オバマ政権の外交政策が、キレを失い千々に乱れ、そのダッチロール振りの度を増しているのは、シリアの化学兵器使用への対応で顕著となり、今回のウクライナの内紛とロシアの介入への対応の口先だけの介入振りでその混迷度合いは一段と顕著になってきました。
日米関係でもその影響は少なくなく、安倍政権との親和性と、中韓の歴史認識を掲げた日米同盟に亀裂を生じさせるプロパガンダに揺れ動かされている始末です。
世界の警察を降りる宣言をしたオバマ政権なのですから、従来の米国とは変わって当然というのがオバマ氏側の論理なのかもしれません。変わろうとしているオバマ・米国は何処を目指しているのか、注視して日本の進む道を選んでいかねばなりません。
ブレるオバマ政権ですが、良い方にブレて軌道修正したのが、中国のADIS設定への対応。
記事が指摘する通りで、二兎を追い混迷する米国の姿勢が、G2を主張して最初は門前払いにされていた中国がついには、二大国の新しい時代と米国にも言わせるまでに付け入ったのですね。
ラッセル国務次官補が、日米同盟を重視し、告げ口外交の韓国が掲げる歴史問題では、日韓の仲介の労をとっていただいているのには感謝申し上げます。ただ、当初は長官のクリントン氏が自らルーピー鳩がわけのわからない言動を重ねても、日米同盟の絆を示していただいていましたが、現状は次官補のかたになったというのは、これが新しいオバマ政権の意思と受け取るべきでしょう。
そして、その日本重視を唱えるラッセル国務次官補でさえも、日米同盟や米韓同盟は中国を対象としていないと明言するのですね。中国が敵国と明言しろとは言いませんが、それでは何が目的の日米同盟か!これこそが現状のオバマ政権。完全に中国ペースに巻き込まれてしまっています。
米国は、北朝鮮と核縮小・撤廃について交渉をし、何度も同じ轍を踏み臍を噛んできたことを反省しなければなりません。
朝鮮民族も、漢民族も同じ穴の狢です。考え方や行動パターンは似ています。
思いやりにはつけ込んでくるし、親切を受けても忘れますし、対決や摩擦を恐れる姿勢の結果がどうなるかは、今の日韓、日中関係での日本のやられ放題の惨状をみれば明らかでしょう。
目覚めよ米国。自立の自覚を持て日本。
# 冒頭の画像は、3月4日 上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言するラッセル国務次官補
この花の名前は、ツリフネソウ 撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月 撮影)
↓よろしかったら、お願いします。
日米関係でもその影響は少なくなく、安倍政権との親和性と、中韓の歴史認識を掲げた日米同盟に亀裂を生じさせるプロパガンダに揺れ動かされている始末です。
世界の警察を降りる宣言をしたオバマ政権なのですから、従来の米国とは変わって当然というのがオバマ氏側の論理なのかもしれません。変わろうとしているオバマ・米国は何処を目指しているのか、注視して日本の進む道を選んでいかねばなりません。
ブレるオバマ政権ですが、良い方にブレて軌道修正したのが、中国のADIS設定への対応。
運航制限批判支持広がる 民間機 日米、中国けん制に成果 (3/12 読売朝刊)
中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)をめぐり、日米両政府が、公海上空を飛行する他国民間機の運航を制限することは疑問だと訴える文書を国際民間航空機関(ICAO)に提出したことに、主要国からの支持が広がった。中国が南シナ海にもADIZを設定する動きを見せるなど、脅威が増していることに、国際社会は警戒を強めている。
