからない。 改造方法はいろんなサイトで紹介されているので参照。 トランスは中央上部にあるRTLチップの上に配置してある。 左はリグとドングル間に入れたBPF(FCZ9メガトランスを2個使用2pFで結合)

Usb

  • 次に、SDRソフトのインストールで調べるとSDR#やHDSRなどがあるので、SDR#をインストールしてみた。 最小限の設定は以下のSDRコントローラ参照。

Rtlsdr_controller

  • この状態でHF帯が全部聞こえる(ちゃんとしたアンテナが必要)ので試しに、夜7メガの放送バンドを聞いてみたら北京放送などFBに入感していたのでHF帯への改造も無事?だった。
  • 次に8.83メガ帯をリアパネルから取り出しドングルのアンテナ端子に接続すればスペクトラムが見える・・・と思ったらいろんなスプリアスらしきものが沢山・・・手持ちのFCZトランスを使って適当なフィルタを製作して途中に挿入。
  • ドングルの受信周波数を8.83メガに設定したところ、以下のような画面が出てきた。これは7メガを受信しているところで950のダイアルを動かしスペクトラムが立ったところにあわせるとそれなりの信号が聞こえる。 こんな小さなもので7メガがよく聞こえるので驚きの一瞬。 PCはWindows7,メモリ2GB

Sdr7

と、スムーズに行ったように見えますが、幾つか問題がありました。以下メモまで。

  • ドライバのインストール これには結構時間がかかりました。デバイスマネージャに出てくる表示が Windows7の場合、USBデバイス配下にでてくるのが正しいらしいのですが、実際にはルートに表示されています。最初この状態では動作せず、繰り返してやってみたらUSB配下にでたこともあり(ここら辺がよくわからない)そのときはSDRソフトで見ることが出来た。 デバイスソフトのインストール画面に幾つか異なるものも出てくるので必ず確認してインストールする必要があります。間違えてUSBキーボードを選んでしまい、キーボードがうごかなくなりました。
  • ドングルの改造はRTL2832Uチップのピンにトランスの一時側をつけるだけですが、ピンがとても小さくルーペで見ながら隣のピンとブリッジしないように作業するのは結構大変。 トランスは写真の様に小さなトロイダルコアにトリファイラ巻で作成していますが、品名不明なコアを使っています。 この改造によりチューナーチップは使えなくなります(VHFからUHFは聞こえない)。
  • SDRソフトはとても優秀でセッティングも簡単ですが、バンド幅が最小で0.25MHzなのでこれ以上細かくは見えない。 
  • 夜間受信するとIFにいろんな信号が入ってくるのでSDRで見るスペクトラムはとてもにぎやかです。 SDRを詳しくやっている方のWebにダイナミックレンジの測定結果などが参考になると思います。 自作したフィルタの効果がどれくらいあるのかは今後実験してみたいですね。
  • SDRソフトに受信周波数設定がありますが、ドングル自体に周波数のずれがあるのでリグでバンドを聞いてそれがPCから聞こえるよう調整、その後SDRソフトで補正すればすっきりします。 上記受信中の写真は補正前。

まだやっと受信できるようになったばかりですが、スペクトラムスコープがこんな小さなもので出来るので、今後SDRを使ったHFリグが沢山出てくるような気がします(アルインコからすでに出ています)が、メーカは付加価値をつけるところがなくなって商品企画が大変だなと思った次第。