以前入手したCDの714X(7メガは短縮3エレ、14メガも短縮の4エレ、21メガはフルサイズの4エレ)は2009年の7メガバンド拡張(7.0~7.1が7.0~7.2メガになった)以前の仕様なので7メガの拡張バンドではSWRが高くしばらく保管していました。 数年前?に714XWというアンテナ整合器(BS42とモデルで販売されています)付の製品が販売され興味がありました。最近保管していたアンテナを再度組み上げ、BS42の導入を検討していたところ、BS42の資料を入手でき、手持部品で実験が出来そうだったのでバラックに近いものを作り試してみました。 部品が限られていたので出来る範囲での実験です。(部品の定格等は無視!!しています)
製品では 7メガは3バンド切り替えで200KHzをカバー)、 14と21は4バンドでカバー となっていますが、アンテナの給電点に設置するチューナー部分とそれをコントロールするシャック内の切り替え箱を結ぶケーブルの芯数(AH3制御用ケーブルを流用)が足りない(5本→4本)ので14と21も3バンドとしています。
チューナー部分の構成は次の様になっています。
基本構成は給電エレメントを一番低い周波数に合わせておき、それに直列にコンデンサを挿入し見かけ上エレメントを短くし共振点を上にずらす方式です。 従い、コンデンサの容量を適当に選ぶことによってSWR最良点を変えることができます。 3バンド対応なので上記の表の様にコンデンサをリレーでオンオフしています。 L1とL2は714Xオリジナルのヘアピンがそのままではコンデンサを挿入できないので、同じ効果を得るためのコイルです。従い、オリジナルヘアピンは使用しません。 L1とL2は適当に作りましたが、インダクタンスが不足すると最良点でもSWRは1になりません(下の写真のLは不足しNGで、巻き数を増やして測定しています)。
コンデンサでエレメントを電気的に短縮するアイデアは以前CQ誌で見たことがありますが、計算式等について今回は検討していません。エレメントの共振点をずらす他のアイデアは、エレメントを一番高い周波数に合わせておき、コイルを挿入することによって周波数を下に下げる方法があります(ボトムローディング方式)。 この場合、714Xではエレメントを数十センチ短くし、挿入するコイルを追加してゆけば構成出来ると思いますが、既存エレメントはそのままでというわけにはゆかないので、コンデンサ方式で実験してみました。
714XはCWバンドに合わせていたので本体はいじる必要はありませんが、下の写真の様に、チューナーボックス内の配線がまずく(それにしても適当に試作したのが見え見えですね)、アンテナとボックス間を結ぶリード線をオリジナルの長さ約10㎝を半分にしています。(元は給電点とバランの間は10㎝) それでも、手持バランを分解し中身だけ利用して余分なリード線を最短になる様にしています。 実験目的だったので、ケースはDIYショップで売っていたもの(工具箱屋が考えたパーツケース、SUPER CLUB、耐久性抜群と書いてあった、蓋をすればきっちりしまるので雨水の侵入は多分大丈夫?)を使いました。
測定結果を以下に示します。 MFJ 259でシャック内で測定、アンテナ直下ではないので実データより良く出ていると思いますが、傾向はつかめると思います。
まず7メガから; Lはオリジナルで最良点だったもので配線長から少しずれています。Mは7.13メガが最良点でHは7.18メガでした。いずれも周波数が最良点から上にすこし上がると急激にSWRは高くなります。
次は14メガです。 14.05、14.15,14.20 MHzあたりが最良点です。 製品ではHHバンドがあり、周波数の上の方をカバーしていますが、実験では材料不足からHHは省いたので仕方ないですね。 SSBで14.300KHz付近を運用するにはHHバンドが必要です(Hポジションで何とかなりそうですが)。
21メガはもともとフルサイズなのでどのポジションでもほとんど同じです。傾向はこれでつかめると思います。 L;21.1メガ、M:21.2メガ、H:21.3メガ となっています。
バンド切り替え器は適当に自作しています。 右のCOAX SWはタワートップに取り付けた同軸切り替え器(3回路)の切り替えスイッチで、左が今回の実験に使っているスイッチです。 電圧は12ボルトです。 1(L),2(M),3(H)は7メガ用、4(L),5(M),6(H)は14と21メガ用です。
実験後思ったこと;
1)手持のアンテナアナライザー MFJ-259は古いタイプなのでリアクタンス分を見ることが出来ません。恐らくX成分が周波数によっては多くあり、実際アンテナチューナーなしで送信するといわゆる吸い込みが悪い?現象に遭遇します。 しかし、7メガのSSBバンドでDXとQSOする場合SWRが高く電波を出すのをためらっていたのがスイッチ切り替えで運用できるようになりそれなりの効果はあります。
2)一方、八木アンテナの場合、MMANAでシュミレーションするとフルサイズでも周波数によってゲインやFB比は変化します。このバンド切り替え方式の場合、アンテナをまわすと7メガの上の方でも、Sの変化は感じられ、それなりに動作しているはずですが、実測してみたいところです。
3)バンドを切り替えたとき受信感度にどう影響するかが興味あるところだと思います。結果は差異は感じられません。ごく弱い信号を聞いても同じように聞こえます(沢山試したわけではないので差異が出る場合もあるかもしれませんが)。 しかし、送信はリグ内蔵のチューナーでマッチングを取らないと半導体式リグではSWRが高いとパワーがでませんが、この方式を導入するとアンテナ自体のSWRが良くなるのでそのメリットは十分あると思います。
製品(BS-42)は仕様や構造、部品も確認されたものなので既存の714Xなどに導入検討中の方には参考になったかと思います。