昨日はほぼ1日中
熱海の土石流の報道が流れていて
被災者のインタビューも何度か出てきたんだけど
ちょっと気になったのが
行方不明の家族を待つ方が、インタビューの終わりに
「もういいですか?」と言って去って行ったのと
ホテルに避難してる方々にお話を聞いた若い女性が
「お互いに工夫しあってると笑顔で答えてくれました」と話したこと
最初の行方不明者の家族の方は
もちろん取材の許可を取ってのインタビューだっただろうけど
今は、最愛の家族を失うかもしれない不安や
何故助けられなかったのかという自責の念で一杯になっている時期で
当時の状況を話しているうちにさらに辛くなっていったと思う
またもう一つの件は
家や家族を失わなくたって
この先の生活がどうなるかとかで不安は相当大きいと思うけど
そんな時でも人は心を許せる状態にならないと
感情を隠して笑顔で対応する
だから
一番つらい人たちの気持ちを追い詰めるような取材は
どうなのかなと思う
以前東日本大震災の時ボランティアで行った先で
わたしは主に在宅被災者の健康調査で、担当した地区を1軒1軒訪問して回ったんだけど
あるお宅で奥様が笑顔で「うちは何の問題もなく大丈夫」と調査を断られて
それでほかのお宅をあちこち回ってると
その奥様に時々お会いするようになり、あいさつを交わしていたら
ある時「うちの調査もどうぞ」と言われてお宅に入ったとたん
奥様の表情が見る間に崩れて
お話を伺うと
経営してる会社は津波で流され、ご主人は具合悪くて起き上がれなくなり
この先どうしていいかわからない、と号泣された
とにかくご主人は診察が必要だと話し、往診を依頼して
生活についてはわたしは対応がよくわからなかったので
簡単なパンフレットを渡して市役所に相談するよう話したけど(簡単にいうと私はほとんど何の助けもできませんでした)
この方の様にどんなに困っていても
なかなか周りに助けを求められないだけでなく
笑顔で何もかもひた隠しにしてしまう方だってたくさんいると思うし
自分が被災者の立場に立てば
どういう取材がいいかはある程度想像がつくはず
だから
そういう方々からとにかく一言を取るのではなくて
そういう方々が話せてよかったと思うような取材を
プロとして
そういう仕事をみせていただきたいな、って思ったし
視聴者のわたしたちだって
悲惨なインタビューを見たいとは思わない
まだ土石流発生から丸3日で
被災者の苦悩はこれからどれだけ続いていくかわからない
だから
今無理無理にいろいろ聞きだすのではなくて
ゆっくりじっくりお付き合いしてもらって
被災者の伝えたい気持ちがきちんと伝わる取材と
この事がずっと先も忘れ去られないような取材を
お願いしたいです
遊びに来てくださって、ありがとうございました