
4月30日に発表された米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP、速報値)は前期に比べて0.3%減少した(年率換算)。
マイナス成長となったのは3年ぶりのことだ。
景気の足を引っ張ったのは輸入の増加だ。関税引き上げ前の駆け込み輸入の影響で前四半期に比べて41.3%急増。
GDPの3分の2を占める消費の伸びが鈍化したことも影響。関税引き上げに対する心理的な悪影響が出ている。
4月以降は関税引き上げの影響で輸入は減少に転じるものの、インフレ率が再び上昇し、個人消費がさらに冷え込む可能性が高いだろうと、経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏。
民間調査会社コンファレンス・ボード(CB)が4月29日に発表した4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020年5月以来の低水準となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す期待指数は54.4と、2011年10月以来の水準にまで落ち込んでいる。
これらの指標は米国経済が既にリセッション(景気後退)入りしていることを示唆していると、藤和彦氏。
トランプ米大統領は「(GDPがマイナスになったことについて)バイデン前政権の経済運営の失敗の影響だ。第2四半期のGDPもバイデン政権の悪影響が残る」と責任を転嫁しているが、自身の経済運営の結果であることは疑いのない事実だと。
米ワシントン・ポスト(WP)は4月27日「最新の世論調査でトランプ大統領の支持率は39%だった」と報じた。同時期の支持率はフランクリン・ルーズベルト政権(1933~45年)の3期目以降で最も低いとしている。
関税引き上げが引き起こした金融市場の混乱も収まっていない。
トランプ氏の2度の方針転換(相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長の解任意向の取り下げ)で金融市場の警戒感は和らぎつつあるが、同氏に対する不信感が拭えないのが現状だと、藤和彦氏。
FRBは4月25日に公表した金融安定性報告の中で「金融資産の売買のしやすさを示す流動性が米国債と米株式市場の双方で悪化している」と指摘し、市場の変動が大きくなりやすくなっていることに警鐘を鳴らした。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立したダリオ氏は4月28日「トランプ政権の関税政策が引き起こした混乱が沈静化するにはすでに手遅れだ」と警告を発した。
リーマンショックのような金融危機が発生する可能性は排除できなくなっていると、藤和彦氏。
トランプ氏は足元の景気悪化を踏まえ、利下げを強く求めているが、インフレ再燃を懸念するFRBがこれに直ちに応ずることはないだろう。
経済の立て直しを公約に掲げたトランプ氏が、自らの失策のせいで深刻な不況を招いたとすれば、これほどの皮肉はないと、藤和彦氏。
トランプ氏は自らの行動を「常識の革命」だと主張しているが、その常識とはMAGA支持者の間で共有された価値観だろうとも。
MAGA支持者が「大学などの研究者がグローバル化の恩恵を独り占めしている」と不満を募らせる事情を踏まえ、トランプ政権は大学など高等研究機関への資金援助を停止し始めている。キャンパス内の反政府デモに警察を投入する事例も相次いでいる。
スタンリー・エール大学教授(専門は哲学)は「(大学などを露骨に攻撃する現状は)1930年代のナチス・ドイツと明らかな類似点がある」と危機感を露わにしていると指摘。
トランプ氏のワンマンぶりに対し、「米国に王はいらない」「専制に抵抗せよ」などの非難が高まっているが、ナチス政権誕生前夜のドイツでも大統領令が多用され、議会が軽視される風潮があったと。
「トランプ政権下の米国がファシズム国家となる」と主張するつもりはない。だが、経済が悪化すれば、米国の社会の分断がさらに深刻になるのは確実だ。悩める超大国の今後の動向を細心の注意を払ってウォッチすべきだろうと、藤和彦氏。
1期目は、中露に対し果敢に攻め、米中の新冷戦時代をリードしたトランプ氏。
しかし、2期目の現状は、藤和彦氏が指摘されるように、裸の王様化した暴走!
ブレーンに、親トランプを重視したイエスマンを多用したことが原因なのか、トランプ氏自身の高齢化が進み思考が硬直化してきたのか。
ただ、早速人事の刷新がみられるのは、自戒の目覚めもあるのか?
