ゆいもあ亭【非】日常

映画や小説などのフィクション(非・日常)に関するブログ

クロスファイアスターター:「家」は「ハウス」でも「ガバリン」でもないのだ。

2006-06-09 | 映画
「装填された銃としての生き方」というキイワードも胸に迫る原作「クロスファイア」は、才人金子修介監督の技を以ってしても、充分に納得できる映画にはなりきれなかった。

スティーブン・キング(「ファイアスターター」)へのオマージュとして書かれた宮部みゆきの原作小説はノベルズ(または厚めの文庫)上・下巻の分量だし、原作の前編に当たる「燔祭」(超能力もの中・短編集「鳩笛草」所収)の内容も盛り込んで二時間サイズの映画にしたのだから、仕方がないという気もする。

しかし、それはちょうど「ファイアスターター」の映画化作品、「炎の少女チャーリー」(ドリュー・バリモア主演 マーク・L・レスター監督)が原作ファンを絶望のどん底に突き落としたのに比べられよう。まあ、その比較でいうと、映画「クロスファイア」の方がずっと面白い映画ではある。

さてさて。

今回の主題はもう少しひねったところにある。宮部みゆきは、わたしの友人の、高校時代の友人の妹だ。(これは、まるで関係がないということである。そんなことはわかっている。ただ、世代的にとても近いということを確認しただけ。読書経験や映画経験がかなり重複しているだろうということを確認したかっただけ)。

そして、宮部みゆきのキング好き(小野不由美=「屍鬼」=も、恩田陸あたりも、キングは好きなようだが)の、恐らくスタート・ラインの部分には、ブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」があるんじゃないだろうか。

映画「キャリー」→原作「キャリー」→「呪われた町」→映画「シャイニング」→原作「シャイニング」→原作「ファイアスターター」……

こんな感じのキング体験が、若干の前後はあっても、宮部みゆきにもあっただろうな、と思うわけだ。

そこで、クロスファイア前編「燔祭」だ。パイロキネシス(念力発火)能力者ということでは「ファイアスターター」だが、念動者としての「キャリー」も宮部みゆきの頭には浮かんだのじゃないだろうか。

それゆえの「燔祭」。燔祭とは拝火教(ゾロアスター教)の祭祀のことである。そして燔祭のことを英語ではBurnt offeringsという。Burnt offeringsという題名の映画がある。監督はダン・カーチス。カレン・ブラックとオリバー・リードが出ているだけで、もう、ホラーだよな。日本公開題名は「」。そう。ユナイト・パラサイコ・シリーズとして公開された、「キャリー」に次ぐ第2弾である。

こう、想像するのだ。高校生くらいのころの宮部みゆきが「キャリー」に感動、「家」も見に行った。パンフレットで、原題Burnt offeringsが拝火教の燔祭のことだと知る。「ファイアスターター」ばりの小説を書くとき、これを題名とした……。

ありそうな話だと思いませんか?

*同じくキング原作で、ディーノ・デ・ラウレンティス製作のオムニバス映画「キャッツアイ」に、ドリュー・バリモアが続いて出演しているのは、たしかスティーブン・キングが、「炎の…」の酷さに怒りつつも、ドリュー・バリモアをより愛らしく活かせる映画をと望んで、手を貸した……という感じだったんじゃなかったかしら?

*ゾロアスターのドイツ語読みが「ツァラトゥストラ」。哲人ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」。そして、リヒャルト・シュトラウスの交響詩の序奏。「2001年宇宙の旅」。すなわち「宇宙のオデッセイ:2001」。そして「オデッセイア」……と、まあ、思考のしりとりをするとまたネタが浮かぶかも知れません。わたしの思考回路はこんな感じなんです。

誰が殺したって? ……それでは皆さんご一緒に!

2006-06-09 | アニメ
アニメネタ、第一弾は!

とあるお方のホームページにて、話題となった「パタリロ!」。

「クックロビン音頭」(MIDI検索でたどり付いた方のBlogへのリンク)のレコードを所持していると、その折、そちらに書きましたので。この機会に当時レコードに同梱されておりました「振り付け」をスキャンしてみました。

ということで、ご存知の方は

さあ、皆さんでご一緒に!

パパンがパン! あ、それ!

