
トランプ米大統領の就任から100日は、意表を突く外交政策の連射だったと、産経新聞客員論説委員の湯浅博氏。
「内」にあっては、大富豪のイーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)に、官僚機構へ向け大ナタを振るわせた。「外」に対しては、ウクライナ侵略戦争にロシア寄りの立場から仲裁に入り、貿易相手国の大半を高関税で締め上げた。
「外」に対する最大のターゲットは、米国の覇権を脅かす中国である。とりわけトランプ氏の頭の中には、2,950億ドル(約42兆円)にも上る米国の対中貿易赤字を大幅に削り、米国の製造業を復活させること。
これを成功させる外交の定石は、同盟国からの支援を最大化し、敵対国の数を絞り込むことにある。
ところが、トランプ氏による4月2日の「相互関税」は、砲の照準が同盟国も敵対国もない乱れ撃ちだった。押し付けた関税は、驚くほど粗雑な計算式である上、南極海の2つの無人島にまで10%関税をかけて失笑を買った。
トランプ氏の「関税砲」は英豪、シンガポールなど逆に対米貿易赤字を計上している同盟国や同志国にまで10%関税をムダ撃ちしており、友と敵の区別がない。
トランプ氏の「米国第一主義」の地図には、米国とその他の国々との間に明確な「断層線」が引かれている。
トランプ氏の独自解釈によれば、歴代政権は愚かにも、他の国々によって米国の富や力や善意まで利用されてきた。従って、「搾取されてきた米国」から離脱するためには、同盟国にも容赦しないというものだと、湯浅博氏。
しかし、乱れ撃ちの「関税砲」によって、たちまち長期債の利回りが急上昇し、株やドルは急落した。
あの米中枢同時テロ「9・11」直後でも、リスクのない資産として買われた米国債が売られている。大暴落を恐れたホワイトハウスは震え上がったと、湯浅博氏。
発効から数時間後には、乱れ撃ちの貿易戦争を急停止して、元凶の中国を除いて90日間の猶予を与えざるを得なかった。トランプ氏に政策転換を迫ったのは、市場パワーと世論の支持率低下であるとも。
ベッセント財務長官のトランプ大統領への提言もあったとも。
相互関税 90日間停止発表 トランプ大統領 市場の“アメリカ売り”動揺抑えるねらいか 中国は125%に | NHK | 関税
誤算は肝心の中国に対して、トランプ流のディール戦術が効力を発揮できないことだった。トランプ大統領の脅迫や要求は無視され、交渉のテーブルにつかせるどころか即時に反撃を受けた。
習近平政権は関税攻撃を想定して、周到に独自の耐性を磨いてきた。
自給自足を重視する「双循環」モデルへ転換を図り、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて開発途上国との経済統合を深化させてきた。
トランプ政権から145%という驚異の「関税砲」を撃ち込まれたとき、中国共産党機関紙の人民日報は即時、痛みに耐えるよう人々に呼び掛けていた。
「中国を信じよう。明日を信じよう」
現状の混沌(こんとん)世界で中国は「確実性のオアシスなのだ」として、内外に結束を求めた。習政権はその日の夕方、125%の追加関税で反撃に出ていると、湯浅氏。
中国はトランプ政権の自傷行為によって、米国とその同盟国を切り離す好機を得ることができたとも!
