「ネーさッ!
わらいィましょうッ!」
はあ? いきなりどうしたんですか、テディちゃ?
「テディちゃ、わらえちゃうゥおはなしィ、よみたいィでス!」
……ふうむ、昨日のTV番組の影響で、
笑いのスイッチが入ってしまったんですね。
では、探してみましょう、えーと……(←本棚を睨んでいます)
よぉし、この御本にいたしましょう!
―― 大はずれ殺人事件 ――
著者はクレイグ・ライスさん、原著は1940年に発行されました。
英原題は『THE WRONG MUEDER』となっています。
題名でお分かりのように、
或る事件が起きました。
場所は、米国イリノイ州の大都市、シカゴー―
「わほッ!
ぎゃんぐゥのォ、まちィ!でスねッ」
そうですね、映画『アンタッチャブル』の時代より
何年か後、という頃合いでしょうか。
「あッ! あのひとォ、おさけェのんでるゥ!」
いいんですよ、禁酒法はもう廃止されたんですから。
それに、あの男性には祝杯をあげる理由もあるんです。
結婚式を挙げたばかり!
新婚ほやほや♪なんです!
「わほゥ! おめでとゥ!」
ジェーク・ジャスタスさんは、
赤毛にソバカス、背が高くて、もと新聞記者。
大恋愛の末、金髪美人のヘレンさんと結ばれました。
ああ、幸福!
バラ色の人生!
……でも、心配事がなくもありません。
目下、ジェークさんは無職も同然なのに、
ヘレンさんときたら、大富豪の跡取り娘!
「えェッ? すごすぎィ!」
ジェークさんは、しかし、妻の実家に養われるのではなく、
自分の稼ぎでヘレンさんと暮らしたい、と望んでいます。
そんな考えを胸に抱きつつも、
結婚祝いのパーティでグラスを傾けていると、
一人のお客さんがとんでもないことを言い出しました。
《殺人をやってみせるわ、
そして、決して捕まらないで済ませてみせましょう》
「ぷんぷんッ! ふざけちゃだめでスッ!」
発言したのは奇人として知られるモーナ。
そう、みな彼女はふざけているのだと思いかけ……
なのに、ジェークさんときたら!
そんな馬鹿な!
あら、お賭けになる?
いいでしょう!
と、挑発に乗ってしまいました。
「わちゃちゃァ~、やッちゃッたァのでスねェ~」
賭けの対象となるのは、
シカゴ最大の豪華ナイトクラブ『カジノ』の所有権。
賭けに乗ったジェーク自身も、
こうなっては冗談としか考えられません。
そりゃ、『カジノ』のオーナー職は魅力的だけど、
いくらなんでも、なあ?
酒の席での悪ふざけだったんだろう……。
しかし、
翌日の新聞には!
「うわわゥ! じけんのォ、ほうどうがァ!」
冗談が現実に?
それとも偶然の一致?
ジェークさんとヘレンさん夫妻、
夫妻の友人である弁護士マローンさんは
半信半疑で調べ始めます。
本当に、彼女はやっちまったのか……?
『カジノ』オーナーにしてシカゴ社交界の有名人モーナ、
飲んだくれの弁護士マローン、
大物ギャングのマクス・フック、
シカゴ警察のフォン・フラナガン、
どこかピントのずれた登場人物たちが
事件にいっそうの混乱をもたらします。
はたしてモーナの予告は冗談だったのか、そうではないのか――
笑えちゃうような状況の下に、
本格ミステリが隠れています。
実力派探偵作家クライグ・ライスさんの
代表的な作品を、ぜひ!
「じぇーくさんはァ、かてるのかなァ??」
その結果は……もちろん、秘密です!
(画像はネーさ所有の旧版です。
現在は装丁等改変されておりますので、御注意を)