風のうわさ

「今年の冬ったらさー

　世界中で猛威振るいまくって

　２月の終わり頃はもうくたくたになっちゃったから

　早めに春を起こそうとして北風ビュンビュン吹かせたけど

　ちっとも起きないんだって

　だからかんしゃく起こしちゃって

　昨日なんて雷つきの嵐になっちゃった」

「あれはひどかったねぇ

　わたしはいっぱい枝折られて痛かった・・・」

「全くやりたい放題だよね

　でもさ、もう３月に入ったんだから

　そろそろ春にも起きてもらわないとね」

「それ、たぶん大丈夫

　もうじき冬がもう変わってくれーってめそめそ（雨）し始めたら

　毎年春が目覚めることになってるから」

「ならいいけど

　だいたい担当期間は決まってるんだし

　何度となく同じバトンタッチしてきたんだから

　いい加減うまく調整すればいいのに

　なんでそうしないかな・・・」

「季節はそれぞれ一人自営業みたいなもんだから

　教えたり注意する人もいないからね」

「そう言われてみれば

　春だってスタートダッシュでお花咲かせたら

　もう疲れ切っちゃって最後は大泣き（梅雨）するし

　近頃は夏もやりたい放題して

　最後は尻すぼみな感じになってる

　安定した仕事してるのって秋だけじゃん」

「秋は最後に大仕事（紅葉）が待ってるからね

　スタートダッシュはできないよね」

「それに３か月も休んだら今度は南半球で仕事だからね

　一人で１年の半分を２４時間担当って

　結構きついよね」

「まるでブラック企業じゃん」

「言えてる」

「一見自由でよさそうと思っても

　実はいろいろあるんだね・・・」

「で、冬のやつ南半球でも猛威振るうんだろうか？」

「聞いてみたけど、いま疲れすぎてて先のことは考えられないって」

「もうかんべんしてほしいよね

　その頃こっちも南半球に行く予定だから」

「今のうちに厄払い行っとく？」

「・・・」


っていう

ちょうど通りがかった風と楠の井戸端会議の

おはなし



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