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近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

" 光る君へ " ② 道長の尻を蹴り上げ ! そして誓い合い身を重ね合う"まひろと道長"

2024年03月22日 | テレビの話し

"光る君へ" 3月3日放送の第10回「遠くの国へ」、10日放送の第11回「月夜の陰謀」までを、先日、見ました。

それにしても、毎回、オープニングで流れる、テーマ曲と云い、タイトルバックの映像と云い、それなりに、お金と手間暇かけ、豪華で絢爛で雅で、格調高く、妖艶で、とても、とても、好きです。

それで、「遠くの国へ」「月夜の陰謀」のお話です。

支配体制の頂点近い位置に居る、藤原家の三男の道長。史実では、道長の時代に、藤原家の "摂関政治" の全盛期を迎えた、とされています。権力闘争大好き人間だったようです。

このドラマでは、謀略を巡らす権力闘争には興味なし、極少数の支配階級に、富と権力が集中し、圧倒的多数の被支配階級は、貧しく、卑しいとされる、国家の在り方に疑問を抱く、そんな男として描かれています。

脚本家は当然、道長の史実は "百も承知で二百も合点" ですから、若き日の道長が、権力闘争大好き人間に変化していく過程を、まひろ(紫式部)との関係の中でドラマチックに描きあげると云う寸法?

権力は魔力的で、魅力的で、維持するためには、志とは異なる政策も、時には必要となり、そんな、こんなを繰り返すうちに、いつしか、逆転現象が起こり、権力維持が目的となり、志は遠く彼方に消え失せてしまう? 

はい、それでは、この辺で、ドラマに戻ります。

政治に関心のない道長、父たちの権力闘争に嫌気がさし、"まひろ"に、

『一緒に都を出よう。海の見える遠くの国へ行こう。俺たちが寄り添って生きるにはそれしかない』

『どうしたの?』

『もっと早く決心するべきであった。許せ』

『そんな・・・。』

『藤原を捨てる。お前の母の敵である男の弟であることをやめる。右大臣の息子であることも、東宮様の叔父であることもやめる。だから一緒に来てくれ』

『道長さま・・・。うれしゅうございます。うれしいけど・・・どうしていいか分からない。

『分からない?』

『大臣や摂政や関白になる道をを本当に捨てる?』

『捨てる。まひろと生きてゆくこと、それ以外に望みはない』

『でも、あなたが偉くならなければ、直秀のような無残な死に方をする人は無くならないわ。鳥辺野で、泥まみれで泣いている姿を見て、以前にも増して道長様のことを好きになった。前より、ずっと、ずっと、ずっと好きになった。だから、帰り道私も、このまま遠くへ行こうと言いそうになった。でも、言えなかった。なぜ言えなかったのか、あの時は、よく分からなかった。でも後で気づいたわ、二人で都を出ても世の中は変わらないから。道長様は偉い人になって、直秀のような理不尽な殺され方をする人が出ないような、よりよき政をする使命があるのよ。・・・この国を変えるために、道長様は高貴な家に生まれてきた。・・・ひもじい思いもしたこともなない高貴な育ちのあなたが、生きていくために魚を採ったり、木を切ったり、畑を耕している姿、全然思い浮かばない』

『まひろと一緒ならやっていける』

ここで、まひろは、:現実から逃げるな、現実をみろ、と、きつく、強く、厳しく、道長の尻を蹴り上げ、突き放す言葉を放ちます。

『己の使命を果たしてください !  一緒に遠くの国には行かない ! 』

そして、すかさず、心を引き寄せ鷲づかみの言葉、

『でも、私は、都であなたのことを見つめ続けます。片時も目を離さず、誰よりも愛おしい道長様が、政によって、この国を変えていく様を、死ぬまで見続けます』

道長はまひろの言葉に、想いに、心を揺さぶられ、動かされ、誓いあい、心を、唇を、身を、重ね、想いを一つにするのです。

世の中は、男と女の "上部構造と下部構造" と、社会の上部構造と下部構造が、絡み合い、もつれ合い、変化していくのかも・・・・・・。

 このカット、まひろと云うよりも、かなりリアルな吉高由里子 ? 吉高の、甘ったるく、やわらかい、笑顔、話し方と声、好きです。

実際の紫式部とは吉高由里子は、内面的には似ていて 、二人は、かなり理屈ぽく面倒くさい女性では ? 外面的には、かなり異なる女性だったような気がします。

 

それで、このカット、この台詞もよかった。涙を流すまひろに、道長は、

『振ったのはお前だぞ』

『人は幸せでも泣くし、悲しくても泣くのよ』

『これは、どっちなんだ ? 』

『どっちも。・・・幸せで悲しい』

道長とまひろ、最上級の貴族と、最下級の貴族、都では、決して結ばれることは無い、悲しい決断。このことで、まひろの志を成し遂げる、一歩を踏み出した喜び。

まひろは、紫式部は、面倒で、ムズカシイ女性なのです。

『送っていこう・・・また会おう。これで会えなくなるのは嫌だ』

すこしだけ微笑む "まひろ"

いいシーンでした。吉高の表情が、涙が、セリフの間が、語り口が、いい芝居をしています。そうでした、音楽も、照明も、セットも、カメラワークとても良かった。そうでした、脚本が、演出がよかったのでした。

この回の、このシーンが、前半の山場でした。

しかし、この設定は、前回の "どうする家康" の「家康と瀬名」の関係と、うりふたつに見えてしまいます。

所詮、この世は、女と男・・・ですかね ?

歴史は、女によって創られる ?  なんて諺が、格言が、言い伝えが、有ったような ?無かったような? 

それにしても、面倒くさい女に惚れてしまった道長。史実には、道長と紫式部に、それなりの関係を示す記録は無いようです。ただ、「紫式部日記」には、少しだけ道長について触れた記述はあるようです。

兎に角、"光る君へ" 面白いです。

 

それでは、また。

 

 


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