JA1KIH's Radio Memo

DXとの交流や設備メンテなどをアップしています。

アンテナ帯域拡張実験(714Xの広帯域化)

2021年03月19日 | アンテナ

以前入手したCDの714X(7メガは短縮3エレ、14メガも短縮の4エレ、21メガはフルサイズの4エレ)は2009年の7メガバンド拡張(7.0~7.1が7.0~7.2メガになった)以前の仕様なので7メガの拡張バンドではSWRが高くしばらく保管していました。 数年前?に714XWというアンテナ整合器(BS42とモデルで販売されています)付の製品が販売され興味がありました。最近保管していたアンテナを再度組み上げ、BS42の導入を検討していたところ、BS42の資料を入手でき、手持部品で実験が出来そうだったのでバラックに近いものを作り試してみました。 部品が限られていたので出来る範囲での実験です。(部品の定格等は無視!!しています)

製品では 7メガは3バンド切り替えで200KHzをカバー)、 14と21は4バンドでカバー となっていますが、アンテナの給電点に設置するチューナー部分とそれをコントロールするシャック内の切り替え箱を結ぶケーブルの芯数(AH3制御用ケーブルを流用)が足りない(5本→4本)ので14と21も3バンドとしています。

チューナー部分の構成は次の様になっています。

基本構成は給電エレメントを一番低い周波数に合わせておき、それに直列にコンデンサを挿入し見かけ上エレメントを短くし共振点を上にずらす方式です。 従い、コンデンサの容量を適当に選ぶことによってSWR最良点を変えることができます。 3バンド対応なので上記の表の様にコンデンサをリレーでオンオフしています。 L1とL2は714Xオリジナルのヘアピンがそのままではコンデンサを挿入できないので、同じ効果を得るためのコイルです。従い、オリジナルヘアピンは使用しません。 L1とL2は適当に作りましたが、インダクタンスが不足すると最良点でもSWRは1になりません(下の写真のLは不足しNGで、巻き数を増やして測定しています)。

コンデンサでエレメントを電気的に短縮するアイデアは以前CQ誌で見たことがありますが、計算式等について今回は検討していません。エレメントの共振点をずらす他のアイデアは、エレメントを一番高い周波数に合わせておき、コイルを挿入することによって周波数を下に下げる方法があります(ボトムローディング方式)。 この場合、714Xではエレメントを数十センチ短くし、挿入するコイルを追加してゆけば構成出来ると思いますが、既存エレメントはそのままでというわけにはゆかないので、コンデンサ方式で実験してみました。

714XはCWバンドに合わせていたので本体はいじる必要はありませんが、下の写真の様に、チューナーボックス内の配線がまずく(それにしても適当に試作したのが見え見えですね)、アンテナとボックス間を結ぶリード線をオリジナルの長さ約10㎝を半分にしています。(元は給電点とバランの間は10㎝) それでも、手持バランを分解し中身だけ利用して余分なリード線を最短になる様にしています。 実験目的だったので、ケースはDIYショップで売っていたもの(工具箱屋が考えたパーツケース、SUPER CLUB、耐久性抜群と書いてあった、蓋をすればきっちりしまるので雨水の侵入は多分大丈夫?)を使いました。 

測定結果を以下に示します。 MFJ 259でシャック内で測定、アンテナ直下ではないので実データより良く出ていると思いますが、傾向はつかめると思います。

まず7メガから; Lはオリジナルで最良点だったもので配線長から少しずれています。Mは7.13メガが最良点でHは7.18メガでした。いずれも周波数が最良点から上にすこし上がると急激にSWRは高くなります。

次は14メガです。 14.05、14.15,14.20 MHzあたりが最良点です。 製品ではHHバンドがあり、周波数の上の方をカバーしていますが、実験では材料不足からHHは省いたので仕方ないですね。 SSBで14.300KHz付近を運用するにはHHバンドが必要です(Hポジションで何とかなりそうですが)。

21メガはもともとフルサイズなのでどのポジションでもほとんど同じです。傾向はこれでつかめると思います。 L;21.1メガ、M:21.2メガ、H:21.3メガ となっています。

バンド切り替え器は適当に自作しています。 右のCOAX SWはタワートップに取り付けた同軸切り替え器(3回路)の切り替えスイッチで、左が今回の実験に使っているスイッチです。 電圧は12ボルトです。 1(L),2(M),3(H)は7メガ用、4(L),5(M),6(H)は14と21メガ用です。

実験後思ったこと;

1)手持のアンテナアナライザー MFJ-259は古いタイプなのでリアクタンス分を見ることが出来ません。恐らくX成分が周波数によっては多くあり、実際アンテナチューナーなしで送信するといわゆる吸い込みが悪い?現象に遭遇します。 しかし、7メガのSSBバンドでDXとQSOする場合SWRが高く電波を出すのをためらっていたのがスイッチ切り替えで運用できるようになりそれなりの効果はあります。

2)一方、八木アンテナの場合、MMANAでシュミレーションするとフルサイズでも周波数によってゲインやFB比は変化します。このバンド切り替え方式の場合、アンテナをまわすと7メガの上の方でも、Sの変化は感じられ、それなりに動作しているはずですが、実測してみたいところです。

