遊爺雑記帳

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同盟関係復活を外交の柱と言うバイデン氏 それはどの同盟関係なのか?

2021-01-03 01:23:56 | 米国 全般
 バイデン民主党新政権がスタートする今年。トランプ政権時代とは変化するものがいろいろ取沙汰されていますが、世界に大きく影響を及ぼすのは当然外交政策。
 選挙戦では重要な争点とはならず、人種差別や、コロナ感染拡大など国内問題が勝敗に影響を及ぼしたと言えるものでした。
 そもそも国民の関心は、自分たちの生活に直結する国内問題であり、選挙の票に外交や安全保障は繋がり難いもので、米国でもその傾向は強いとのことのようですね。
 しかし、世界への影響力の大きい米国政府。世界にとっては、その外交政策や安全保障政策の影響は大きく歴史を変えかねない。
 アメリカファーストを掲げたトランプ政権に対し、同盟重視を唱えるバイデン新政権。その同盟とはどんな同盟なのでしょう。

 選挙戦中にバイデン氏が掲げていたのは、トランプ政権時代に対立が生じた欧州諸国との関係修復優先。
バイデン氏、協調外交まず欧州: 日本経済新聞 2020年11月12日

【ワシントン=中村亮】米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領が外交政策で政権移行の準備を加速している。10日には英独仏の首脳と相次いで電話し、安全保障や気候変動での協力を確認した。トランプ政権下で揺らいだ米欧関係の修復を外交の最優先課題に位置づける姿勢が鮮明になった。

「米国が戻ってきたと伝えている。米国は孤立しない」。バイデン氏は10日、地元の東部デラウェア州で欧州首脳との電話協議の内容について、こう強調した。

バイデン氏は同日、英独仏やアイルランドの首脳と安保や経済関係をめぐり電話協議した。9日にはカナダのトルドー首相とも電話した。7日に当選が確実となった後に電話した外国首脳はいずれも西洋諸国だ。米欧の同盟関係を重視するバイデン氏の外交方針が浮かび上がる。

■信頼失墜大きく
トランプ政権下の4年間で米欧関係には大きな亀裂が入った。米ピュー・リサーチ・センターが2020年夏に13カ国で行った調査によると、「米大統領が世界情勢に関して正しいことをするとの自信がある」との回答は、ドイツで10%、フランスで11%だった。

オバマ政権末期の16年に比べてそれぞれ76ポイント、73ポイント下がった。日本では同53ポイント、オーストラリアでは同61ポイント下がったが、欧州での米国への信頼失墜の度合いが大きい。

米欧の関係修復の具体策になるのが、トランプ政権が国際枠組み「パリ協定」から離脱した気候変動対策だ。英国のジョンソン首相は電話で、21年11月に英国で開催予定の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)にバイデン氏を招待した。

バイデン氏は21年1月20日の政権発足と同時にパリ協定に復帰宣言する意向だ。化石燃料への依存を下げて「脱炭素」の経済をめざす方針は欧州諸国と共通する。

■NATOで連携
安全保障面でも、バイデン氏は欧州首脳に対し、北大西洋条約機構(NATO)の連携を強化する方針を伝えた。

トランプ氏はNATO加盟国の多くが国防費支出を国内総生産(GDP)の2%以上に引き上げる目標を達成していないと批判し、NATO同盟の根幹である集団防衛の義務を履行しない可能性を公然と示していた。米欧の足並みの乱れは欧州が最大の軍事的脅威とみなすロシアに隙を与えかねない。

国防費支出の目標はオバマ前政権時代の14年にNATOが合意したものだ。バイデン政権も国防費支出を増やすよう欧州に引き続き求める公算が大きい。しかし元国務省高官は「米国の集団防衛への確約が揺らぐほどの欧州批判は公の場で控えるだろう」とみる。

欧州との連携は中東政策を進めるうえでも不可欠だ。バイデン氏はトランプ政権が離脱したイラン核合意への復帰を探る半面、合意の対象外となっている弾道ミサイル開発や人権侵害の停止をイランに促す考えだ。復帰条件をイランと交渉する場合には、核合意参加国の英独仏との事前の擦り合わせが必要になる。

内戦が続くシリアをめぐってもトランプ氏は米軍の完全撤収を突然表明し、のちに撤回して混乱を招いた。治安悪化に伴ってシリアからの難民の欧州流入が急拡大して「難民危機」が再発する事態を恐れる欧州諸国はトランプ氏の独断に懸念を強めていた。

 ただし、新型コロナ感染の発生源となり、初期の隠蔽が世界への感染拡大の主因となった事。にもかかわらずマスク外交で覇権拡大しようとする対中非難。香港の一国二制度の国際公約を破棄した「香港国家安全維持法」の強行施行。ウイグル、チベットの民族存続を犯す人権無視政策。南シナ海や東シナ海の尖閣諸島への軍事力を伴う不法占拠や侵略のエスカレート。これらに米中「新冷戦時代」突入があり、今日では、対中交易の利益で腰が重かった欧州勢もその思い腰を上げ、トランプ政権が推進した対中包囲網に参画、包囲網が構築され始めてきていますね。
 米国議会も与野党が、中国の覇権拡大への対応策では協調しています。

 先週、中山防衛副大臣はロイターに対し、中国が攻撃的なスタンスを香港以外の地域に拡大することを懸念していると語ったのだそうです。
 そして、次の標的の一つは台湾だろうと。
 さらに、今のところジョー・バイデン氏は台湾に関して明確な政策を示したり、発表を行ったりしていないと指摘。もし中国が「レッドライン」を越えるようなことがあれば、バイデン氏は大統領としてどう対応するのかと問いかけたのだそうです。