ICAO理事国36か国のうち支持したのは、少なくとも、韓国、英国、ドイツ、豪州、カナダの5か国で、他にも複数あるという。不支持は中国やロシアなど一部にとどまった。中国と自国ADIZが重なる韓国の支持も取り付けたことで、政府関係者は「中国の脅威認識を日米で広げるのに成功した。特に韓国は大きな成果だ」と語った。
中国が2013年11月下旬に東シナ海に設定したADIZは、沖縄県・尖閣諸島や公海の上空も対象にし、地域に緊張をもたらしている。中国は各国の航空各社に飛行計画の提出を求め、指示に従わなければ中国軍による緊急措置を取ると威嚇しているためだ。
文書は、各国の航空管制が管理している飛行情報区(FIR)の外側を飛ぶ民間航空機の運航を制限する権限はないことの確認も求めた。
日米が強い結束を示した背景には、中国が東シナ海にADIZを設定した後、日米の歩調が合わなかったことへの反省がある。
当時、米政府は航空会社に中国当局への飛行計画提出を容認し、日本政府と対応が分かれた。このままでは東シナ海と南シナ海の飛行の自由にも影響が出るとみて、毅然と対応することにしたものだ。
中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)をめぐり、日米両政府が、公海上空を飛行する他国民間機の運航を制限することは疑問だと訴える文書を国際民間航空機関(ICAO)に提出したことに、主要国からの支持が広がった。中国が南シナ海にもADIZを設定する動きを見せるなど、脅威が増していることに、国際社会は警戒を強めている。
ICAO理事国36か国のうち支持したのは、少なくとも、韓国、英国、ドイツ、豪州、カナダの5か国で、他にも複数あるという。不支持は中国やロシアなど一部にとどまった。中国と自国ADIZが重なる韓国の支持も取り付けたことで、政府関係者は「中国の脅威認識を日米で広げるのに成功した。特に韓国は大きな成果だ」と語った。
中国が2013年11月下旬に東シナ海に設定したADIZは、沖縄県・尖閣諸島や公海の上空も対象にし、地域に緊張をもたらしている。中国は各国の航空各社に飛行計画の提出を求め、指示に従わなければ中国軍による緊急措置を取ると威嚇しているためだ。
文書は、各国の航空管制が管理している飛行情報区(FIR)の外側を飛ぶ民間航空機の運航を制限する権限はないことの確認も求めた。
日米が強い結束を示した背景には、中国が東シナ海にADIZを設定した後、日米の歩調が合わなかったことへの反省がある。
当時、米政府は航空会社に中国当局への飛行計画提出を容認し、日本政府と対応が分かれた。このままでは東シナ海と南シナ海の飛行の自由にも影響が出るとみて、毅然と対応することにしたものだ。
中国がADIZを設定した直後に、オバマ政権の外交の重鎮とされるバイデン副大統領が来日し、当初は中国へ抗議すると息巻いて日米共同での抗議への期待が高まりましたが、安倍首相との会談後の共同会見で、安倍首相の露わな不快感を示す表情は稀有なことで驚いた方が多かったのでした。
かたくななTPPでの関税撤廃要求で平行線をたどったことによるものだとか、中国のADIZは領空と誤解した様な内容で認められないとする安倍首相に対し、優柔不断な姿勢のバイデン副大統領への不満を示したのだとか、安倍首相の不機嫌な理由は謎のままです。
記事にある様に、早々に民間機のフライト計画提出停止を示した日本と、民間機の計画提出を容認した米国の対応の違いは、中国を喜ばせて余りあるものでした。
安倍首相の靖国参拝が、中国を利する行為と非難しますが、この誤った姿勢こそ、中国に付け入る隙があると誤ったメッセージを送ることになるものでした。
日米の歩調の乱れが、中国に誤解を生んだことに反省し、中国の無謀さを共同で世界に訴え賛同が得られたのはなによりでした。
