おっさんひとり犬いっぴき

家族がふえてノンキな暮らし

自己記録

2018-01-15 13:51:16 | 福島

 昔読んだ植村直己さんの「青春を山に賭けて」を読み返している。植村さんは、最初から冒険家として活躍しようと考えていたわけではなく、ただ誰にも迷惑をかけずに好きなことをしようと思っていたのだが、ある時、未踏峰だったゴジュンバ・カンの登頂を手伝うために、日本隊に合流する。計画に最初から関わっていたわけではないので、荷揚げやルート工作といった裏方に徹しようと思っていたところ、様々なアクシデントから登頂へのアタックのお鉢が植村さんに回ってくる。

 未踏峰の登頂を最初に果たすというのは、途中参加の植村さんにとっては、トンビが油揚をさらうような格好になるので気が進まなかったが、命令とあれば恩返しのためにも絶対に登頂を果たさなければならない。で、100%の力を出し切って成功させるのだが、降りてきた時にはまったく体力が残っておらず、猛烈な空腹にもかかわらず、リュックの中の食料を取り出すこともできないほど疲れていた。

 この登頂は、早速日本で報道されたが、植村さんばかりにスポットライトが当たったため、植村さんは他の隊員に申し訳なくなり、登頂後日本へは帰らなかった。それからの植村さんは、誰にも迷惑をかけないようにするために、自分ひとりで冒険を計画し、自分ひとりで行動するというやり方を貫くのである。

 それにしても、腹が減っているのに、食料を取り出せないほど疲れているとはどういう状態を言うのだろう。それを考えると、僕が「ああ、しんどい」と音をあげる地点というのは、実に甘ちょろいものがある。こりゃいかん。もう少し頑張らなきゃいけない。

 というわけで、今日のランニングは折り返し地点まで、帰りのことは考えずにがむしゃらに走った。結果、41分40秒。今まで何度走っても45分を切るのが難しく、45分を切ったのは、ようやく年末になって出た44分30秒と先週更新した43分30秒だけだったのだから、一気に自己記録更新である。

 もっとも、記録としてはまったく亀のようなのろさでお話にならないが、年々歳をとっていくことを思えば、ここにきての自己記録更新は僕にとっては価値のあることだ。大会に参加するわけでもなく、自分で設定したコースの距離も正確にはわからないにしても、誰にも迷惑をかけるでもなく、ヘトヘトになっているというのは、ほんの少しだけ植村さん方式を採用できているようで嬉しい。

コメント
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