だーれがころした クックロビン
だーれがころした クックロビン

姑獲鳥の夏。やはり、映像に出来ない系のトリック。

2006-06-07 | 映画
昨日の「キマイラの新しい城」の読書記録で言及した「ハサミ男」。

このメインのカラクリは元来映像向きではない。それを巧みに「見せて」しまったのは良かった。

同じ頃にDVD鑑賞したのが「姑獲鳥の夏」である。

京極夏彦の原作を、実相寺昭雄が映画化したのであるが……うーん、映像は凝っているのだが、映画でこの作品世界に初めて触れた場合、この作品を面白いと言えるかどうか……難しいところだ。

しかし!

動く挿絵と考えたなら、実に「美しく」よく出来ている。

思えば実相寺昭雄といえば、かの「帝都物語」「帝都大戦」の監督(ウルトラシリーズも、ATG作品も知っているよ、もちろん! そう、SFやら推理やらを原作とする作品という共通点でこれを想起したということ!)ではないか。

原作を読んだ上で、あの場面が目前に展開される、という見かたをすれば、うん、それはそれでよいのじゃないか。

もちろん、それは「映画」としては「駄目」なのである。(似たような造りでも、思い切ってバッサリとエピソードをスリム化したらしい、「ハリー・ポッターと賢者の石」映画版の方が、未読の読者にも「納得」できる作品になっている、と感じる。ちなみに、未だわたくし「ハリポタ」未読である)。しかし、原作を読み返そうとか、その上もう一度見てみようかとか、そういう気にさせる力は「帝都」同様に、「姑獲鳥」も具えているように思う。

そういう風に割り切って、「魍魎の匣」「狂骨の夢」と《挿絵映画》として作品化してくれれば嬉しい気もする。

どうだろうか?

「キマイラの新しい城」はヒロイック・ファンタシー!

2006-06-06 | 読書
殊能将之(しゅのう まさゆき)。

凄い作家です。

「ハサミ男」でメフィスト賞を受賞。それ以前の作家的履歴もあるようなのですが、とにかくその作品で(再?)デビューしたわけです。

本格推理にして異色推理という奇跡のようなこの傑作以降、「美濃牛」という「八つ墓村」のような、「迷路館の殺人」のような、しかもとんでもないぺダントリーに満ちた作品で「名探偵 石動戯作(いするぎ ぎさく)」を誕生させ、続く「黒い仏」ではその「名探偵 石動戯作」の「神」にさえ「加護された」「超絶推理」を描き(本格推理ファンではない、ある種の作品ファンを、そのカラクリで熱狂させ)、彼のとんでもないアシスタント「アントニオ」を紹介する。「鏡の中の日曜日」では「名探偵 石動」の死を、「樒/榁(しきみ/むろ)」では純粋な「密室モノ」を提供してくれました。

「キマイラの新しい城」はそんな石動モノの、現状の最新作です。

いやいや。面白かった。

「トキオーン」の「ロポンギルズ」を巡る稲妻卿の冒険は、これ、ヒロイック・ファンタシーですね。

うーん。第一之書が幻獣の塔、第二之書がトキオーンを求めて(これに、ピクピクと、我が触角は反応!)、第三之書は嵐を呼ぶ剣。嵐を呼ぶ剣ですよ! ストームブリンガーじゃないですか!

そして、なんとまあ、凝ったヒントが!

参考・引用文献を読んでご覧なさい。
エルリック、ホークムーン、コルムの諸作が挙げられながら、同じ永遠の闘士(エターナル・チャンピオン)であるのに、先の一なる三者だけで、四者、すなわちエレコーゼの作品が挙げられていないではありませんか。

これこそ「ヒント」と思ったら、うーん、どうやら正解です。

エレコーゼは「すべての転生の記憶を持つ者」。つまり、何もかもわかっている人物なのです。

何もかもわかっている人物を、作品の中に隠してあったわけです。

これ、推理小説のネタバレではありますが、実質的には何もばらしていないという大技のレビューでございます。

*映画「ハサミ男」。あの作品が映像に出来るなんて! と思ったら、こんな方法か! ということで、原作ファンはすぐに納得の方法で出来ていました。で、原作を知らないと、結構騙されるみたい。娘(中1)は、へー、ぐらいは騙されていた様子です。

紙が燃える温度。

2006-06-05 | 映画
華氏451

レイ・ブラッドベリ原作 フランソワ・トリュフォー監督

実は買っただけで見返していないのだよ。

最大の理由は……吹替え版がついていないからなのだな。

ネタバレといえばネタバレだろうが、この作品の世界では徹底した思想統制のために文字を禁じている。従って、「本」は読むは愚か、所持することも禁じられている。

英語の消防士(fireman)が、この世界では消火を担う人ではなく、(本を)燃す人なのである。ファイアーマンである主人公は、ひとりの女性と知り合ったことをきっかけに本への興味を募らせていく……。

ラスト、本を暗誦し、各自が本そのものである人々、ブックピープルのひとりになる主人公の姿が、精神の自由ということを訴えかけて美しい……そのエンドロールに至って初めて「文字」がでるという、凝ったつくりの作品なのだが!

