夏の間、描こうとしてうまく行かず、そのままほったらかしにしておいたモチーフに、朝露がびっしりついて朝日に輝くクモの巣があった。頭で想像してみたところで、実際に手を動かして絵にするというと、どこから手をつけていいのやら見当がつかなかった。その後、いろいろ絵を描いていくうちに、朝露の水滴がわかってきたので、季節外れになってしまったが、改めてクモの巣と朝露の絵に挑戦することにした。
水滴というのは、ただ白い丸を描けばいいというものではない。それだとただの斑点のようになってしまう。透明感と光に輝く感じを出すには、白い丸の中に、その向こうにあるはずの色を足してあげれば、それっぽくなる。
実際にリアルに描こうとすれば、それだけでは全然朝露っぽさはないだろうが、単純に2色だけを使い、白い丸の上にもう1色を重ねると、究極の手抜き画法が確立できるのである。
それにしても、真冬に夏の絵を完成させるというのが、ここまで気分が乗らないとは思わなかった。