テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

― 時をも超えて ―

2017-12-10 22:07:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぜェ~んぜんッすすんでませんでスゥ!」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!もう諦めよう!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、今年もまた、満杯の本棚を前に途方に暮れておりますよ。
 これって全活字マニアさん共通の悩みなのかしら~?と
 なぜかニヤけてしまいつつ、
 さあ、本日の読書タイムは
 こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
 
  



      ―― 魂でもいいから、そばにいて ――



 著者は奥野修司(おくの・しゅうじ)さん、2017年2月に発行されました。
 『3・11後の霊体験を聞く』と副題が付されています。

「えェッ? れいィたいけんッ???」
「ぐるがるっ?」(←訳:怪談なのっ?)

 そうねえ、『魂』という言葉が題名に、
 『霊体験』という言葉が副題に入っていますから、
 どうしても思ってしまうかもしれません。

 これってオバケとか幽霊のお話?
 怪談? 
 ホラー?

 しかし、私見ではありますが、
 あらゆる先入観を抜きにして、
 既成概念も放っぽらかして
 この御本に接していただきたいのです。

 あのとき、何が起こったのか。

 そして、時間が経過したことで、
 何が出来(しゅったい)したのか。

「じかんはァ、ばんのうやくゥ??」
「がるるるぐるるるるる」(←訳:すべてを癒してくれる?)

 時間とは、
 ひとが負った傷を癒し治してくれる最高の薬……ではない、
 必ずしもそうではない、
 むしろ時間の経過によって
 傷が肌に浮き上がってくることもある、と
 震災を見てきた私たちは知っています。

 治らない傷も、ある。

 いえ、治らない傷がこの世に存在してもいい。

「いろんなァきずがァ~」
「ぐっるるる!」(←訳:あっていい!)

 そんな“傷”の物語を、
 震災後、何度も被災地に通っている著者・奥野さんは
 或るお医者さんから教えられます。

 震災後、
 被災地で語られる幾つもの《幽霊譚》。

 それを、オバケの話だナンセンスだ、と
 斬り捨ててしまっていいのだろうか。
 見過ごしてしまっても、
 いいのだろうか――

「きめつけはァ、だめでス!」
「がっるるるぐるがるる!」(←訳:まっさらな目で見よう!)

 奥野さんは
 《幽霊譚》の語り手さんと出会い、
 調査に取り組みます。

 一度だけではなく、二度三度と、
 聞き取り調査を行い、
 見詰めます。

 ただし、
 幽霊譚は真実なのか――が問題なのではなく。

 語り手の傷の深さ、
 いまも続く傷の痛みを知るために。

「おおぜいィのォひとのォ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:不思議な体験!)

 《旅立ちの準備》
 《春の旅》
 《夏の旅》
 《秋の旅》
 そして《旅のあとで》。

 奥野さんの旅を、
 こんなのたわ言だと
 排して信じない方々も、
 確かに居ることでしょう。

 或いはまた、大いに共鳴する方々も
 おられることでしょう。

 どちらを選ぶか、
 どちらを択るか?

「きめるゥためにもォ」
「がるぐるる!」(←訳:先ず読もう!)

 この先も長く長く残る《こころの傷》の記録、
 どうか皆さま、ぜひ、一読を。

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ~ 水草に、会いにゆく ~ | トップ |  ~ 鳥獣たちが、歌って踊... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブックス」カテゴリの最新記事