自由主義のリーダー国の一角を担ってきた米国。
プーチンに翻弄されたり、習近平にしたたかに読まれて反撃されたりと、すっかりあの 1期目のリーダーシップの姿を失った、自閉症化したトランプ氏。
関税増税の90日延期を説得し各国との交渉期間を設定したベッセント財務長官が、自由主義のリーダーの米国の地位喪失に歯止めをかけました。
事実上任期制限をなくして独裁政治を推進している、習近平やプーチンの軍事力で覇権拡大を目指す国々をけん制できる雄国の米国。
「MAGA」を掲げながら、アメリカへの信頼を失い没落する道へ進みかねない米国のトランプ氏を説得できるのは、米国民。
関税増税策で、物価高騰の被害を被ることになるのは、米国の消費者や企業。
ベッセント財務長官のような人材の活躍拡大を願うばかりです。
# 冒頭の画像は、ベッセント財務長官

この花の名前は、コスラウメ
↓よろしかったら、お願いします。

遊爺さんの写真素材 - PIXTA
マイナス成長となったのは3年ぶりのことだ。
景気の足を引っ張ったのは輸入の増加だ。関税引き上げ前の駆け込み輸入の影響で前四半期に比べて41.3%急増。
GDPの3分の2を占める消費の伸びが鈍化したことも影響。関税引き上げに対する心理的な悪影響が出ている。
4月以降は関税引き上げの影響で輸入は減少に転じるものの、インフレ率が再び上昇し、個人消費がさらに冷え込む可能性が高いだろうと、経済産業研究所コンサルティング・フェローの藤和彦氏。
米国はすでにリセッション入りか、GDPマイナスで懸念が現実に…景気悪化で呼び起こされるナチスの悪夢 | JBpress (ジェイビープレス) 2025.5.2(金)
藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー
米国の国内総生産(GDP)が第1四半期に3年ぶりのマイナスとなった。リセッション(景気後退)入りの懸念が広がっていたが、いよいよ現実になったのか。トランプ大統領はバイデン前政権による経済運営の失敗が原因としているが、トランプ関税などの影響が大きいことは明らかだ。景気が悪化すればトランプ大統領は移民対策の強化など「MAGA」支持者にウケのいい政策を強化しかねない。社会の分断が激しさを増し、ナチスの悪夢すら呼び起こされる。
4月30日に発表された米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP、速報値)は前期に比べて0.3%減少した(年率換算)。昨年第4四半期の2.4%増から大幅に落ち込んだ。マイナス成長となったのは3年ぶりのことだ。
景気の足を引っ張ったのは輸入の増加だ。関税引き上げ前の駆け込み輸入の影響で前四半期に比べて41.3%急増した。国内で生産されていない輸入はGDPから差し引かれる。
GDPの3分の2を占める消費の伸びが鈍化したことも影響した。前四半期に比べて1.8%増加したが、これは2023年第1四半期(1.0%増)以降で最も低い水準だ。関税引き上げに対する心理的な悪影響が出ている。
4月以降は関税引き上げの影響で輸入は減少に転じるものの、インフレ率が再び上昇し、個人消費がさらに冷え込む可能性が高いだろう。
民間調査会社コンファレンス・ボード(CB)が4月29日に発表した4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020年5月以来の低水準となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す期待指数は54.4と、2011年10月以来の水準にまで落ち込んでいる。
これらの指標は米国経済が既にリセッション(景気後退)入りしていることを示唆している。
トランプ米大統領は「(GDPがマイナスになったことについて)バイデン前政権の経済運営の失敗の影響だ。第2四半期のGDPもバイデン政権の悪影響が残る」と責任を転嫁しているが、自身の経済運営の結果であることは疑いのない事実だ。
トランプ氏は就任100日の節目に合わせた演説で「歴代大統領の中で最も素晴らしいスタートを切った」と自画自賛したが、国民の評価はまったく違う。
「すでに手遅れ」との声
米ワシントン・ポスト(WP)は4月27日「最新の世論調査でトランプ大統領の支持率は39%だった」と報じた。同時期の支持率はフランクリン・ルーズベルト政権(1933~45年)の3期目以降で最も低いとしている。
関税引き上げが引き起こした金融市場の混乱も収まっていない。
トランプ氏の2度の方針転換(相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長の解任意向の取り下げ)で金融市場の警戒感は和らぎつつあるが、同氏に対する不信感が拭えないのが現状だ。