3)バンドを切り替えたとき受信感度にどう影響するかが興味あるところだと思います。結果は差異は感じられません。ごく弱い信号を聞いても同じように聞こえます(沢山試したわけではないので差異が出る場合もあるかもしれませんが)。 しかし、送信はリグ内蔵のチューナーでマッチングを取らないと半導体式リグではSWRが高いとパワーがでませんが、この方式を導入するとアンテナ自体のSWRが良くなるのでそのメリットは十分あると思います。

製品(BS-42)は仕様や構造、部品も確認されたものなので既存の714Xなどに導入検討中の方には参考になったかと思います。 



 

 


アンテナローテータ故障とエレベータ式タワーの問題

2021年03月13日 | アンテナ

先日ワッチしながら何気なしにRC-5Aのコントローラを見ていたら指針がふらふらし、時々ENDランプが点滅していました。ちょうどVK方面に向けていたのであまり気にもせず、南から北に向けようとセットしたところ、全く動きません! てっきりコントローラが故障したと思いましたが、マニュアルに従いローテーター本体の直流抵抗をシャック内で測定した(3本の端子間の抵抗をテスターで測定、正常であればマニュアルに記載された数十オームの抵抗が測定できる)ところ、なんと一つがオープン!! 単純に考えればタワーに上がっているローテータ本体のモーターが断線ということです。 理由はいくつか考えられます。 

  • ローテータケーブルが断線 ーーー 少し前に取り換えたばかりで断線であればショックです。
  • ローテーターとケーブルをつないでいるコネクタで接触不良などが発生した。
  • ローテーター内部のギアに何らかの問題(グリスが固まった、ギアが欠けたなど)が発生し、モーターに負荷がかかり断線した

いずれにしても、ローテータにアクセスしチェックしなければなりませんが、どうやってアンテナを降ろすかで問題発生です。 

エレベーター式タワーはアンテナを昇降できる位置が決まっているのです。二つ前の記事に図面入りで書きましたが、ある範囲内にブームが入っていないと降ろせません。 当局ではブームが北東の位置でないと降ろせません。 南に向けているということは、降ろせばブームがタワートップに引っかかります。 結論は、ブームを北東の方向にずらすしか方法はありません。 と、言うことはタワートップに登りマストクランプを緩めるか、ローテータのマストクランプを緩めるしか手はありません。 高所作業は危険なので、できれば避けたいところです。しかし、業者に依頼するにしても、クレーンを頼むにしても時間がかかり、春の風シーズンが始まっているので意を決し??ローテーターのマストクランプを緩め何とかブームを北東に向けることができました。 2つ前の投稿に書いた様に2本以上のブームがあり、お互いにずれているとこの作業はさらに難易度は増しますが、幸いブーム一本だったので多少は助かりました。

ローテーターを脚立でアクセスできる位置までさげ、チェックしたところ、モーターの断線が確認できたので交換しか手はありません。幸い同じタイプのローテーターを予備で持っていたので、全部取り換え無事復旧できました。 

エレベーター式タワーはアンテナの実験を楽しむ方にはベストな構造です。 クランクアップタワーは一番下げた状態でもタワートップは地上高7-8mくらいはあり、作業は気を抜けません。 エレベータ式はまわりが広ければ2mくらいまで下がるので脚立があればほとんどのアンテナ工事が出来ますが、上記問題があるので風がふくときは下げるのが鉄則です。 また、トラック(ローテーターやアンテナが搭載されレールに沿って上下する部分)を吊っているワイヤはタワートップで2個のプーリーでウインチとつながっていますが、このプーリーが変摩耗することもあるので(微妙なところです)時々プーリーをチェックする必要があります。 次の写真は8年間使い、頻度として年間数十回会昇降したプーリーの摩耗を新品と比較しています。 右が新品です。 更に摩耗が進むとワイヤがプーリーから外れ上げ下げできなくなります。そうなったら修復工事は結構費用と時間がかかるので、事前に交換する必要があるのです。今回登ってついでにプーリーをチェックし変摩耗は起きていないことを確認しました。

 

 

 


IARS & VK2ARZ  Max アンテナのプレゼンテーション

2021年03月13日 | DXとのおしゃべり

毎年東松山市で開催される日本スリーデーマーチ(3日間のあるきあるき運動)に参加していたVK2ARZ Max から彼がIARS (Illaware Amateure Radio Society)で行ったアンテナのプレゼンテーションの動画情報が届いたので紹介したいと思います。MaxはVKのシドニー近郊に住む84歳のOTで目がほとんど見えず、楽しみは無線と世界中で開催されている歩け歩け運動に参加することでしたが、コロナ渦騒ぎで去年はどこにも行けず、そのため無線のアクティビティーが少し上がっている様です。21.025MHz 日本時間朝7時ころに出ている様です。

IARS、ローカルなクラブの様です、紹介ページは以下、で2018年に行われたMaxによるアンテナ作りのイロハから始まる1時間以上のプレゼンテーションです。 興味のある方は以下の動画をご覧ください。

IARS presentation: Do it yourself low cost antennas (Max VK2ARZ)

Max VK2ARZ presentation on do it yourself low cost antennas using wire...

youtube#video

 

こちらはIARSのトップページです。 IARSのURLは https://www.iars.org.au/?page_id=27

プレゼンテーションを行っているMax  波長とインピーダンスの関係の講義中??