米スティムソン・センターの戦略予測研究員、ロバート・マニング氏は「トランプ氏はアジアを失いつつある」と。
シンガポールの国防相は2月の演説で、米国のイメージが突然、「解放者から大いなる破壊者、そして家賃をせびる地主へと変わってしまった」と嘆いた。
豪州のマルコム・ターンブル元首相も「もはやわれわれの価値観とは一致しない米国と対峙(たいじ)している」と、同盟諸国を代弁していると、湯浅氏。
マニング氏は関税圧力が、「魅力攻勢を仕掛ける中国へと、これらの国々を誘導している」とその危険性を指摘。
石破茂首相はトランプ関税に「国難来たる」として身構えるより、インド太平洋の対中抑止が損なわれないようアジア主要国と結束して対処策を練るべきではないのかと、湯浅氏。
石破首相は、東南アジア固めの趣旨で連休中に、ベトナムとフィリピンを歴訪するそうですね。
石破首相、東南アジア相次ぎ訪問のワケ ベトナム共産党は「自民党」を研究?(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
ベッセント財務長官らとの2度目の直接交渉に臨んだ赤沢経済再生担当大臣は、「非常に突っ込んだ話ができました。協議において、私から改めて米国の関税措置は極めて遺憾であるということを述べつつ、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れたところであります。そのうえで、可能な限り、早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう率直かつ建設的な議論を行い、前進することができたと考えています。」と。
注目の個別テーマでは、中国が輸入停止した大豆、トウモロコシを日本が輸入(現在はブラジルから輸入)することや、米国製自動車の輸入拡大ですね。
自動車について、トランプ氏がこたわっていますが、自動車の運転をしないトランプ氏が、日本の街で巨大で燃費の悪いアメ車を運転してみれば、アメ車が何故日本で売れないのかが理解できるとの声が頻り。
国際基準で輸入している日本には、欧州車は数多輸入・走行していることを、上手に伝えられる安部氏に代わる人材がいない!
大統領選前に請われて 2度訪米し会談した麻生氏か、財務官僚時代に駐米大使館勤務経験のある、小林鷹之氏(今回訪米・活動中)に託すしかない?
1期目のトランプ氏は、訪米し会食した習近平氏に、デザートタイムに「イラクに59発のミサイルを発射した」と伝え(イラクというのはシリアの言い間違いだ)度肝を抜いたのでしたが、今回は関税増税の逆襲に会う始末!
関税増税で、物価高騰が迫り、支持率低迷化が見え始めたトランプ氏を、対米投資額、米国債保有額が世界一で、同盟国の日本と米国が共にウインウインとなる道を説くことが必要なのですが。。。

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「中国の嘲笑」と「同盟の痛手」生むトランプ関税砲、大統領就任100日 湯浅博の世界読解 - 産経ニュース 2025/5/2
トランプ米大統領の就任から100日は、意表を突く外交政策の連射だった。これら劇的な政策展開の背後には、陣営のいう緻密で壮大な戦略が隠されているのだろうか。
「内」にあっては、大富豪のイーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)に、官僚機構へ向け大ナタを振るわせた。「外」に対しては、ウクライナ侵略戦争にロシア寄りの立場から仲裁に入り、貿易相手国の大半を高関税で締め上げた。
仕掛け方はいつもの通り、著書の『The Art of the Deal』(『トランプ自伝』の原題)が述べる独自の取引手法に従っている。まず相手を脅迫し、極端な要求を突きつけてバランスを崩し、仕上げは合意のテーブルに引き込んでいく。
もちろん、「外」に対する最大のターゲットは、米国の覇権を脅かす中国である。とりわけトランプ氏の頭の中には、2950億ドル(約42兆円)にも上る米国の対中貿易赤字を大幅に削り、米国の製造業を復活させることがある。
これを成功させる外交の定石は、同盟国からの支援を最大化し、敵対国の数を絞り込むことにある。
ところが、トランプ氏による4月2日の「相互関税」は、砲の照準が同盟国も敵対国もない乱れ撃ちだった。押し付けた関税は、驚くほど粗雑な計算式である上、南極海の2つの無人島にまで10%関税をかけて失笑を買った。