余談ですが、ロシアが反対に回ったのは、対米対抗の気持ちは解りますが、近年、中国の覇権拡大を懸念し日本接近を図っているはずのロシアが、日本の脅威を増す中国の行為についたのは意外です。悪くても中立の態度のはずですが。となると、ウクライナでのロシアの軍事行動には、日本も欧米と歩調を合わせ毅然として反対の姿勢を示しておかねばならなくなります。
話が横道にそれました。
混迷するオバマ政権は、いま日本をどうみているのか。日本との絆も大切、中国も大切と揺れ動いていると指摘している記事がありました。
日米同盟も中国も大切にしたいオバマ政権 日本との絆を確認しつつ中国にも配慮:JBpress(日本ビジネスプレス)
米国のオバマ政権はいま日本をどう見ているのだろうか。特に日米同盟への態度が気がかりである。
安倍政権への非難に没頭する朝日新聞などの報道を見ていると、いかにもオバマ政権が安倍晋三首相の靖国参拝や歴史認識を理由に日米同盟を軽視し、場合によっては有事の日本防衛の誓約さえ守らないような構図が浮かんでくる。ところが現実はだいぶ異なるようだ。
オバマ政権の対日関係担当の責任者の1人、ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア太平洋問題担当)の最近の議会証言からは、靖国問題などがあってもオバマ政権がなお日米同盟を揺るがせにしない姿勢や、安倍政権の集団的自衛権の解禁を歓迎する態度が鮮明に伝わってくる。ただしその一方で、中国との対決をあくまで避けたいとする対中融和の傾向も顕著だと言える。
日米同盟の重要性を改めて強調
ラッセル国務次官補は3月4日の上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言した。小委員会が開いた「米日同盟、米韓同盟の機会と挑戦」と題する公聴会での証言である。ラッセル次官補の証言は、いまのところのオバマ政権全体の対日政策の集約と見なすことができよう。
この証言の内容を点検すると、次のような特徴が明確となる。
第一に明白なのはオバマ政権の日米同盟重視の姿勢である。米韓同盟よりも先に日米同盟を挙げて、米国にとってのその重みを説くのである。
「米日同盟はアジア・太平洋の平和と繁栄の基礎である」
「オバマ大統領の政策目標は、米国と日本との強く、成長する絆なくしてはまったく達成できない」
「われわれの同盟関係の絆がいまより強いことはなかった」
「米国はいまも日本との同盟を外交的、軍事的に強化し、近代化することに努めている」
「アジア・太平洋地域での米国のリーダーシップ継続にとって、米日同盟の重要性はいくら強調しても十分ではない」
ラッセル次官補の証言ではこのような言明が相次いだ。外交的な修辞(レトリック)という要素を割り引いても、オバマ政権が対日同盟の堅持策をないがしろにしていないことだけは明確だといえよう。
ラッセル次官補はそのうえで在日米軍の役割や日本側の防衛費増額などを賞賛し、2013年には日米安全保障協力に関して特に2つの重要な成果があったと強調するのだった。
その1つは同年10月の「2プラス2協議」である。周知のようにこの協議は日米両国の防衛、外務の両閣僚が4人で顔を合わせる安保協議である。昨年は日米共同の防衛ガイドラインが調整された。2つ目は、昨年12月の沖縄の普天間基地の辺野古への移設に対する沖縄県の仲井眞弘多知事の承認措置だった。
日本の集団的自衛権の行使には「賛成」
ラッセル次官補の証言のなかで第2の特筆すべき点は、オバマ政権が安倍政権の集団的自衛権解禁に全面的に賛同していることである。
<中略>
要するにオバマ政権は、日本の集団的自衛権の行使を可能にする動きには、一貫した賛成を表明しているのだ。
だが日本の大手メディアの多くはその現実を正面からは報じない。その一方で、オバマ政権が安倍首相の靖国参拝に「失望」を表明したと大々的に報道し続ける。同じオバマ政権の意向なのに、一方はほぼ無視、他方は金科玉条、究極の切り札のように偏重するのだ。
