
安保法制議論が闌となってきましたね。しかし、「現在、日本の国会で継続している安保法制論議からは、自主防衛力の構築など考えてもいないような政治家たちや、抑止力と日米同盟を同義と考えているような政治家たちの姿が誰の目にも明らかになっている。」と、米国におんぶにだっこの従来通りの片務的同盟への依存継続や、机上の法解釈の水掛け論ばかりで、環境の変化に対応して、日本国民をどう護るのか、国家の主権をどう確立するかの、自国を自分達で護る気概の無さを指摘する記事がありました。
圧倒的な軍事力の差がありながらも、敢然と自国防衛のために戦略を練り、実行しているベトナムの対中姿勢は、対案もなく、ただ反対だけを唱える、政権能力の無さをさらけ出すだけの野党議員諸氏には是非学んでいただきたいものです。
6月23~24日、ワシントンDCで第7回米中戦略経済対話が開かれた。この会合は定期的に開かれている米中間の交流の一環であるが、今年は9月に予定されている習近平国家主席のアメリカ訪問に関する具体的な準備作業といった意味合いも持っていた。
■「人工島脅威論は米軍のプロパガンダ」という批判
その準備作業に関連して、中国側による、アメリカのメディアやシンクタンクなどに対する働きかけも強まっている。その結果かどうかは定かではないが、シンクタンクの研究者などから、米政府やメディアによる中国の南シナ海政策に対する強硬論を「冷静に再評価すべきである」といった論調が唱えられるようになってきた。
例えば、「アメリカ太平洋軍関係者たちのように、中国の人工島建設をはじめとする進出状況だけを取り上げて、南沙諸島領域紛争に関与している中国以外の関係諸国の行動を問題にすることなく一方的判断だけで中国脅威論を言い立てるのは、情報発信ではなくプロパガンダである」(グレッグ・オースティン博士)といった批判も飛び出してきている。
確かに南沙諸島で埋め立て作業をしたのは中国だけではないし、大規模な滑走路も中国が建設しているものが最初ではない。
ただし、中国の埋め立て作業規模は巨大であり、滑走路も長大であり、本格的な軍事施設が出現することは間違いない。そして、それらの事実を踏まえて太平洋軍関係者たちは、最悪の事態を想定するという軍隊の使命に則って、中国脅威論を展開しているわけである。
<中略>
■自ら手を打たねばならないベトナム
ベトナムもいくつかの岩礁の一部を埋め立てたりして、軍事施設を設置したり、砲台を築いたりしている。南沙諸島におけるベトナム軍拠点には、台湾軍やフィリピン軍のような本格的滑走路のある航空施設は確認されていないが、ベトナムが占拠している岩礁の数は48カ所と圧倒的に多い。ちなみに中国が現在占拠している環礁は8カ所であり、フィリピンも8カ所、マレーシアが5カ所、台湾が1カ所となっている。
そのベトナムは、フィリピンや日本と違って、アメリカと同盟関係にないため、アメリカの軍事的支援を期待することはできない(もちろん、中比軍事衝突や日中軍事衝突が勃発した場合に、フィリピンや日本が期待しているアメリカの軍事的支援が実現するかどうかは100%保証されているわけではないのだが)。
ベトナムはロシアから戦闘機や軍艦など各種兵器を輸入しているものの、ベトナムとロシアが同盟関係にあるわけではない。それに、ロシアは中国にも様々な兵器類をベトナム以上に輸出している。要するに、ベトナムと中国の関係にとっては、ロシアは単なる「死の商人」に過ぎず、ロシアの軍事的支援など期待しようもない。
したがって、ベトナムは中国による南シナ海拡張政策から自らの領域や権益を守り抜くためには、自主防衛能力を強化するしかない。
しかしながら、中国とベトナムの海洋戦力(海上、海中、航空戦力)には天と地もの差があると言っても過言ではない状況である。
■最小抑止力を手にしたベトナム
ベトナム軍は、圧倒的に戦力差がある中国海洋戦力に対抗するために、万一の際には中国海軍(ベトナムが関係するのは南海艦隊)の中枢に反撃を加えることができる攻撃力を構築しつつある。圧倒的戦力を誇る敵とはいえ、その中枢部に反撃を加える能力を手にすれば、充分とはいえないものの「とりあえずの抑止力」を手にすることとなるのだ。
ベトナム軍が配備を進めているのが、ロシア製の強力な長距離地対艦ミサイルである。ベトナム軍が運用を開始したのはK-300P Bastion-Pと呼ばれる地上移動式ミサイル発射システムであり、そこから発射されるP-800 Oniks超音速地対艦巡航ミサイルの射程は300キロメートルである。このミサイルシステムは、発射地点に移動してわずか5分で攻撃準備が完了するという極めて機動性に富んだシステムと言われている。
ベトナム軍が配備を開始したこの地対艦ミサイルシステムは、中国海軍の南沙諸島方面への本拠地である海南島の三亜海軍基地を射程圏内に収めているだけでなく、湛江の中国海軍南海艦隊司令部をも攻撃することが可能である(P-800は艦艇だけでなく、地上目標の攻撃もできる)。