トランプ氏の「関税砲」は英豪、シンガポールなど逆に対米貿易赤字を計上している同盟国や同志国にまで10%関税をムダ撃ちしており、「他国の関税憎し」で友と敵の区別がない。同盟国はまさかのトランプ流に不意を突かれ、狙い通りに米国との交渉を望んだ。
■米国第一主義の地図には断層線
トランプ氏の世界観は、歴代の大統領のように「共産主義を封じ込める自由主義陣営」の概念や、「敵対国と戦う同盟国の結束」などとは明らかに違う。彼の「米国第一主義」の地図には、米国とその他の国々との間に明確な「断層線」が引かれている。
トランプ氏の独自解釈によれば、歴代政権は愚かにも、他の国々によって米国の富や力や善意まで利用されてきた。従って、「搾取されてきた米国」から離脱するためには、同盟国にも容赦しないのだ。
しかし、乱れ撃ちの「関税砲」によって、たちまち長期債の利回りが急上昇し、株やドルは急落した。あの米中枢同時テロ「9・11」直後でも、リスクのない資産として買われた米国債が売られている。大暴落を恐れたホワイトハウスは震え上がった。
発効から数時間後には、乱れ撃ちの貿易戦争を急停止して、元凶の中国を除いて90日間の猶予を与えざるを得なかった。トランプ氏に政策転換を迫ったのは、市場パワーと世論の支持率低下である。
■中国に広がる反米ナショナリズム
誤算は肝心の中国に対して、トランプ流のディール戦術が効力を発揮できないことだった。彼の脅迫や要求は無視され、交渉のテーブルにつかせるどころか即時に反撃を受けた。
習近平政権は関税攻撃を想定して、周到に独自の耐性を磨いてきた。経済面では内需と高度技術、さらに自給自足を重視する「双循環」モデルへ転換を図り、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて開発途上国との経済統合を深化させてきた。
トランプ政権から145%という驚異の「関税砲」を撃ち込まれたとき、中国共産党機関紙の人民日報は即時、痛みに耐えるよう人々に呼び掛けていた。
「中国を信じよう。明日を信じよう」
それは宇宙開発から人工知能(AI)に至るまで、数々の技術的な成果を挙げ、現状の混沌(こんとん)世界で中国は「確実性のオアシスなのだ」として、内外に結束を求めた。習政権はその日の夕方、125%の追加関税で反撃に出ている。
トランプ関税の先制攻撃は、明らかに中国のナショナリズムを刺激した。トランプ氏は国家主義者として自らを描写するが、他国にも強力な国家感情がある。習氏がトランプ砲に立ち向かえば、国内で人気が上がることに気づかない。
SNS上では、1953年の朝鮮戦争中の毛沢東が演説する動画が当局によって共有された。毛沢東は「戦争がどれほど長く続こうとも、われわれは決して屈服しない」と宣言している。「関税砲」に対抗して、まるで開戦状態に入ったかのような言葉の連射だ。
それまでの中国は、債務残高の積み増しと不動産市場の低迷から抜け出せずに、中国当局は、人々の不満の矛先が共産党体制に向かうことを恐れていた。しかし、トランプ関税砲が北京に向けて次々に撃ち込まれ、これに対抗するプロパガンダの誘導で、逆に米国への国民の反発を掘り起こすことに成功した。
象徴的なのは、トランプ氏が「中国との交渉が進行中」と述べたことを中国政府が即時に否定し、SNSに「トランプ、尻込みした」との嘲笑が出回ったことだ。
■アジアを失う…政権の「自傷行為」
中国はトランプ政権の自傷行為によって、米国とその同盟国を切り離す好機を得ることができた。
トランプ政権が友好国を裏切れば、彼らは友を他に探さなければならない。米スティムソン・センターの戦略予測研究員、ロバート・マニング氏は「トランプ氏はアジアを失いつつある」と不気味なことをいう。
シンガポールの国防相は2月の演説で、米国のイメージが突然、「解放者から大いなる破壊者、そして家賃をせびる地主へと変わってしまった」と嘆いた。豪州のマルコム・ターンブル元首相も「もはやわれわれの価値観とは一致しない米国と対峙(たいじ)している」と、同盟諸国を代弁している。
トランプ政権からは、相互関税の引き下げと引き換えに中国との貿易制限をするよう選択を迫られ、アジアの主要国はジレンマに陥っている。
マニング氏は関税圧力が、「魅力攻勢を仕掛ける中国へと、これらの国々を誘導している」とその危険性を指摘する。
石破茂首相はトランプ関税に「国難来たる」として身構えるより、インド太平洋の対中抑止が損なわれないようアジア主要国と結束して対処策を練るべきではないのか。
