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遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

尖閣問題の解決に国際司法の利用は有効か

2013-09-28 23:55:55 | 東シナ海尖閣諸島
 27日午後3時ごろ、中国の「海警1126」「海警2113」「海警2146」「海警2151」の4隻が尖閣の領海に侵入しました。これで、尖閣国有化以来66日の侵入となるのだそうです。強まる一方の中国の侵略に対し、国際司法の活用を検証した場合について両刃の剣だと唱える記事がありました。
 尖閣諸島に関する中国との対立を解決するにはどんな方策があるのでしょうか。国際司法の活用を中国が嫌がっているのであれば、解決の糸口はこのあたりにあるのかもしれません。
 

国際司法裁「両刃の剣」 (9/28 読売朝刊 尖閣国有化1年 [11])

 
尖閣諸島に関する中国との対立をどう解決していけばいいのだろうか。昨年の国有化以降、一部の政治家や知識人が、国際司法裁判所(ICJ)の活用を声高に主張しだした。
 日本維新の会の橋下徹共同代表もそのひとりだ。弁護士でもある橋下氏は4月27日、自身のツイッターにこう書いた。
 「最も有効な方法の一つは、国際司法裁判所(海洋法裁判所も含む)の活用だ」
 「尖閣問題が、国際司法裁判所のテーブルに乗れば、中国を完膚なきまで叩きのめせばいい。それはあくまでも法廷の場の論戦で」
 こうした「ICJ活用論」は、「絶対に日本の主張が通るはずだ」(橋下氏)という見通しのもとで主張されている。「法の支配」を重視する日本の姿勢を国際社会にアピールできるメリットもある。
 しかし、
「ICJ活用論」は両刃の剣
だ。
 日本政府は、尖閣諸島について「我が国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も明らか」という立場だ。尖閣を有効に支配し、解決すべき法的な紛争が存在していないにもかかわらず、
日本からICJに問題を持ち込めば「尖閣の領有権が未確定である、と日本自身が認めた」と国際的に見なされるリスクがある

 外務省幹部は「日本が中国にICJでの解決を迫っても、
中国はそれを逆手にとって『争いがあることを日本自身が認めているのだから、日本は中国と2国間交渉に応じるべきだ』とたたみかけてくる。中国を一方的に利するだけで、日本にとって『百害あって一利なし』の愚策
でしかない」と指摘する。
 
一方で、政府関係者の間には、「中国がICJに提訴するなら構わない
」とする意見もある。中国は尖閣をめぐる法的な紛争があると主張するならば、自ら明らかにしてみせよ、というわけだ。首相の外交ブレーンである谷内正太郎内閣官房参与(元外務次官)は、3月12日に都内で開かれたシンポジウムで、「中国に対し国際司法裁判所で公平な判断を仰ぐことを提言してもいい」と語った。
 もっとも、
中国自身、ICJを活用する気はさらさらない
ようだ。
 今月12日、日本維新の会の小沢鋭仁国会対策委員長が訪中し、北京・中南海で元国務委員の唐家璇・中日友好協会会長と会談した。尖閣に関する中国の主張を延々と繰り返す唐氏に対し、小沢氏は「尖閣の問題は見解の相違がある。国際司法裁判所に提訴してはいかがか」と水を向けた。だが、
唐氏は「これは2国間で解決すべき問題だ」と答えるのみ
だったという。
 
中国がICJの活用に否定的な理由について、日本政府は「尖閣で勝訴する自信がないことに加えて、南シナ海の島々をめぐるアジア各国との領有権争いへの悪影響を懸念
しているからだ」(外務省幹部)と分析している。
 中国はすでに自らの支配下に置く島については「領有権に関する争いはない」とする立場を取る。たとえば、中国が実効支配するマックレスフィールド岩礁群(中沙諸島)のスカボロー礁について、
フィリピンが今年1月に常設仲裁裁判所回に提訴したが、中国は審理への参加を拒否
した。
 「尖閣諸島で解決すべき法的な紛争は存在しない」という日本政府の姿勢を繰り返し難詰する中国だが、その中国自身が、東南アジア諸国に対しては日本のそれとまったく同じ姿勢なのだ。この一事を見ても
「国際司法の場に持ち込めば紛争が解決する」という考え方が幻想に過ぎない
ことがうかがえよう。
 領土に関する問題で重要なのは結局、
どこの国が実際に支配しているか、という現実だ。日本はこの状態を維持できるか否かがカギとなる。

