遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

年初の世界金融市場を支配したリスクオフムードはリスクオンへと、いったん大きく転換する

2016-03-01 23:58:58 | my notice
 年初からの世界同時株安の対策が期待されたG20。市場や専門家の評価は低い様ですが、武者リサーチの武者陵司氏は、リスクオフムードはリスクオンへと、いったん大きく転換することになると評価しておられます。
 通貨の安定とともに資本移動の監視・規制強化を容認する姿勢は、黒田総裁も会議前に発言しておられた内容と符合しますが、自由主義経済の原則に反する中国の管理市場を非難する声(遊爺も同意)とは異なる評価でもあります。がそれは、各国の当局が市場を売り崩す投機家に対して、一致して対峙する為に採られる方策とあれば、納得せざるをえません。
 中国の為替や株取引の自由化は、別の機会に責めざるをえない。それほど、空売り投機の影響が大きな弊害となっているのですね。
 

中国、石油がリスクオフムードを転換させる時が来た G20で中国危機封じ込めが見えてきた、人民元維持、資本規制、財政拡大が鍵に | JBpress(日本ビジネスプレス) 2016.3.1(火) 武者 陵司

 2月26、27日の上海G20はリスクオフムードを一変させる画期となるだろう。「最近の市場は世界経済の実態を反映していない、市場安定のために政策手段を総動員する」との声明は、各国の当局が市場を売り崩す投機家に対して、一致して対峙する姿勢を鮮明にした

?財政政策の活用など新機軸も盛り込まれた。具体策に乏しいとの批判はあるが、それは違う。
通貨の安定とともに資本移動の監視・規制強化を容認する姿勢を鮮明にしたことにより、焦点の中国の政策自由度は大きく高まる。
「過度の変動や無秩序な動きは経済及び金融の安定に対して悪影響を与えうる」との声明の含意は大きい。
?通貨の競争的切り下げの回避、人民元の価値維持という大義名分のためには、
中国は躊躇なく資本規制に踏み込むだろう。これで中国は国際金融のトリレンマから逃れることができ、投機筋の人民元売りは経路を絶たれる
ことになる。

?ジョージ・ソロス氏が「中国のハードランディングは不可避」と発言し、人民元や香港ドルなどのアジア通貨売りを宣言したことにより、中国危機の焦点が人民元と外貨事情にあることが鮮明になったが、今後事態は安定化していく可能性が高まる。
?2014年6月から2016年1月末までの19か月累計で、中国の外貨準備高は7600億ドル(3.99兆ドル-3.23ドル)と著しく減少した。これに同期間の推定経常黒字額4000億ドルを加えると、合計で1.1兆ドル以上の巨額資本が中国から流出したことになる。この急減する外貨準備、急増している資本流出、人民元の先安観に歯止めをかけること、それが焦点であったが、歯止めがかかるという可能性が出てきた。そうなると中国は財政と金融政策の総動員により、経済成長の立て直しも可能となる。中国発国際金融危機の可能性は(将来は別として当面は)著しく小さくなったといえる。

■石油価格底入れのコンセンサス形成、石油が悪役から善玉へ
?
原油情勢も世界的リスクオフムードを一変させる
要素となるだろう。
?
第1に原油価格に底入れの気配
が鮮明になった。回復のペースに強弱はあるものの、今後現在の30ドル/バーレル以下に下落をすると予想する専門家は見当たらなくなっている(図表3)。ペースはともかく今後の石油価格上昇は、産油国、資源企業のリスクを軽減するものとして、市場にとって好材料となるだろう。

?
第2に消費国にとって原油価格の下落の恩恵がこれから顕在化することも大きい。図表4に見るように、原油価格下落が先進国経済に対するプラス要因として顕在化するには18カ月のタイムラグが必要である。2014年夏場からの石油価格暴落の恩恵が今ようやく米国の家計に及び始めたところである。ガソリン価格下落による余剰が次の支出にまわり始める
局面に入った。
?2014年夏場以降今日まで、原油価格下落はもっぱらマーケットにとってマイナス要因であった。産油国・資源企業の収入減、産油国による世界的リスク資産・株式売却、産油国・資源国の通貨下落というマイナス要素のみがクローズアップされ、大きくリスクオフムードを高める原因となってきた。しかしこれから石油がリスクオンの推進役になる。産油国・資源企業の収入の底入れと消費国の需要増というダブルのプラス効果が市場のムードを一変させるだろう。