FRBは4月25日に公表した金融安定性報告の中で「金融資産の売買のしやすさを示す流動性が米国債と米株式市場の双方で悪化している」と指摘し、市場の変動が大きくなりやすくなっていることに警鐘を鳴らした。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立したダリオ氏は4月28日「トランプ政権の関税政策が引き起こした混乱が沈静化するにはすでに手遅れだ」と警告を発した。
社債や証券化商品、デリバティブなどのクレジット市場での緊張状態は高まり続けており、リーマンショックのような金融危機が発生する可能性は排除できなくなっている。
トランプ氏は足元の景気悪化を踏まえ、利下げを強く求めているが、インフレ再燃を懸念するFRBがこれに直ちに応ずることはないだろう。
経済の立て直しを公約に掲げたトランプ氏が、自らの失策のせいで深刻な不況を招いたとすれば、これほどの皮肉はないだろう。
一般の共和党員やトランプ氏を支持したヒスパニック系有権者から不満が募る中、MAGA支持者の信頼は揺らいでいないようだ。AFPは4月28日「(MAGA支持者は)『経済は最終的にうまくいく』と楽観しており、現状をまったく気にしていない」と報じた。
筆者は「経済が悪化すればするほど、トランプ氏はMAGA支持者にアピールできる政策を強化するのではないか」と危惧している。
景気悪化で社会の分断がより深刻に
トランプ氏は自らの行動を「常識の革命」だと主張しているが、その常識とはMAGA支持者の間で共有された価値観だろう。
MAGA支持者が最も支持しているのはトランプ氏の移民政策だ。
トランプ政権は不法移民対策をさらに強化するため、1807年に制定された反乱法(秩序安定のために大統領が軍などを動員する権限を認めるもの。適用はこれまでほとんどない)を発動し、戒厳令を宣言するのではないかとの噂が米国内で広まっている。
MAGA支持者が「大学などの研究者がグローバル化の恩恵を独り占めしている」と不満を募らせる事情を踏まえ、トランプ政権は大学など高等研究機関への資金援助を停止し始めている。キャンパス内の反政府デモに警察を投入する事例も相次いでいる。
ファシズムの専門家で知られるスタンリー・エール大学教授(専門は哲学)は「(大学などを露骨に攻撃する現状は)1930年代のナチス・ドイツと明らかな類似点がある」と危機感を露わにしている。
トランプ氏が2期目に入り署名した大統領令は130本を超え、戦後最多だったバイデン前政権の3倍以上だ。トランプ氏のワンマンぶりに対し、「米国に王はいらない」「専制に抵抗せよ」などの非難が高まっているが、ナチス政権誕生前夜のドイツでも大統領令が多用され、議会が軽視される風潮があった。
「トランプ政権下の米国がファシズム国家となる」と主張するつもりはない。だが、経済が悪化すれば、米国の社会の分断がさらに深刻になるのは確実だ。悩める超大国の今後の動向を細心の注意を払ってウォッチすべきだろう。
-------------------------------------------------
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数
藤 和彦:経済産業研究所コンサルティング・フェロー
米国の国内総生産(GDP)が第1四半期に3年ぶりのマイナスとなった。リセッション(景気後退)入りの懸念が広がっていたが、いよいよ現実になったのか。トランプ大統領はバイデン前政権による経済運営の失敗が原因としているが、トランプ関税などの影響が大きいことは明らかだ。景気が悪化すればトランプ大統領は移民対策の強化など「MAGA」支持者にウケのいい政策を強化しかねない。社会の分断が激しさを増し、ナチスの悪夢すら呼び起こされる。
4月30日に発表された米国の今年第1四半期の国内総生産(GDP、速報値)は前期に比べて0.3%減少した(年率換算)。昨年第4四半期の2.4%増から大幅に落ち込んだ。マイナス成長となったのは3年ぶりのことだ。
景気の足を引っ張ったのは輸入の増加だ。関税引き上げ前の駆け込み輸入の影響で前四半期に比べて41.3%急増した。国内で生産されていない輸入はGDPから差し引かれる。
GDPの3分の2を占める消費の伸びが鈍化したことも影響した。前四半期に比べて1.8%増加したが、これは2023年第1四半期(1.0%増)以降で最も低い水準だ。関税引き上げに対する心理的な悪影響が出ている。
4月以降は関税引き上げの影響で輸入は減少に転じるものの、インフレ率が再び上昇し、個人消費がさらに冷え込む可能性が高いだろう。
