おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

乾くまで

2024-01-31 11:16:52 | イラスト
 水をたっぷり含ませて、少しずつ薄い墨で描いていく。2度塗ると重ねた部分だけが濃くなるので、それで少しずつグラデーションを作っていく。塗った瞬間、思ったより濃い色の墨になってしまうと、もう2度と薄くはできないので、それに合わせて周囲を濃くしてバランスを取っていくしかない。そういう失敗を繰り返しながら、ちょっとずつちょっとずつ描き進めていく。

 一度描いた線は消せないということで、訂正が効きにくいということで言えば、彫り進むことで形を作る木彫などに似ている。大胆さを欠いてはちっとも先に進めず、かといって大胆すぎると後戻りできずに失敗に終わる。なんだか人生に似ているのである。



 完成に近づいたテオくん。画面が水を含みすぎると、新たに墨を乗せても広がるばかりで、紙がブヨブヨになるだけだ。そういう時は一度筆を止めて乾くのを待つ。形が決まったら、下書きの鉛筆の跡を消して、最後の仕上げをする。この前は早く完成したくて消しゴムを使ったら、まだ完全に乾き切らない紙が少しだけペロリとめくれてしまった。待つのも仕事のうちなのである。
コメント
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