■懸念一掃、年初のリスクオフムードは一変へ
?年初の世界的な株式大暴落により、人々はリーマンショック級の深刻な経済金融危機がやってくるという恐怖におののいた。上海総合インデックスは昨年の高値から49%下落、次いで香港のハンセン指数が36%、ドイツDAX指数30%、日経平均は28%下落と日独は中国・香港に次ぐ大暴落になった。このような
日本、ドイツや中国の株価の動きは明らかにリーマンショック並みであった(もっともアメリカのダウ工業株指数は15%安とリーマンショック並みというにはほど遠い安定ぶり)
。2016年の世界リセッションシナリオ、あるいは中国発の国際通貨危機シナリオが織込まれたのである。
 しかし
当面、その可能性は著しく低くなったと思われる。米国経済が堅調でリセッションに陥る可能性は考えにくいこと、中国の危機封じ込め策が奏功し人民元暴落と世界金融危機は回避されること、この2つが見えてくれば日経平均は現在の1万5000~1万6000円というレベルから鋭角上昇し、短期間に1万9000~2万円の急落前の水準に戻るのではないか。G20が主張するように今のマーケットは過剰にリスクを織り込んだが、中でも中国売りの代替手段として過剰に売り込まれた日本株は大きく戻る可能性があるのではないか。
<中略>


■決定的プラス要因、米国信用状況
?このように考えるとやはり米国の経済の確かさが鍵となるが、その検証にあたって
米国の信用事情に多くのポジティブ要素が満ちている、ことが特筆される。
 第1に、信用循環がまだ拡大途上にあることが指摘される。

<中略>


 次の信用循環のボトムは2021年、あと5年先であり、今の時点で信用拡大が止まってしまうというのは過去の規則的な循環から見てかなり無理がある。
?過去の規則性、経験則のみならず貸し手の事情、借り手の事情も信用拡大の持続性を正当化している。貸し手の事情とは中央銀行がインフレの心配により信用の蛇口を閉めること、市中銀行がバランスシート上の不安から与信を絞ることであるがそのような状況にないことは明白である。

<中略>

?このように信用循環を過去の経験的なサイクル、貸し手の事情、借り手の事情という観点から検証すると、
アメリカの経済は信用収縮からリセッションに陥るなどということは考えにくいということが分かる。これはリーマンショック時と今日との決定的な違いである。

?またエネルギー関連企業の財務体質悪化、エネルギー関連企業の破綻、エネルギー関連融資の不良資産化等が金融不安連鎖をもたらす懸念も語られているが、それも誇張された見方である。

<中略>


?それにしても、このような信用状況の下であるにもかかわらず、
なぜ仕掛け的な売り、リスクオフが見事に成功してきたのだろうか。それは、今のマーケットではかなりの市場参加者が中央銀行を小馬鹿にし、何やっても無理、中央銀行ができることはなくなったと、中央銀行に刃向ったポジションを取ろうとしているためであろう。本当にそうだろうか。米国の市場には "Don’t fight theFed" という金言、つまり中央銀行がやろうとしていることに逆らったら負けるという金言があるが、それはいつでも世界のどの市場にも(もちろん現在の日本においても)貫いている金言である。なぜなら中央銀行は結果責任を負い、それを実現するための無限の弾薬を持っている主体だから。傍観者、無責任の評論家や投機家とは違うのである。

 
年初の世界金融市場を支配したリスクオフムードはリスクオンへと、いったん大きく転換するのではないか。

 今回の世界同時株安の原因は、中国経済の成長の減速と、原油価格の暴落に伴うオイルマネーの株式売却とそれに便乗したファンドの空売り攻勢との分析が定着してきています。
 武者氏は、原油価格も現在の30ドル/バーレル以下に下落をすると予想する専門家は見当たらなくなっていると、下げ止まっていることをあげておられます。

 中国経済減速への対応策としての、中国の株価や資本移動等の金融規制強化の容認。原油価格の下げ止まり。米国経済の健闘で、リスクオフムードは、リスクオンへいったん大きく転換すると、武者氏は結論づけておられます。
 是非、そうなってほしいものです。ただ、「いったん」の言葉がある様に、中国の資本移動、株価・為替の規制・管理といった例外の承認、投機筋と各国中央銀行との戦いが方策で、中国経済のバブル崩壊危機を抱えるファンダメンタルの基本的な改善や、過剰生産への協調対策が、いまひとつな点が残っていますので、「いったん」が外れる様、引き続き各国の連携が求められるのですね。



 # 冒頭の画像は、G20 上海 に出席した、麻生財務相と黒田総裁




  カリガネソウと蜂


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