民間調査会社コンファレンス・ボード(CB)が4月29日に発表した4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020年5月以来の低水準となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す期待指数は54.4と、2011年10月以来の水準にまで落ち込んでいる。
これらの指標は米国経済が既にリセッション(景気後退)入りしていることを示唆している。
トランプ米大統領は「(GDPがマイナスになったことについて)バイデン前政権の経済運営の失敗の影響だ。第2四半期のGDPもバイデン政権の悪影響が残る」と責任を転嫁しているが、自身の経済運営の結果であることは疑いのない事実だ。
トランプ氏は就任100日の節目に合わせた演説で「歴代大統領の中で最も素晴らしいスタートを切った」と自画自賛したが、国民の評価はまったく違う。
「すでに手遅れ」との声
米ワシントン・ポスト(WP)は4月27日「最新の世論調査でトランプ大統領の支持率は39%だった」と報じた。同時期の支持率はフランクリン・ルーズベルト政権(1933~45年)の3期目以降で最も低いとしている。
関税引き上げが引き起こした金融市場の混乱も収まっていない。
トランプ氏の2度の方針転換(相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長の解任意向の取り下げ)で金融市場の警戒感は和らぎつつあるが、同氏に対する不信感が拭えないのが現状だ。
FRBは4月25日に公表した金融安定性報告の中で「金融資産の売買のしやすさを示す流動性が米国債と米株式市場の双方で悪化している」と指摘し、市場の変動が大きくなりやすくなっていることに警鐘を鳴らした。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立したダリオ氏は4月28日「トランプ政権の関税政策が引き起こした混乱が沈静化するにはすでに手遅れだ」と警告を発した。
社債や証券化商品、デリバティブなどのクレジット市場での緊張状態は高まり続けており、リーマンショックのような金融危機が発生する可能性は排除できなくなっている。
トランプ氏は足元の景気悪化を踏まえ、利下げを強く求めているが、インフレ再燃を懸念するFRBがこれに直ちに応ずることはないだろう。
経済の立て直しを公約に掲げたトランプ氏が、自らの失策のせいで深刻な不況を招いたとすれば、これほどの皮肉はないだろう。
一般の共和党員やトランプ氏を支持したヒスパニック系有権者から不満が募る中、MAGA支持者の信頼は揺らいでいないようだ。AFPは4月28日「(MAGA支持者は)『経済は最終的にうまくいく』と楽観しており、現状をまったく気にしていない」と報じた。
筆者は「経済が悪化すればするほど、トランプ氏はMAGA支持者にアピールできる政策を強化するのではないか」と危惧している。
景気悪化で社会の分断がより深刻に
トランプ氏は自らの行動を「常識の革命」だと主張しているが、その常識とはMAGA支持者の間で共有された価値観だろう。
MAGA支持者が最も支持しているのはトランプ氏の移民政策だ。
トランプ政権は不法移民対策をさらに強化するため、1807年に制定された反乱法(秩序安定のために大統領が軍などを動員する権限を認めるもの。適用はこれまでほとんどない)を発動し、戒厳令を宣言するのではないかとの噂が米国内で広まっている。
MAGA支持者が「大学などの研究者がグローバル化の恩恵を独り占めしている」と不満を募らせる事情を踏まえ、トランプ政権は大学など高等研究機関への資金援助を停止し始めている。キャンパス内の反政府デモに警察を投入する事例も相次いでいる。
ファシズムの専門家で知られるスタンリー・エール大学教授(専門は哲学)は「(大学などを露骨に攻撃する現状は)1930年代のナチス・ドイツと明らかな類似点がある」と危機感を露わにしている。
トランプ氏が2期目に入り署名した大統領令は130本を超え、戦後最多だったバイデン前政権の3倍以上だ。トランプ氏のワンマンぶりに対し、「米国に王はいらない」「専制に抵抗せよ」などの非難が高まっているが、ナチス政権誕生前夜のドイツでも大統領令が多用され、議会が軽視される風潮があった。
「トランプ政権下の米国がファシズム国家となる」と主張するつもりはない。だが、経済が悪化すれば、米国の社会の分断がさらに深刻になるのは確実だ。悩める超大国の今後の動向を細心の注意を払ってウォッチすべきだろう。
-------------------------------------------------