日本語字幕版しかないということは、冒頭「レイ・ブラッドベリ原作、フランソワ・トリュフォー監督」などというナレーションから始まるその初っ端から、「日本語字幕」という文字が画面を占領してしまうのだわ、と思うと艶消しなんだよなぁ。

*「華氏451」、451度は紙が燃える温度。だから、「華氏911」、アメリカの自由が燃える温度というのはセンスあるよね。

怪談新耳袋

2006-06-04 | 映画
実話怪談の傑作「新耳袋」。

「怪談新耳袋」はBSi(TBSのBSチャンネル)にて放映されたショート・ホラーで、実話怪談「新耳袋」を見事にエッセンスとして活かしている。

シチュエーションを示して、恐怖の立ち表れる瞬間にクライマックスを置き、見る者を戦慄させる手腕は、どの演出家もなかなか凄い。

あの「呪怨」の清水崇監督の、内山理名主演 水橋研二助演の3部作「エレベーター」「さとり」「待ち時間」は、本来は違う「実話」の断片を積み重ねることで、まったく新しいドラマを作り出している。(「第1夜」「第2夜」に所収)

木原浩勝(「新耳袋」原作者のひとり)が自身で監督した三輪明日美・ひとみ姉妹主演の「ビデオ」では、そのままの姉妹役の二人がよい。

あるいは「狐風呂」や「壁を叩く音」など、もとの実話どおりで、「原作ファン」としては感動ものだ。

劇場版」では雨宮慶太監督の「約束」のクライマックスは全身粟立つほどだし、三宅隆太監督の「姿見」に登場するアレのせいで、予告編のテレビ放映が打ち切りになったというが……まあ、そりゃあ、わかる気もするな。

初の長編「幽霊マンション」を先日見たが、主演の黒川芽以もよく頑張って、「秘密」ある役をよくこなしていた。

で、近々劇場版第3弾・2作目の長編「ノブヒロさん」が公開されるという。まあ、劇場で見ることはないだろうが、DVDになったらきっと見るだろうと思う。

主演は内山理名だそうだ。

地獄のシスター ?

2006-06-03 | 映画
地獄のシスター ? 悪魔のシスター?

マーゴット・キダーといえば「悪魔のシスター」だよね。(スーパーマンの彼女、ロイス・レインではあるまい)。(あ。そういうことではないな。デ・パルマの、結合双生児=シャム双生児=ホラーの、日本公開題名を確認するのだった……)。

「シスター・シスター/呪われた姉妹」という、500円ラインのDVDを買った。500円シリーズといえば、うっかりすると著作権切れもありそうなくらい古い映画ばかりだと思っていたので、1987年作品ということでとりあえず手に取った。しかも「地獄のシスター」という題名で、日本公開されたという。(調べたら1990年にヘラルドが配給して、公開されている模様)。

(地獄のシスター ? 悪魔のシスター?)その時頭に浮かんだことだ。そして、先述の(マーゴット・キダー云々を考えた。

そして、それからこんなことも。「地獄の貴婦人」なんて映画もあったな。あれは猟奇殺人ものだから、ホラーだよな。

同じころ、「地獄の……」というアクションものをやっていたのはチャック・ノリスじゃないかな、とかも思った。

そうだ! スティーブン・キング自身が監督した最低映画「地獄のデビルトラック」なんていうのもあったな!

「地獄の……」は怪しい映画が揃っているじゃないか。さて、この映画はどんなものか?

わずか500円で儲けた、という映画ならいいな。

しかし、いつ見る気になるか、だ、問題は。

デアゴスティーニの商売に乗ってやる!