ラッセル次官補は、証言の前半でこうした日米同盟の重要性を何度も強調し、米韓同盟についても同様に、その重要性を力説した。いわゆる歴史問題に関する日本側への批判や抗議めいた言辞は皆無だった。後半の「アジア地域での戦略的な協力」という部分で以下のように述べるだけだった。
「現段階ではわれわれの共通の協力や利害関係にもかかわらず、日韓関係は緊迫している。同盟諸国同士のそうした緊迫は懸念の対象であり、日韓両国の誠意ある対応を必要とする課題である。難しい歴史問題への対処には、慎重さと自制を示す必要がある。共に癒やしを得られる方法で処理することが重要だ。米国は日韓両国と密接に協力し、緊張を減らす措置を取ることを奨励している」
この言明には、オバマ政権が日韓両国を平等に扱い、問題の解決にはまず当事者の日韓両国こそが対応すべきだとする姿勢が浮かび上がる。日本だけに「失望」をぶつけるという日本の大手メディアが描く構図はまったく見られない。
さて同次官補の証言の第3の特徴は、オバマ政権全体としての中国への遠慮である。
証言は、中国が東シナ海で防空識別圏(ADIZ)を突然かつ一方的に宣言したことを批判する。南シナ海での軍事がらみの強引な領有権主張にも、受け入れる姿勢は見せない。特に尖閣諸島については、「現状を違法あるいは非外交的な方法で変えようとする試み」として反対を明言する。
ところが、中国という国に対しては、証言の全体の語調がいかにもソフトであり、融和の傾向が強いのだ。アジア・太平洋全域の安定や平和を崩す、あるいは崩し得る動きとしては北朝鮮を明記するだけで、中国にはそうした扱いをしない。むしろ中国は米国と共に地域全体の平和や安定に寄与する存在であるかのように描いていくのだ。
ラッセル国務次官補の融和的な対中国姿勢は、次の証言に象徴されていた。
「北東アジア地域での米国の同盟関係(日米同盟や米韓同盟)は、そのいずれもが中国を対象とはしていないことを明確にしたい」
この発言は考えようによっては衝撃的な内容である。日本の領海や領空に頻繁に軍事的意味合いの強い侵入を繰り返し、日本の自衛艦に射撃の照準を合わせ、しかも日本領土全域を射程に収める弾道ミサイルを多数配備する中国が「日米同盟の対象ではない」というのだ。日本の固有の領土に軍事侵攻をしかけかねない中国が日米同盟適用の対象ではないとすれば、同盟の効用とはいったいなんなのか。
しかし、中国に対するこうした及び腰の姿勢は、オバマ政権が誕生したときからの一貫したトレードマークだとも言える。「アジアへの旋回」やアジアでの「空・海戦闘」新軍事態勢でも、オバマ政権は中国がその対象であることを決して認めない。明言もしない。中国をむやみに刺激して緊張をいま以上に高めることを避けたいという外交配慮ではあるのだろう。
だが、その配慮も行き過ぎれば、中国が軍事行動を起こしたときに日米同盟が有効に機能しないのではないか、という疑問をますます強めさせることになる。
オバマ政権としては、日米同盟の効用や機能は堅持したいが、実際に軍事行動の発動というような事態は絶対に避けたい、そのためには中国に対しては最大の外交配慮を払いたい、ということなのだろう。だが、そうした対決や摩擦を恐れる姿勢こそが潜在敵を増長させることも、現実の危険性として認識しておくべきなのではないだろうか。
米国のオバマ政権はいま日本をどう見ているのだろうか。特に日米同盟への態度が気がかりである。
安倍政権への非難に没頭する朝日新聞などの報道を見ていると、いかにもオバマ政権が安倍晋三首相の靖国参拝や歴史認識を理由に日米同盟を軽視し、場合によっては有事の日本防衛の誓約さえ守らないような構図が浮かんでくる。ところが現実はだいぶ異なるようだ。
