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キリギリスの年金 明石順平著

2020年09月19日 | 社会・経済

日本の年金制度は100年大丈夫とか言われる一方で、年金受給開始年齢を70歳や75歳に引き上げるとか、将来受け取れる年金は少なくなる等々聞いたことがあるはずです。 この本は今の年金が将来どうなるのか、日本の財政の現実と公表されているデータをベースに現状分析と将来見通しを知りたい方には良い本だと思います。9月に出たばかりなので本屋さんの新刊本コーナーやネットで購入し是非読んでみてください。

第一章:老後2000万円問題

第二章:公的年金の歴史と仕組み

第三章:絶対に実現しない年金財政の将来見通し

第四章:アベノミクスと年金

第五章:MMTと年金

メモ

1.雇用によらない働き方の推進が言われています。 いわゆる個人事業主ですね。 何が問題かと言えば、企業は人を雇っていれば社会保険料を負担しなければなりませんが、企業から業務委託を個人事業主が受けると企業は保険料を払わなくていいので、特に厚生年金の保険料収入が減り問題となります。 企業は負担を免れる分株主に還元できますが、厚生年金への影響が生じます。

2.労働関連法規制の運用問題があり、低賃金・長時間労働が可能となり、その結果賃金が上がらず、労働者の労働意欲に影響し、イノベーションも出にくくなっている。 非正規雇用や派遣労働者の増加(すでに労働者の4割)は低賃金により社会保険料収入減に結びつき社会保障への影響がじわじわと出ている。

3.一般会計と特別会計 国の予算と一般的にいわれているのは一般会計で約96兆円(H30年度)、特別会計は約144兆円あり、合計は240兆円となります。 特別会計は13項目で構成され、年金特別会計はそのうちの一つです。  

4.一般会計の歳入はH30年度で約59兆円、一方支出は約98兆円なので不足分の大半は国債でまかなわれ、国債の内赤字国債は27.6兆円となっています。 過去(高度成長期)には歳入>歳出の時もありましたが、赤字国債を発行しだしてからは毎年歳入<歳出となっています。GDPを増やし、労働者の賃金を増やし、税収を上げない限り、又は社会保障費を沢山使っている人たちが突然元気にならない限り、いつまでも赤字国債発行が続きます。 その結果どうなるかは誰もわかなりし、公の場で議論もありません。神のみぞ知るでしょうか? 日銀が毎年国債を銀行から買い続け赤字補填しないと今の予算はアウトです。 いつまで持つのか?

5.色んなデータがこの本に掲載されているのでニュースやテレビ番組で日本経済について疑問が出た時参考になる便利な本でしょう。