1948年から

文句たらたらどうでも日記

命がつきるとき

2024-05-04 13:32:55 | 日記・つぶやき
先月末に私と同じ立場の高齢女性(嫁の実母)が老衰のため亡くなりました。
年齢は私のほうが下ですが、食も身体も細くて、転んだり、つまづいたりの
骨折で入退院、大きな病気はなかったけれど徐々に衰弱していったようです。
話し方も立ち居振る舞いも上品で、穏やか、地味で美しい人でした。
お元気だったうちにお会いしてもっとお話ししたかった、残念です。

お焼香でその寝姿を拝ませていただいたら、年齢が近いだけに
その姿がとても身近に感じられ、自分に重なってみえてきました。
誰にでもいつかやってくる最期ですが、老いて死をむかえるまで、
どんな意識下にあるのでしょうか、分かりません。

最近読んだモーム『片隅の人生』の最後はこんな文章で終わってます。
とても心魅かれたので紹介します。(天野隆司訳ちくま文庫 p.388)

・・・手際よく家事や農園の仕事をこなしながら、その一方で、
揺るぎない静謐な心をもって、やがて自分の身に訪れる運命をじっと
待ち構えている。はたしてどんな運命が待っているのやら?・・・
それがどんなものであろうとも、人間の想像力がもたらす最上の夢が
たとえ実現したとしても、それがすべてとどのつまり、命がつきる最後には、
ただ幻でしかないのである。