くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(72)

2022-04-21 19:55:56 | 「狼おとこ」

 針は、ほかの二人にも同様に試された。そのことごとくが、柄まで突き刺さり、血も流れぬまま、引き抜かれた。気の弱い女達は、緊張の余り、その場に倒れこんでしまった。
 試練による裁判を終え、ゲリルは最後に――と、ジムが手渡した布袋を取りだした。そして、中身の宝石を手に取り、集まっていた住民達に見せた。
「これを見ろ。これらの宝石類は、昨夜我が同士によって、発見されたものだ。これら高価な貴金属は、ここにいる狼男どもによって盗まれたものだ。針の試練に加え、この盗品は合わせて決定的な証拠となる。この者どもを、異端のとがにより、有罪とする」
 ゲリルは、人々に向かって言いながら、一人ほくそ笑んだ。
 群衆は、どよめいた。アル達が狼男であった、という事実に衝撃が走った。
「あの子達が狼男だったなんて――」そう口々に囁きあった。子供達の親は、がっくりと膝をつき、自分達の愚かさを呪った。
 ゲリルは言った。「狼男の汚れた血は、きっとまだこの町にはびこっているはずだ。気をつけろ、おまえ達のすぐそばにも、汚らわしい血を隠している者がいる――」
 どよめいた群衆は、息を飲んだ。自分も異端者の疑いをかけられるかもしれない、という不安が、沈黙になったのだった。


 公開の処刑は、裁判と同じく、大通りで行われた。多くの薪が積みあげられ、アル達が十字架にかけられた。
 町の住民は、誰一人として見に来なかった。店は閉められ、人通りもまったくなく、ときおり木枯らしが吹きすぎる中、ゲリルの祈祷だけが、不気味に響いていた。
 異端審問官による狼男狩りは、やはり終わらなかった。処刑の翌日、ゲリルは町の出入り口をすべて塞いだ。兵卒と僧が、その任についた、何人であろうと、いかなる理由があろうとも、町から外へ出ることは許されなかった。頻繁に行き来していた辻馬車も、大きな車庫に眠らされ、町々から戻ってきた馬車も、それっきり街道へ出ることはなかった。闇夜に隠れて逃げ出す者がいないよう、夜間は外出が禁止された。また、町のあちらこちらでは、かがり火が焚かれた。そのそばでは、常時二人の不寝番が見張りについていた。
 毎日、何人かの男達が、ゲリルの元へ引っ立てられた。教会から聞こえる悲鳴は、決して途切れることはなかった。捕まえられた男達の家族の中には、なけなしの金や、とにかく家にある金になりそうなものを、こっそりとゲリルに渡し、裁判にかけられるのだけはまぬがれようと、必死に頼みこむ者もあった。
 ゲリルは、そうしてやって来た家族に言うのだった。
「裁判で、みんなが見守る中、無実を証明しよう」と――。
 一縷の望みを抱いた家族達は、裁判にやって来た。裁判は、試練を課せられる男達の家族だけが、見守っていた。ほかの住民達は、しっかりと閉められた窓の隙間から、こっそりとその様子をうかがっているのだった。
 町では、よからぬ噂が広まっいていた。それは、審問官に金を持っていった者は助かるのだ、というものだった。この噂を聞きつけ、捕まえられた男達を心配する家族は、なんとか助けようと、財産をなげうってでも、まとまった金を作ろうと奔走した。

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よもよも

2022-04-21 06:03:50 | Weblog

やれほれ。

そろそろ大型連休だわ。

予定は? 計画は?

未来の事なんて、今から考えたくないなぁ・・・。

この頃ネットのニュースでも

面白そうな映画のCMが流れてたりして、

なんだかワクワクすんだけど、

足も体も動きたくない・・・。

CMってば、貴のつく力士が「眠るのも稽古のうち」とかって

言ってるやつがあんだけど、妙に心に引っかかる。。

そうなんだよね。

勤め人たるもの、暇と休みと空き時間があれば、

眠るのが一番のリラクゼーションなわけよ。。

未来じゃ、すべての会社や公共施設に、

仮眠が取れるカプセルルームの設置が義務づけられるようになって

大睡眠時代が来るぅはずだ。。

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