ただし、ベトナム軍が現在手にしているK-300P発射管制システムはわずか2セットにとどまっているため、中国海軍の動きを封じ込めるほど決定的な抑止力にはなっていない。しかし、万が一にもベトナムと中国の間に軍事衝突が発生した場合には、ベトナム軍による中国南海艦隊の本拠地に対するミサイル攻撃が敢行される可能性があり、極めて限定的ながらも抑止効果を期待することが可能である。
■自分の身は自分で守るベトナムの姿勢
以上のように、ベトナムは中国人民解放軍の圧倒的な軍事力に屈することなく、自国が領有権を主張している島嶼岩礁に軍事施設等を設置して、それらに対する実効支配を目に見える形で示すとともに、敵本拠地への反撃能力という最小限の抑止力を自力で身につける努力をしている。
このような自主防衛方針は、日本の防衛方針とは好対象である。日本は、尖閣諸島を実効支配しているとは主張しているものの、何ら目に見える形での施策は実施しようとせず、万一の際にも敵勢力の要所に対して反撃することによる「とりあえずの抑止力」を手にしようともしない。
現在、日本の国会で継続している安保法制論議からは、自主防衛力の構築など考えてもいないような政治家たちや、抑止力と日米同盟を同義と考えているような政治家たちの姿が誰の目にも明らかになっている。自国の領域は自分で守り抜くというベトナムの姿勢を少しでも見習ってほしい。
安倍首相が訪米し議会での演説が絶賛され、日米同盟の絆が強まり、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の18年振りの改定もなされ、両国関係の新たな転換へのスタートが実現されました。
他方、習近平も訪中すると言うことで、中国も下準備を始めているのだそうで、中国側による、アメリカのメディアやシンクタンクなどに対する働きかけも強まっているのだそうです。
その時、オバマ氏がどう対応するのか、中国の「世論戦」による、メディア、シンクタンク、評論家、学者への籠絡作戦の腕前の成果が見ものです。記事では、既に成果をあげている例がある様ですが、軍は既に「中国の夢」の目指す世界制覇を警戒し始めていて、オバマ政権内のパンダハガーも、一時の隆盛は影を潜めつつありますので、これまでの様に、容易に豹変はしないとは思われます。
今回の、米中戦略・経済対話で安全保障関連の課題(南シナ海の「砂の長城」と、サイバー攻撃)が、平行線で終わったのが、その証でしょう。
「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」と関連する安保法制の国会議論。野党のただ廃案化だけが目的の空虚な議論続きで、中国の尖閣への侵略の定常化とその基地の増強計画、南シナ海の暴挙といった力による現状変更の激化といった環境変化に、日本は、どう対処して、国民の安全保障と国益の確保をするのかの本質の議論が欠落しています。
一例をあげれば、岡田代表の、北朝鮮のミサイルに対する発言。
米国狙ったミサイル、撃墜必要なし 民主・岡田代表が認識表明 - 産経ニュース
・「グアムなど米国へ飛んでいくミサイルまで撃墜すべきだというなら、裸の(全面的な)集団的自衛権を憲法改正して認めるしかない」
・「今、集団的自衛権を認める必要はない」と断言。事実上、米国を狙ったミサイルに自衛隊が共同対処する必要はないとの認識
・一方で「未来永劫(えいごう)認めないと決めつける必要はない。将来の余地を全部ふさぐ必要はない」
憲法改正を主張しているのでしょうか?
集団的自衛権は、今認める必要はないが、将来は認めてもいいとは、集団的自衛権の行使そのことは認めている?
今でなくて、何時、どんな時なの?
迫りくる中国の覇権拡大は、尖閣での中国漁船への対応で、日本国の主権(法の下に裁く)を放棄する姿勢を見せた民主党・菅政権、尖閣国有化を胡錦濤との対話を無視して短急に強行した野田政権が加速させたのでは!
民主党の歴史的大失政で加速させた中国の力による現状変更の覇権拡大への抑止力を、憲法の範囲内で構築するのは、今でも遅いくらいです。
大きく絶望的な力の差がありながらも、知恵を働かせ、実行力を発揮して侵略を阻止するベトナムの爪の垢を煎じて飲んでいただきたい野党諸議員ばかりの日本。
戦後70年、米国の核の傘と、若者の命を懸けた防衛力に一方的に護ってもらってきて、平和ボケした現状です。
普通に独立して、お友達をもつ国になろうという策のひとつが、安保法制。それでも、自衛権は、国連で認められ普通の国が行使している物より、憲法で制限されたものなのです。
解りにくいのは、普通ではなく、憲法の制限に沿おうとしているからです。
野党が、対案も出さず、分かりにくいから説明を尽くせと言うから、国会を延長したら、職責・職場放棄で国会延長は反対。こんな野党は、国会議員の資格はありません。
民主党を政権の座から落とした国民の選択の正しさが、改めて再認識されますね。
# 冒頭の画像は、ベトナムの船に水をかける中国の船

この花の名前は、ヘレボルス・フォエティドゥス
↓よろしかったら、お願いします。




![]() |