テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

こころへ、とどけ。

2017-05-19 21:52:38 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、かんぜんなァ~」
「がるる!ぐるるるるーるがる!」(←訳:虎です!アイスクリーム日和!)

 こんにちは、ネーさです。
 アイスクリームと日傘も必須の明る~い春の日は、
 さあ、このところ拙ブログではすっかり恒例の
 あのシリーズで読書タイムですよ。
 こちらを、どうぞ~♪

  



    ―― 文豪ノ怪談 ジュニア・セレクション 霊 ――



 編者は東雅夫(ひがし・まさお)さん、2017年3月に発行されました。
 先日は同シリーズの『呪』の巻を御紹介したばかりですが、
 来たわね、『霊』が!

「こわいィしりーずゥ!」
「ぐるるがるる!」(←訳:今度も怖そう!)

 古今の文豪さんたちが手がけた怖い話や不思議な話を通じ、
 日本語と日本文学の奥深い魅力に親しんでもらおうと編まれた
 文学ビギナーさん向けのアンソロジーシリーズ、
 《文豪ノ怪談ジュニア・セレクション》。

 こちらの『霊』巻に於ける著者さんは収録順に
 星新一さん、倉橋由美子さん、岡本綺堂さん、
 室生犀星さん、水木しげるさん、三浦哲郎さん、久生十蘭さん。

 御本の表紙には、やや大きめに、
 星新一さんと室生犀星さんのお名前が書いてあります。

 なるほど、それも道理だ、と思わせてくれるのは、
 いちばん初め――
 目次の次のページから始まる
 星新一さん著『あれ』。

「……そのォ、だいめいィ……!」
「がっるるぐるる……!」(←訳:すっごく怖いぞ……!)

 物語の幕が開くのは、
 あるホテルの一室。

 ひとりの会社員さんが
 出張でその地方都市を訪れ、
 ホテルに宿泊したのです、が。

 静かな真夜中に、
 彼はふと、目を覚まします。

 背中のあたりに、つめたいものが――

「ひいいいィ!」
「ぐるがるぐるっ!」(←訳:もう充分怖いっ!)

 ホテルで。夜中に。奇怪な気配。

 な~んだ、そんなの。
 よくある話じゃん。定型ってヤツだよ。

 と、鼻で笑う活字マニア諸氏もおられましょうが、
 この後の展開が、おそろしい。

「むぐぐゥ? もッとォ、おそろしィことがッ??」
「がるるるるるるぅ!」(←訳:考えたくないよぅ!)

 普通でない体験をした人は、
 心の内にその体験を閉じ込めておけるものでしょうか。
 ついつい、誰かに打ち明けたい、
 聞いてもらいたい、と
 考えてしまうものではないでしょうか。

 会社員さんは親しい同僚さんに
 静かな夜の不思議な体験を話します。

 すると、より不可思議な出来事が
 彼の身に……?

「ええええェッ?」
「ぐるるぅ!」

 この『霊』巻を導く“言霊”のような
 星新一さんの短編に、さあ、盛大な拍手を!

「こッ、こわいィけどォ!」
「がるるるるるる!」(←訳:すばらしいんだ!)

 でもね、残念なニュースがあるのよ。

 金井田英津子(かないだ・えつこ)さんによる絵にも
 賛嘆の拍手を送りたいこの『霊』巻をもって、
 《文豪ノ怪談ジュニア・セレクション》シリーズは
 完、のようです。
 ああ、もったいない……(←溜め息)。

「ふァ? おわりィ?」
「ぐるっるぅるる?」(←訳:終わっちゃうの?)

 いつかまた、
 再開してほしい《文豪ノ怪談》シリーズ。

 『夢』『恋』『獣』『呪』『霊』から成るシリーズの、
 どれがおすすめかといえば、
 ええ、そうですねえ、
 『夢』もしくは『恋』の巻から
 《怪》の世界へ
 ちょっとずつ踏み入ってみてはいかがでしょうか。

 《怪》だけれど、ただの《怪》ではない
 文豪さんたちの見た夢。

 大人な方々も少年少女さんたちも
 どうか、ぜひぜひ、
 一読してみてくださいね~♪



 
コメント
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