先般友人から頂いたQST 2017年10月号に参考になる記事が出てたので紹介しましょう。上記タイトルは意訳です。 記事のタイトルは次の様になっています。
タイトル: Understanding Propagation with JT65, JT9, and FT8
サブタイトル: Despite poor HF conditions,hams are still working plenty ofdigital DX. Here are some of the secrets of their success.
サブタイトルの様に、このコンデションが悪いなか多くのハムがデジタル方式でDXを楽しんでいる、その秘密に迫った・・・ 。
ご存知の方は多いかもしれませんが、雑音の中に信号があり(意味するところは受信機で聞いても自分の耳にはノイズしか聞こえないと言うことです)そを解読し交信出来る様にソフトが作ってあるのがデジタルモードです。ソフトでどうやって処理しているのかについてはK1JTが同じQSTで Work the World with WSJT-X, Part1: Operation Capabilities で解説していますが、この記事はなぜ弱い信号でもDXが出来るのかと言う点のフォーカスしています。まずは該当記事から(スキャナが上手く撮れていなくてSRI)。
以下サマリー的に纏めてみました。
1.ここで議論されているのはアメリカのある2地点間 Spokane/WashingotonとCleeveland/Ohio間約2886Km間のMUF変化と太陽黒点数(SN)の関係です。 28メガでこの距離間が使えるのはSNが75以上のときで、今の様にSNがゼロ近辺では20メガ以下しか使えません。(図1)”太陽黒点のありがたみがわかりますね。”
2.使えななくなる理由は電離層反射が無くなりアンテナから出た電波が電離層を突き抜けて宇宙に行ってしまうからです(図2)
3.100Wに3エレトライバンダーそしてCWを2局が使用したときSNと受信レベルの関係が図3に示されますが、SNがゼロでは-230dBmとなり何も聞こえません。 SNが25でやっと何か聞こえる程度です。 注)地上波では当然ある距離間の通信はできます。
4.しかし、実際にはSNが少なくなりMUFが下がってきてもわずかですが電離層反射がありそれが遠方まで届いています。 しかしそのレベルは非常に低いのでSSBやCWでは了解出来ないケースがあります。 図4がその概念図です。Philips-Abel理論と言うそうです。ロス(損失)と言う考えを使うようですね。
5.図3を信号対雑音比で表したのが図5です。これは10Wで且つ帯域巾2KHzで求めたとあります。(何故かSN=0がありませんが the data point at a smoothed sunspot number of 0 is not plotted to give better resolution to other data と説明しています)。 このグラフからデジタルモードはSSBやCWに比べ25dB程度SNRが悪くても解読できると読めます。
6.MUFが低くなっていてもそれより周波数が低いバンド、例えば7メガや3.5メガそれに1.8メガではCWやSSBで聞こえないところでもQSO出来るわけです(SNRで25dBも有利なので)。 又ハイバンドではMUFより高い周波数で出した電波の内すこしだけ反射してきますが、そのレベルが低くてSSBやCWでは聞こえなくてもでデジタルモードであれば25dB程度有利なのでQSO出来る可能性があるわけです。