エレベーター式タワーはアンテナの上げ下げが自由に出来、色んなアンテナをいじってみたい人には利用価値があると思います。もちろん可動部分のメンテナンスはそれなりに必要ですが、高所に上らなくて済むのは助かります。 ところが、強風時、マストとブーム(又はエレメント)を止めるマストクランプが強風によりブーム方向がずれ、アンテナが一つの場合はローテータで方向を合わせれば昇降できるので問題はありませんが、2つ以上のアンテナを上げた場合、ブームがある範囲以上ずれると昇降が出来なくなり高所作業が必須となります。
図で示すと次の様になります。
この問題を避けるには
・大型のマストクランプを使用し少々強い風でもブーム方向は変わらない様にする。
・ブームステーを張る。 ただしエレベーター式の場合昇降の邪魔にならない様にするのは難しく一本だけになります。無いよりましです。
・アンテナを一本だけにする。
先日の強風で2本のアンテナのブーム位置が上図の様になり、かろうじてタワーに上らずに降ろすことが出来ましたが、正にひやひやものでした。 そこで、アンテナを一本にしてみようと検討した結果、トライバンドアンテナ(714X)のブームに WARCバンドのDP(RN-3)を載せる実験をしました。 次の写真は714Xの14/21のDIRのすぐそばにRN-3を載せたものです。
左側がRN-3(30m、17m、12m 3バンドのダイポール、ミニマルチ)で右側のエレメントが714XのDIRエレメントです。
実験の結果:
714Xは各バンドともRN-3を付ける前と同じSWR特性でした。 F/B比やゲインがどうなっているかは測定器がないのでわかりませんが、DXの信号を聞いた感じではRDPを取り付ける前と同じ様に聞こえていました。
RDPは単独で測定したSWRと比較すると、10メガではほとんど同じでSWR=1.2程度、18メガも同じく1.2程度、ところが24メガはSWRは2.5程度になり(単独では1.5以下)チューナーなしでは送信パワーが大幅にダウンします。 RDPの取り付け位置は714Xの重量バランスとの関係で適当にはできないので次の対策をとっても極狭い範囲になります。
RDPを追加することにより、714Xのアンテナ全体の重量バランスが崩れ、エレベーターのトラック(昇降する部分)とレール間が片側に負荷がかかり好ましくありません。そこで、714Xのブームの一部を変更し、バランスがとれるようにしてあります。その結果、スムーズに昇降が出来る様になっています。
2本のアンテナ位置をずらして設置するほうが性能面ではFBです。しかし、春一番以降強風の可能性も高くそのたびにアンテナを下ろし損ねると後が大変になる可能性があります。 上記の様にするとブームがずれてもローテーターで補正すれば下げられるので安心です。
しばらく使ってみてダメな場合は別の手を考えたいと思います。