トランプ米大統領の就任から100日は、意表を突く外交政策の連射だった。これら劇的な政策展開の背後には、陣営のいう緻密で壮大な戦略が隠されているのだろうか。
「内」にあっては、大富豪のイーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)に、官僚機構へ向け大ナタを振るわせた。「外」に対しては、ウクライナ侵略戦争にロシア寄りの立場から仲裁に入り、貿易相手国の大半を高関税で締め上げた。
仕掛け方はいつもの通り、著書の『The Art of the Deal』(『トランプ自伝』の原題)が述べる独自の取引手法に従っている。まず相手を脅迫し、極端な要求を突きつけてバランスを崩し、仕上げは合意のテーブルに引き込んでいく。
もちろん、「外」に対する最大のターゲットは、米国の覇権を脅かす中国である。とりわけトランプ氏の頭の中には、2950億ドル(約42兆円)にも上る米国の対中貿易赤字を大幅に削り、米国の製造業を復活させることがある。
これを成功させる外交の定石は、同盟国からの支援を最大化し、敵対国の数を絞り込むことにある。
ところが、トランプ氏による4月2日の「相互関税」は、砲の照準が同盟国も敵対国もない乱れ撃ちだった。押し付けた関税は、驚くほど粗雑な計算式である上、南極海の2つの無人島にまで10%関税をかけて失笑を買った。
トランプ氏の「関税砲」は英豪、シンガポールなど逆に対米貿易赤字を計上している同盟国や同志国にまで10%関税をムダ撃ちしており、「他国の関税憎し」で友と敵の区別がない。同盟国はまさかのトランプ流に不意を突かれ、狙い通りに米国との交渉を望んだ。
■米国第一主義の地図には断層線
トランプ氏の世界観は、歴代の大統領のように「共産主義を封じ込める自由主義陣営」の概念や、「敵対国と戦う同盟国の結束」などとは明らかに違う。彼の「米国第一主義」の地図には、米国とその他の国々との間に明確な「断層線」が引かれている。
トランプ氏の独自解釈によれば、歴代政権は愚かにも、他の国々によって米国の富や力や善意まで利用されてきた。従って、「搾取されてきた米国」から離脱するためには、同盟国にも容赦しないのだ。
しかし、乱れ撃ちの「関税砲」によって、たちまち長期債の利回りが急上昇し、株やドルは急落した。あの米中枢同時テロ「9・11」直後でも、リスクのない資産として買われた米国債が売られている。大暴落を恐れたホワイトハウスは震え上がった。
発効から数時間後には、乱れ撃ちの貿易戦争を急停止して、元凶の中国を除いて90日間の猶予を与えざるを得なかった。トランプ氏に政策転換を迫ったのは、市場パワーと世論の支持率低下である。
■中国に広がる反米ナショナリズム
誤算は肝心の中国に対して、トランプ流のディール戦術が効力を発揮できないことだった。彼の脅迫や要求は無視され、交渉のテーブルにつかせるどころか即時に反撃を受けた。
習近平政権は関税攻撃を想定して、周到に独自の耐性を磨いてきた。経済面では内需と高度技術、さらに自給自足を重視する「双循環」モデルへ転換を図り、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて開発途上国との経済統合を深化させてきた。
トランプ政権から145%という驚異の「関税砲」を撃ち込まれたとき、中国共産党機関紙の人民日報は即時、痛みに耐えるよう人々に呼び掛けていた。
「中国を信じよう。明日を信じよう」
それは宇宙開発から人工知能(AI)に至るまで、数々の技術的な成果を挙げ、現状の混沌(こんとん)世界で中国は「確実性のオアシスなのだ」として、内外に結束を求めた。習政権はその日の夕方、125%の追加関税で反撃に出ている。
トランプ関税の先制攻撃は、明らかに中国のナショナリズムを刺激した。トランプ氏は国家主義者として自らを描写するが、他国にも強力な国家感情がある。習氏がトランプ砲に立ち向かえば、国内で人気が上がることに気づかない。
SNS上では、1953年の朝鮮戦争中の毛沢東が演説する動画が当局によって共有された。毛沢東は「戦争がどれほど長く続こうとも、われわれは決して屈服しない」と宣言している。「関税砲」に対抗して、まるで開戦状態に入ったかのような言葉の連射だ。
それまでの中国は、債務残高の積み増しと不動産市場の低迷から抜け出せずに、中国当局は、人々の不満の矛先が共産党体制に向かうことを恐れていた。しかし、トランプ関税砲が北京に向けて次々に撃ち込まれ、これに対抗するプロパガンダの誘導で、逆に米国への国民の反発を掘り起こすことに成功した。