オバマ政権の対日関係担当の責任者の1人、ダニエル・ラッセル国務次官補(東アジア太平洋問題担当)の最近の議会証言からは、靖国問題などがあってもオバマ政権がなお日米同盟を揺るがせにしない姿勢や、安倍政権の集団的自衛権の解禁を歓迎する態度が鮮明に伝わってくる。ただしその一方で、中国との対決をあくまで避けたいとする対中融和の傾向も顕著だと言える。
日米同盟の重要性を改めて強調
ラッセル国務次官補は3月4日の上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言した。小委員会が開いた「米日同盟、米韓同盟の機会と挑戦」と題する公聴会での証言である。ラッセル次官補の証言は、いまのところのオバマ政権全体の対日政策の集約と見なすことができよう。
この証言の内容を点検すると、次のような特徴が明確となる。
第一に明白なのはオバマ政権の日米同盟重視の姿勢である。米韓同盟よりも先に日米同盟を挙げて、米国にとってのその重みを説くのである。
「米日同盟はアジア・太平洋の平和と繁栄の基礎である」
「オバマ大統領の政策目標は、米国と日本との強く、成長する絆なくしてはまったく達成できない」
「われわれの同盟関係の絆がいまより強いことはなかった」
「米国はいまも日本との同盟を外交的、軍事的に強化し、近代化することに努めている」
「アジア・太平洋地域での米国のリーダーシップ継続にとって、米日同盟の重要性はいくら強調しても十分ではない」
ラッセル次官補の証言ではこのような言明が相次いだ。外交的な修辞(レトリック)という要素を割り引いても、オバマ政権が対日同盟の堅持策をないがしろにしていないことだけは明確だといえよう。
ラッセル次官補はそのうえで在日米軍の役割や日本側の防衛費増額などを賞賛し、2013年には日米安全保障協力に関して特に2つの重要な成果があったと強調するのだった。
その1つは同年10月の「2プラス2協議」である。周知のようにこの協議は日米両国の防衛、外務の両閣僚が4人で顔を合わせる安保協議である。昨年は日米共同の防衛ガイドラインが調整された。2つ目は、昨年12月の沖縄の普天間基地の辺野古への移設に対する沖縄県の仲井眞弘多知事の承認措置だった。
日本の集団的自衛権の行使には「賛成」
ラッセル次官補の証言のなかで第2の特筆すべき点は、オバマ政権が安倍政権の集団的自衛権解禁に全面的に賛同していることである。
<中略>
要するにオバマ政権は、日本の集団的自衛権の行使を可能にする動きには、一貫した賛成を表明しているのだ。
だが日本の大手メディアの多くはその現実を正面からは報じない。その一方で、オバマ政権が安倍首相の靖国参拝に「失望」を表明したと大々的に報道し続ける。同じオバマ政権の意向なのに、一方はほぼ無視、他方は金科玉条、究極の切り札のように偏重するのだ。
ラッセル次官補は、証言の前半でこうした日米同盟の重要性を何度も強調し、米韓同盟についても同様に、その重要性を力説した。いわゆる歴史問題に関する日本側への批判や抗議めいた言辞は皆無だった。後半の「アジア地域での戦略的な協力」という部分で以下のように述べるだけだった。
「現段階ではわれわれの共通の協力や利害関係にもかかわらず、日韓関係は緊迫している。同盟諸国同士のそうした緊迫は懸念の対象であり、日韓両国の誠意ある対応を必要とする課題である。難しい歴史問題への対処には、慎重さと自制を示す必要がある。共に癒やしを得られる方法で処理することが重要だ。米国は日韓両国と密接に協力し、緊張を減らす措置を取ることを奨励している」
この言明には、オバマ政権が日韓両国を平等に扱い、問題の解決にはまず当事者の日韓両国こそが対応すべきだとする姿勢が浮かび上がる。日本だけに「失望」をぶつけるという日本の大手メディアが描く構図はまったく見られない。
さて同次官補の証言の第3の特徴は、オバマ政権全体としての中国への遠慮である。