 ポイントは二つ。
 ひとつは、裁判なり仲裁なりの国際司法を活用した時に必ず勝てるだけの準備を整えておくことが必須です。中国も陰では準備・検証を進めているはずで、ポーツマス条約を持ち出したり、古資料を引っ張りだしたりを散発させていることは諸兄がご承知の通りです。
 もうひとつは、実質の明らかな有効支配・管理がなされ続けられている事です。
 中国は、公船の組織を「海警」に統廃合したり、古くは領土としての法整備をしたり、海軍、空軍の空母や無人機の増強などは棚上げどころか着々と侵略体制を強化しています。
 「海警」の大型化、新造艦の建設・投入は、軍備同様に近い将来日本を凌駕することはまちがいありません。
 今、「海警」の進入に、海保の巡視船が、ギリギリの運用でやっとマンツーマンディフェンスが出来ている状況です。海保の予算を増やして増艦すると言っていますが、老朽化して退艦するものを延長させての増艦ですしその増量ペースは中国に及びません。
 つまり、尖閣近海の管理の艦船で中国の数が増え、有効支配・管理ができなくなるのです。残された時間がなくなってきているのです。
 かつて、EEZの境界近辺のガス田開発を巡っての争いで、中国の艦船がチラホラ散見され始めた頃、尖閣の領海にこれほど頻繁に、しかも時には10隻を超える艦船が侵入することが、こんなに早く実現するとは、将来の危惧として語る方が少数おられましたが、遊爺も含め多くの人々は思い及ばなかったことでした。
 このペースでは、2年もすると海警の数が巡視船の数を上回り、しかも大型化され長期滞在を可能とし、領海権を奪われる可能性はかなり現実味を帯びています。
 諸兄がご承知の様に、米国が尖閣を日米安保の対象と言ってくれている論拠は、日本が実質管理しているからです。
 なので、中国は増艦を進めているのです。いまでも、日本の漁船を領海外に追い出すことの実績が積み重ねられるようになりましたね。

 日本側から国際司法の活用に先鞭をつけることの不利益を外務官僚が挙げているとのことです。何事も現状維持で問題の先送りで自分の担当時期を無難にやり過ごすのがデスクワークの官僚の能力が判断されるところです。プロ野球のコミッショナーとして無能さを露呈した加藤が、華のアメリカ大使を務めていたと言うのですから、出世している外務官僚のお里がしれます。
 そうして、「我が国の領土である」と閉じこもって念仏を唱えて無為無策に時間を過ごしている間に、EEZの争いが領海侵入の常態化の今日を招いた様に、気が付いたら尖閣の有効支配を中国がしているということになってしまいます。

 解決策は時間も考慮しなくてはなりません。しかも、中国を上回る設備や人を増やすお金はない。
 中国が国際司法の場での解決を避けたがっているのが本当なら、ここを突破口とするのが最適な戦略でしょう。
 先ずは、維新の小沢国対委員長の様に、ガタガタ言うのなら国際司法の場に訴えてこいと、外交カード化しそれに応じない中国の姿勢を世界に喧伝すればいいのです。
 そして、いよいよの時は、フィリピンの様に、拒否権がみとめられない仲裁裁判所への提訴を持ち出せばよいのです。

 外交の腕を磨き、無為無策の先送りではなく、国益にかなう力を発揮いただくことを、政府と外務省にお願いしたい。



 # 冒頭の画像は、オランダ・ハーグの国際司法裁判所





 この花の名前は、ブタナ


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続 中国の海洋戦略



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Unknown (Unknown)
2016-06-10 14:23:34
石原さんは外交安全保障に関してはど素人以下なのが残念