象徴的なのは、トランプ氏が「中国との交渉が進行中」と述べたことを中国政府が即時に否定し、SNSに「トランプ、尻込みした」との嘲笑が出回ったことだ。
■アジアを失う…政権の「自傷行為」
中国はトランプ政権の自傷行為によって、米国とその同盟国を切り離す好機を得ることができた。
トランプ政権が友好国を裏切れば、彼らは友を他に探さなければならない。米スティムソン・センターの戦略予測研究員、ロバート・マニング氏は「トランプ氏はアジアを失いつつある」と不気味なことをいう。
シンガポールの国防相は2月の演説で、米国のイメージが突然、「解放者から大いなる破壊者、そして家賃をせびる地主へと変わってしまった」と嘆いた。豪州のマルコム・ターンブル元首相も「もはやわれわれの価値観とは一致しない米国と対峙(たいじ)している」と、同盟諸国を代弁している。
トランプ政権からは、相互関税の引き下げと引き換えに中国との貿易制限をするよう選択を迫られ、アジアの主要国はジレンマに陥っている。
マニング氏は関税圧力が、「魅力攻勢を仕掛ける中国へと、これらの国々を誘導している」とその危険性を指摘する。
石破茂首相はトランプ関税に「国難来たる」として身構えるより、インド太平洋の対中抑止が損なわれないようアジア主要国と結束して対処策を練るべきではないのか。
「内」にあっては、大富豪のイーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)に、官僚機構へ向け大ナタを振るわせた。「外」に対しては、ウクライナ侵略戦争にロシア寄りの立場から仲裁に入り、貿易相手国の大半を高関税で締め上げた。
「外」に対する最大のターゲットは、米国の覇権を脅かす中国である。とりわけトランプ氏の頭の中には、2,950億ドル(約42兆円)にも上る米国の対中貿易赤字を大幅に削り、米国の製造業を復活させること。
これを成功させる外交の定石は、同盟国からの支援を最大化し、敵対国の数を絞り込むことにある。
ところが、トランプ氏による4月2日の「相互関税」は、砲の照準が同盟国も敵対国もない乱れ撃ちだった。押し付けた関税は、驚くほど粗雑な計算式である上、南極海の2つの無人島にまで10%関税をかけて失笑を買った。
トランプ氏の「関税砲」は英豪、シンガポールなど逆に対米貿易赤字を計上している同盟国や同志国にまで10%関税をムダ撃ちしており、友と敵の区別がない。
トランプ氏の「米国第一主義」の地図には、米国とその他の国々との間に明確な「断層線」が引かれている。
トランプ氏の独自解釈によれば、歴代政権は愚かにも、他の国々によって米国の富や力や善意まで利用されてきた。従って、「搾取されてきた米国」から離脱するためには、同盟国にも容赦しないというものだと、湯浅博氏。
しかし、乱れ撃ちの「関税砲」によって、たちまち長期債の利回りが急上昇し、株やドルは急落した。
あの米中枢同時テロ「9・11」直後でも、リスクのない資産として買われた米国債が売られている。大暴落を恐れたホワイトハウスは震え上がったと、湯浅博氏。
発効から数時間後には、乱れ撃ちの貿易戦争を急停止して、元凶の中国を除いて90日間の猶予を与えざるを得なかった。トランプ氏に政策転換を迫ったのは、市場パワーと世論の支持率低下であるとも。
ベッセント財務長官のトランプ大統領への提言もあったとも。
相互関税 90日間停止発表 トランプ大統領 市場の“アメリカ売り”動揺抑えるねらいか 中国は125%に | NHK | 関税
誤算は肝心の中国に対して、トランプ流のディール戦術が効力を発揮できないことだった。トランプ大統領の脅迫や要求は無視され、交渉のテーブルにつかせるどころか即時に反撃を受けた。
習近平政権は関税攻撃を想定して、周到に独自の耐性を磨いてきた。
自給自足を重視する「双循環」モデルへ転換を図り、巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて開発途上国との経済統合を深化させてきた。
トランプ政権から145%という驚異の「関税砲」を撃ち込まれたとき、中国共産党機関紙の人民日報は即時、痛みに耐えるよう人々に呼び掛けていた。
「中国を信じよう。明日を信じよう」
現状の混沌(こんとん)世界で中国は「確実性のオアシスなのだ」として、内外に結束を求めた。習政権はその日の夕方、125%の追加関税で反撃に出ていると、湯浅氏。
中国はトランプ政権の自傷行為によって、米国とその同盟国を切り離す好機を得ることができたとも!