証言は、中国が東シナ海で防空識別圏(ADIZ)を突然かつ一方的に宣言したことを批判する。南シナ海での軍事がらみの強引な領有権主張にも、受け入れる姿勢は見せない。特に尖閣諸島については、「現状を違法あるいは非外交的な方法で変えようとする試み」として反対を明言する。
ところが、中国という国に対しては、証言の全体の語調がいかにもソフトであり、融和の傾向が強いのだ。アジア・太平洋全域の安定や平和を崩す、あるいは崩し得る動きとしては北朝鮮を明記するだけで、中国にはそうした扱いをしない。むしろ中国は米国と共に地域全体の平和や安定に寄与する存在であるかのように描いていくのだ。
ラッセル国務次官補の融和的な対中国姿勢は、次の証言に象徴されていた。
「北東アジア地域での米国の同盟関係(日米同盟や米韓同盟)は、そのいずれもが中国を対象とはしていないことを明確にしたい」
この発言は考えようによっては衝撃的な内容である。日本の領海や領空に頻繁に軍事的意味合いの強い侵入を繰り返し、日本の自衛艦に射撃の照準を合わせ、しかも日本領土全域を射程に収める弾道ミサイルを多数配備する中国が「日米同盟の対象ではない」というのだ。日本の固有の領土に軍事侵攻をしかけかねない中国が日米同盟適用の対象ではないとすれば、同盟の効用とはいったいなんなのか。
しかし、中国に対するこうした及び腰の姿勢は、オバマ政権が誕生したときからの一貫したトレードマークだとも言える。「アジアへの旋回」やアジアでの「空・海戦闘」新軍事態勢でも、オバマ政権は中国がその対象であることを決して認めない。明言もしない。中国をむやみに刺激して緊張をいま以上に高めることを避けたいという外交配慮ではあるのだろう。
だが、その配慮も行き過ぎれば、中国が軍事行動を起こしたときに日米同盟が有効に機能しないのではないか、という疑問をますます強めさせることになる。
オバマ政権としては、日米同盟の効用や機能は堅持したいが、実際に軍事行動の発動というような事態は絶対に避けたい、そのためには中国に対しては最大の外交配慮を払いたい、ということなのだろう。だが、そうした対決や摩擦を恐れる姿勢こそが潜在敵を増長させることも、現実の危険性として認識しておくべきなのではないだろうか。
記事が指摘する通りで、二兎を追い混迷する米国の姿勢が、G2を主張して最初は門前払いにされていた中国がついには、二大国の新しい時代と米国にも言わせるまでに付け入ったのですね。
ラッセル国務次官補が、日米同盟を重視し、告げ口外交の韓国が掲げる歴史問題では、日韓の仲介の労をとっていただいているのには感謝申し上げます。ただ、当初は長官のクリントン氏が自らルーピー鳩がわけのわからない言動を重ねても、日米同盟の絆を示していただいていましたが、現状は次官補のかたになったというのは、これが新しいオバマ政権の意思と受け取るべきでしょう。
そして、その日本重視を唱えるラッセル国務次官補でさえも、日米同盟や米韓同盟は中国を対象としていないと明言するのですね。中国が敵国と明言しろとは言いませんが、それでは何が目的の日米同盟か!これこそが現状のオバマ政権。完全に中国ペースに巻き込まれてしまっています。
米国は、北朝鮮と核縮小・撤廃について交渉をし、何度も同じ轍を踏み臍を噛んできたことを反省しなければなりません。
朝鮮民族も、漢民族も同じ穴の狢です。考え方や行動パターンは似ています。
思いやりにはつけ込んでくるし、親切を受けても忘れますし、対決や摩擦を恐れる姿勢の結果がどうなるかは、今の日韓、日中関係での日本のやられ放題の惨状をみれば明らかでしょう。
目覚めよ米国。自立の自覚を持て日本。
# 冒頭の画像は、3月4日 上院外交委員会のアジア太平洋小委員会で証言するラッセル国務次官補
この花の名前は、ツリフネソウ 撮影場所;六甲高山植物園 (2013年 9月 撮影)
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