 米国の政権交代の混乱の隙をついて、中国が国共内戦以来の懸案事項の台湾の武力併合に乗り出すかの姿勢を指摘する声が多いのは、諸兄がご承知の通りで、台湾への武力侵攻には、太平洋側からの侵攻が必須で、沖縄の米・海兵隊への抑えとして、尖閣の領有も視野にあるとの声も聞かれますね。

 台湾がその意に反して独立性を失えば、地政学的な激震が走ることとなり、太平洋地域の勢力バランスは決定的に中国有利へと傾く。それは世界の安全保障や貿易に劇的な影響を及ぼすだろうとWSJの社説。
 
【社説】バイデン氏の台湾政策、日本が抱く懸念 - WSJ 2020 年 12 月 29 日

 2020年の米大統領選キャンペーンは、外交政策の内容に乏しかったが、ジョー・バイデン氏が最も多く言及したのは同盟関係の復活だった。だがどの同盟関係なのか? バイデン氏の大統領就任まで4週間足らずとなる中、アジア太平洋の同盟国の一部は懸念を抱いている。

 先週、日本の防衛当局者の文民ナンバー2である
中山泰秀・防衛副大臣はロイターに対し、中国が攻撃的なスタンスを香港以外の地域に拡大することを懸念していると語った。そして誰もが危惧するように、次の標的の一つは台湾だろうと述べた

 さらに、
今のところジョー・バイデン氏は台湾に関して明確な政策を示したり、発表を行ったりしていないと指摘。同氏はそれをすぐにでも聞きたいと述べた。そうすれば、日本側もそれに従って台湾への対応を準備できるからだという。ロイターによると、同氏はこんな問いも投げかけた。もし中国が「レッドライン(越えてはならない一線)」を越えるようなことがあれば、バイデン氏は大統領としてどう対応するのか?

 中国政府の強硬派は、民主主義の台湾について分離独立を求める一地方とみなし、中国の統制下に置こうと必死だ。同時に、台湾の先進的なマイクロチップ技術も手に入れたがっている。一方、台湾の民意は統一とは逆方向に動いている。特に中国が条約義務を破り、香港の民主化運動参加者を逮捕している今はなおさらだ。
中国の軍事行動が、バイデン氏の任期中に幅約177キロメートルの台湾海峡を越える可能性は排除できない

 
台湾がその意に反して独立性を失えば、地政学的な激震が走ることとなり、太平洋地域の勢力バランスは決定的に中国有利へと傾くだろう。アジア諸国は米国との関係を見直す必要が出てくる。それは世界の安全保障や貿易に劇的な影響を及ぼすだろう。

 
米国が目標を置くべきは抑止だ。そのために何よりもまず台湾を武装させ、たとえ米国の援護がなくても、中国が侵攻すれば高い犠牲を伴うようにすべきだ。また米国はこれからも、台湾の防衛戦に向けた軍備の代化や民間計画を支援し続けるべきだ

 ドナルド・トランプ大統領率いる現政権は、ミサイルや機雷、無人機を含む台湾への武器売却を大幅に拡大した。だが
中国はバイデン氏に対し、バラク・オバマ前大統領が取った融和的政策に戻るよう圧力をかける公算が大きい。恐らくは気候変動を巡る約束と引き換えにして。また中国は、米高官の台湾訪問を認める現政権の方針を、バイデン氏が続けるどうかを見極めようとするだろう。それは台湾の自治に対する米国の関心度を示すからだ。

 
バイデン氏がきっぱりと米国は台湾の防衛にコミットすると表明する可能性は低い。だが、台湾周辺海域における中国の脅威や軍事演習は増大の一途をたどっている。もしバイデン氏がアジアの米同盟諸国を安心させたいのであれば、台湾は同氏にとって最初の大きな試金石となるだろう。

 米国が目標を置くべきは抑止だとWSJ。
 まず台湾を武装させ、たとえ米国の援護がなくても、中国が侵攻すれば高い犠牲を伴うようにすべきだ。また米国はこれからも、台湾の防衛戦に向けた軍備の代化や民間計画を支援し続けるべきだと。つまり、トランプ政権の直近の政策の継続。(議会与野党も同意)
 
 だが中国はバイデン氏に対し、バラク・オバマ前大統領が取った融和的政策に戻るよう圧力をかける公算が大きいと。
 しかも、バイデン氏がきっぱりと米国は台湾の防衛にコミットすると表明する可能性は低いとWSJ。
 もしバイデン氏がアジアの米同盟諸国を安心させたいのであれば、台湾は同氏にとって最初の大きな試金石となるだろうとも。

 バイデン氏の同盟重視とは、どの同盟関係なのか。欧州諸国優先なのか。
 昨年10月、日米豪印の4か国外相が東京に集結し連携強化を確認した、「セキュリティダイヤモンド構想 」「クアッド(Quad)」の継承や、日米独仏英の東アジアでの対中牽制行動の維持・継続がなされるのか。
 中国封じ込めに、世界の自由主義国が動き始めた - 遊爺雑記帳

 欧州勢も注力し始めた対中覇権拡大牽制。チャイナゲート問題を抱えるバイデン政権の、アジアでの外交、安全保障政策が注目されます。



 # 冒頭の画像は、英海軍の空母・クイーンエリザベス




  この花の名前は、ローズマリー・トスカナブルー


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暴かれた中国の極秘戦略―2012年台湾乗っ取り、そして日本は…?




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