米スティムソン・センターの戦略予測研究員、ロバート・マニング氏は「トランプ氏はアジアを失いつつある」と。
シンガポールの国防相は2月の演説で、米国のイメージが突然、「解放者から大いなる破壊者、そして家賃をせびる地主へと変わってしまった」と嘆いた。
豪州のマルコム・ターンブル元首相も「もはやわれわれの価値観とは一致しない米国と対峙(たいじ)している」と、同盟諸国を代弁していると、湯浅氏。
マニング氏は関税圧力が、「魅力攻勢を仕掛ける中国へと、これらの国々を誘導している」とその危険性を指摘。
石破茂首相はトランプ関税に「国難来たる」として身構えるより、インド太平洋の対中抑止が損なわれないようアジア主要国と結束して対処策を練るべきではないのかと、湯浅氏。
石破首相は、東南アジア固めの趣旨で連休中に、ベトナムとフィリピンを歴訪するそうですね。
石破首相、東南アジア相次ぎ訪問のワケ ベトナム共産党は「自民党」を研究?(日テレNEWS NNN) - Yahoo!ニュース
ベッセント財務長官らとの2度目の直接交渉に臨んだ赤沢経済再生担当大臣は、「非常に突っ込んだ話ができました。協議において、私から改めて米国の関税措置は極めて遺憾であるということを述べつつ、米国による一連の関税措置の見直しを強く申し入れたところであります。そのうえで、可能な限り、早期に日米双方にとって利益となるような合意を実現できるよう率直かつ建設的な議論を行い、前進することができたと考えています。」と。
注目の個別テーマでは、中国が輸入停止した大豆、トウモロコシを日本が輸入(現在はブラジルから輸入)することや、米国製自動車の輸入拡大ですね。
自動車について、トランプ氏がこたわっていますが、自動車の運転をしないトランプ氏が、日本の街で巨大で燃費の悪いアメ車を運転してみれば、アメ車が何故日本で売れないのかが理解できるとの声が頻り。
国際基準で輸入している日本には、欧州車は数多輸入・走行していることを、上手に伝えられる安部氏に代わる人材がいない!
大統領選前に請われて 2度訪米し会談した麻生氏か、財務官僚時代に駐米大使館勤務経験のある、小林鷹之氏(今回訪米・活動中)に託すしかない?
1期目のトランプ氏は、訪米し会食した習近平氏に、デザートタイムに「イラクに59発のミサイルを発射した」と伝え(イラクというのはシリアの言い間違いだ)度肝を抜いたのでしたが、今回は関税増税の逆襲に会う始末!
関税増税で、物価高騰が迫り、支持率低迷化が見え始めたトランプ氏を、対米投資額、米国債保有額が世界一で、同盟国の日本と米国が共にウインウインとなる道を説くことが必要なのですが。。。

この花の名前は、シロバナタンポポ
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