2006-06-02 | ドラマ
このあいだ、「隔週刊ⅩファイルDVDコレクション」というのを創刊号(というか、一本目だけ)買った。創刊から随分経過していたが、ぽつんと置いてあった創刊号が例によって790円だったからだ。

で、さすがにⅩファイルの続きは、定価買いは勘弁して欲しいと思った。シーズンBOXも1万円程度で売っているし、そうでなくても2枚1,990円ラインで入手できるから。

それなのにまた「隔週刊スタートレック ベストエピソード コレクション」というのを買ってしまった。これまた創刊号が790円! まだ見ていないが、このシリーズ「ネクスト・ジェネレーション」「ディープ・スペース・ナイン」「ヴォイジャー」からのテーマ別ベスト・エピソード3本ずつの配刊。

創刊号が「スペース・バトル」とか書いてあるけれども……ボーグ・ネタ! 三本目では「ボイジャー」の女性ボーグ・メンバーの話が入っているじゃないか! (「ボイジャー」は1・2話と、「カトー(スールー)」ネタくらいしか見ていないから、このセブン・オブ・ナインとかいう女性ボーグには興味があったんだ!)

まずは、見てみよう、っと。

「催眠」「H」!

2006-06-01 | 映画
催眠」「」!

今回付けた表題、かなり怪しげな表題(タイトル)では、ある。

なんつーか、AVとかにありそうじゃない? 催眠エッチとかって……。


もちろん、「催眠」は稲垣吾郎 菅野美穂主演 落合正幸監督の作品。(エンディング曲が欲しいと数年思い続けていて、先日Amazonで買っちゃいましたよ、「Sh15uya(シブヤフィフティーン)」の「せカゝι)σおわ└) (せかいのおわり)」と一緒に。sajuの「deep inside」ね)。(TBSで放映した「続編」テレビシリーズもある。「緑の猿」ではない、「紫の蝶・連続殺人事件」ね)。

「H(エイチ)」はヨム・ジョンア(いまさら気付いたよ。この人「箪笥」の毒婦役じゃないの!) チ・ジニ チョ・スンウ主演 イ・ジョンヒョク監督の韓国映画。しかし! 「H」というタイトルはどうやら「Hypnosis」すなわち催眠の頭文字らしいのだ。(後日追記分:なまじこんなことを知っていたのが失敗のもと。ネタバレ中のネタバレでした。「H」というこの思わせぶりなタイトルが、そのままオチに関わるのでした。つまり、模倣殺人は催眠によるリモコン殺人だったのです! で、催眠支配を受けて、後半の犯行を犯しうる人物は……というよりも、最初から「催眠」がキイワードと知っていると、まるわかりなのでした、「あのふたりの出会いの場面」から既に!)

「H」は、いま見終わった範囲では「模倣犯(コピー・キャット)」ネタなのだ。

チョ・スンウ演じる猟奇連続殺人鬼は、死刑判決を受け上告しなかった死刑囚で、釜山(プサン)刑務所に収監されている。そのコピー・キャットが、同じプサン刑務所にいたことがあるのだが、死刑囚から直接指示を仰げるはずがない。

ヨム・ジョンアの演じる女刑事ミョンは、以前の事件に絡んで婚約者を失っており、この事件にも執念を燃やしている。また、チ・ジニ演じる若い男性刑事カンも、模倣犯に目前で被害者を殺され、面会したシン・ヒョンに妙な謎賭けを受け、「シン・ヒョンに実行も、教唆も不能」とする上司の意見には納得出来ないのだった……。

まだ、そこまでしか見ていないので、続きのレビューは明日……。(で、続きレビューというよりも……面白かったには面白かったのですが、ちょっと上で書いたとおり、これ以上フォローできない! ネタバレのトドメですが、「堕胎失敗により、胎児時代からトラウマを背負う」というモノも言えない設定と、「彼」の出自が語られるところで「犯人」はもう「決定」しちゃいます)。

昨夜は(知らん顔して、続きを含めて完成しちゃいま~す)と書きましたが、そういうことで知らん顔は出来ませんでしたね~。

なんだかんだと、「サイコ・ホラー」して貫けたのは「H(エイチ)」。

それに比べれば「人の精神の背後に根源的に潜む『緑の猿』」とでもいった感じで、あんなラストシーンを用意して、「催眠」という人為の向こうに、無意識の精神の闇とでもいうべき「魔界」を示唆して「スーパーナチュラル・ホラー」と化した「催眠」。エンディング曲まで含めて、わたしはこっちの方が好きだな。

*サイコ・ホラーとは、精神の異常に起因する、主に異常心理を抱えた人間の起こす事件の恐怖を描くホラー、スーパーナチュラル・ホラーとは心霊現象など超自然現象が引き起こす恐怖を描いたホラー。