先週と今週との7日間、「公衆衛生実習」という実習で、保健所の事業を学ぶ!という一週間でした。
内容としては、地域のリハビリセンターや老健施設や、へき地医療拠点病院に見学に行ったり、保健所の事業である発達相談や未熟児家庭訪問をみたり、食品衛生ということでハム工場に行って衛生管理を見学したり、と盛りだくさんでした。
私が行った保健所が、かなり県北の保健所で、一番心に残ったのが「へき地医療」の現状を見れたことでした。
医療者不足、産科がやばい、沢山色んなトコで聞いた話。だけど現実の話を聞くと、余計インパクトが強かった。
中核病院に、押し寄せる患者。
数十億円を越える赤字。
脳外を閉めた病院。
婦人科を閉めて産科だけに集中している病院。
一人の医師あたり、年200-300もお産を見るような、厳しさ。
良性疾患のオペは後回し。8ヶ月も待たされる。
一次救急や、退院後のフォローを任せたいのに、足りない診療所数。
「今度、隣の市に一つ○○科が開くらしい、先生が1人見つかったんだって」という情報に喜ぶ職員のみなさん。
正直、こんなに厳しいのかと、ショックだった。
巡回診療と言うものに、同行させていただいた。
山奥の村、25世帯(人口70人程度)のへ村、山道を1時間かけて巡回バスで登る。
問診をして血圧を測り、2週間分の薬を渡す。
持ってきているのは、血圧計と心電図とエコー、そして頼りになるのは先生の聴診器。
お薬を変更しても、湿布くださいと言われても、採血しても、その薬をその採血結果を持ってこれるのは、早くて1週間後だ。
限界集落ってこうゆう場所のことか、と思った。
お米も自分達で食べる分のみ。食料は販売車が回ってきたときに買う。住んでるのは、本当に高齢者ばかり。
いくら赤字でも、医療は利益のためにやるのではないと、つくづく実感した。そこに住んでいる人がいるのならば、その地域の支えとなる公立病院を、切り捨てるべきでない。
今回報告書作成中に、勉強していて知ったこと。
総務省が2007年12月24日に発表した「公立病院改革ガイドライン」
公立病院の財政黒字化を推進するもので、
例えば、過去3年間において病床稼働率70%以下の公立病院は、病床数削減か、診療所への切り替えを進める、とされている。
私の行ったへき地のその病院の病床稼働率は、5割を下回っている。
医師不足、診療科の削減、それに伴い採算の取れる科の閉鎖、看護師不足、慢性疾患の長期入院…。
解消しようにも、医師・スタッフの不足が一番苦しく、人を連れてくるにもお金が必要で、悪循環なことこのうえない…。
イギリスの医療制度が崩壊し、盲腸で腹膜刺激症状があって救急に来ても診察まで1日待つという。胃がんのオペが1年後だとも、話を聞いた。アメリカはお金があれば診てもらえると言う、もっとシビアなものだ。
だから、こんなに公平な日本の皆保険制度、医療制度はすごいセーフティーネットだ。
なのに、ホントにこのままで日本の医療も、本当に大丈夫か?ってすごく心配になった。
「格差は広がるばかり」、それをつくづく肌で感じた1週間だった。
医療も福祉も介護も、法律一つで、振り回される。健康であることや保障された生活は沢山の人の、安心と幸せのベースとなるものなのに。
選挙、投票の大事さも、痛感した。
気づいたら、後期高齢者制度が始まってた、じゃなくて、本当に何が必要なのか、それで生活がどう変わるのか、関心をもって政治に主体的に参加しないと、って痛感した。
しわ寄せは、いつも、弱者へ。