大臣がROEが整備されてると説明してるのに、まったく話が噛み合ない
ここのやりとりでも尖閣=紛争と言ってるし

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/001818620140212006.htm
>石原(慎)委員今、聞きますところ、あの非常に紛争、ごたごたの絶えない尖閣諸島の水域に自衛艦が一隻出動しておるというんですね。いかがですか。
>小野寺国務大臣 さまざまな事態に対応できるように、私どもとしては、しっかりとした態勢をとらせていただいております。

>石原(慎)委員 あなたも、やはり現況の中で、苦しい答弁を強いられていると思うんですよ。同情しますよ。
>私は、防衛大臣にも同情するし、あなたが率いている全ての自衛官にも同情せざるを得ない。
>警職法にのっとって日本の軍隊が行動するなんて、こんなばかな拘束というのは世界じゅう例はないので、私は、
>そのためにも、はっきり、自国の艦船を撃沈した船を反撃して、要するに沈没させてもいい、そういう交戦規定と
>いうものを速やかにつくっていただきたいんだ。
>日本には今、それがないんでしょう。

>小野寺国務大臣 委員が今お話しされましたROEのことですが、これは部隊の行動基準という形で私どもはつくっております。
>この基準につきましては、さまざまな事案にそのときにどう対応するかということで、中で、私の指示でつくっております。
>また、こういう安全保障のさまざまな状況というのは刻々と変わるものでありますので、その都度適正に対応できるように、
>基準については不断の見直しを図っていきたいと思っております。

>石原(慎)委員 本当に、防衛大臣は非常になかなか苦しい職務だと思いますよ、この現況の中では。
>例えば、この間、向こうの艦船が日本の、あれは自衛艦に向かってですか、レーダーを照射した。レーダーを照射したということは、つまり、
>それでターゲットを要するに電波的に確認して、次に攻撃するという威嚇の前提の一つの作業だと思いますよ。
>それで、仮に彼らが要するにレーダーを照射して、ミサイルを発射して日本の艦船を撃沈したときに、撃破したときに、日本の艦船はそれに反応
>できるんですか、反撃できるんですか、すべきじゃないんでしょうか。

>小野寺国務大臣 昨年一月に、中国艦船より我が国の海上自衛隊の艦船にレーダー照射がございました。火器管制用のレーダー照射ということになります。
>そして、これは同時に、私ども、その中国艦船についてはしっかり監視をしながら、レーダー照射の後に砲の指向が実際に向いた場合、その場合には、
>例えば、これはもう明確に攻撃があるということを認定した場合には、私どもとして必要な対応をその時点でとることができるということであります。

>石原(慎)委員 これはもうごく当たり前な答弁ですけれども、私は、仮に、仮にの話かもしれませんけれども、相手がレーダーを照射してきて、
>それにのっとってミサイルを発射して攻撃したときには、これは当然反撃して、相手を撃沈していいという、そこまでの踏み込んだ、
>きちっとした交戦規定というのをつくる必要があると思いますよ。それがない限り、私たちの警戒行動というのは何の抑止にもならないということを
>私たちはやはり認識した上で、速やかに、つまり交戦規定というものをつくっていただきたい。

>それをつくるということが、総理にも前にも申し上げたけれども、総理はそのときは、いや、既に鯉口は切っていると言われましたけれども、
>昔の侍みたいに、本当に、寄らば切るぞという、鯉口をきちっと切るということになると思うんですよ。交戦規定のないような軍隊というのは
>世界にあり得ないので、それをきちっと構えることが、寄らば切るぞという強い姿勢になると思う。じゃなかったら、国民はいつまでたっても安心できませんぞ。

>小野寺国務大臣 これは、どこの国の艦船も同じだと思いますが、例えば、レーダー照射があり、そして、それに向けて砲の指向あるいはミサイルの指向があり、
>明確に攻撃をされるということがもうわかっている段階では、個別的自衛権の中でしっかりとした対応ができるということだと思っております。それは我が国も同じだと思います。
>その中で、今お話がありました部隊の行動基準、どういう場合にはこちらはどういう対応をするかというのは、これは我が方の手のうちということになりますので明かすことは
>控えさせていただきますが、少なくても私どもとして、必要な事態に備えられるような行動基準、これは設けておりますし、また、今後とも、想定されることについて、
>新たに不断の見直しが必要な場合には見直しをさせていただきたいと思っております。
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