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数
民間調査会社コンファレンス・ボード(CB)が4月29日に発表した4月の消費者信頼感指数は86.0と、前月から7.9ポイント低下して2020年5月以来の低水準となった。所得や労働環境の短期的な見通しを示す期待指数は54.4と、2011年10月以来の水準にまで落ち込んでいる。
これらの指標は米国経済が既にリセッション(景気後退)入りしていることを示唆していると、藤和彦氏。
トランプ米大統領は「(GDPがマイナスになったことについて)バイデン前政権の経済運営の失敗の影響だ。第2四半期のGDPもバイデン政権の悪影響が残る」と責任を転嫁しているが、自身の経済運営の結果であることは疑いのない事実だと。
米ワシントン・ポスト(WP)は4月27日「最新の世論調査でトランプ大統領の支持率は39%だった」と報じた。同時期の支持率はフランクリン・ルーズベルト政権(1933~45年)の3期目以降で最も低いとしている。
関税引き上げが引き起こした金融市場の混乱も収まっていない。
トランプ氏の2度の方針転換(相互関税の一部の90日間凍結、米連邦準備理事会=FRB=のパウエル議長の解任意向の取り下げ)で金融市場の警戒感は和らぎつつあるが、同氏に対する不信感が拭えないのが現状だと、藤和彦氏。
FRBは4月25日に公表した金融安定性報告の中で「金融資産の売買のしやすさを示す流動性が米国債と米株式市場の双方で悪化している」と指摘し、市場の変動が大きくなりやすくなっていることに警鐘を鳴らした。
世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」を設立したダリオ氏は4月28日「トランプ政権の関税政策が引き起こした混乱が沈静化するにはすでに手遅れだ」と警告を発した。
リーマンショックのような金融危機が発生する可能性は排除できなくなっていると、藤和彦氏。
トランプ氏は足元の景気悪化を踏まえ、利下げを強く求めているが、インフレ再燃を懸念するFRBがこれに直ちに応ずることはないだろう。
経済の立て直しを公約に掲げたトランプ氏が、自らの失策のせいで深刻な不況を招いたとすれば、これほどの皮肉はないと、藤和彦氏。
トランプ氏は自らの行動を「常識の革命」だと主張しているが、その常識とはMAGA支持者の間で共有された価値観だろうとも。
MAGA支持者が「大学などの研究者がグローバル化の恩恵を独り占めしている」と不満を募らせる事情を踏まえ、トランプ政権は大学など高等研究機関への資金援助を停止し始めている。キャンパス内の反政府デモに警察を投入する事例も相次いでいる。
スタンリー・エール大学教授(専門は哲学)は「(大学などを露骨に攻撃する現状は)1930年代のナチス・ドイツと明らかな類似点がある」と危機感を露わにしていると指摘。
トランプ氏のワンマンぶりに対し、「米国に王はいらない」「専制に抵抗せよ」などの非難が高まっているが、ナチス政権誕生前夜のドイツでも大統領令が多用され、議会が軽視される風潮があったと。
「トランプ政権下の米国がファシズム国家となる」と主張するつもりはない。だが、経済が悪化すれば、米国の社会の分断がさらに深刻になるのは確実だ。悩める超大国の今後の動向を細心の注意を払ってウォッチすべきだろうと、藤和彦氏。
1期目は、中露に対し果敢に攻め、米中の新冷戦時代をリードしたトランプ氏。
しかし、2期目の現状は、藤和彦氏が指摘されるように、裸の王様化した暴走!
ブレーンに、親トランプを重視したイエスマンを多用したことが原因なのか、トランプ氏自身の高齢化が進み思考が硬直化してきたのか。
ただ、早速人事の刷新がみられるのは、自戒の目覚めもあるのか?
自由主義のリーダー国の一角を担ってきた米国。
プーチンに翻弄されたり、習近平にしたたかに読まれて反撃されたりと、すっかりあの 1期目のリーダーシップの姿を失った、自閉症化したトランプ氏。
関税増税の90日延期を説得し各国との交渉期間を設定したベッセント財務長官が、自由主義のリーダーの米国の地位喪失に歯止めをかけました。
事実上任期制限をなくして独裁政治を推進している、習近平やプーチンの軍事力で覇権拡大を目指す国々をけん制できる雄国の米国。
「MAGA」を掲げながら、アメリカへの信頼を失い没落する道へ進みかねない米国のトランプ氏を説得できるのは、米国民。
関税増税策で、物価高騰の被害を被ることになるのは、米国の消費者や企業。
ベッセント財務長官のような人材の活躍拡大を願うばかりです。
# 冒頭の画像は、ベッセント財務長官

この花の名前は、コスラウメ
↓よろしかったら、お願いします。

遊爺さんの写真素材 - PIXTA