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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(62)

2022-04-11 20:09:42 | 「狼おとこ」

 父さんは、わたしにまずいものを見せてしまったって、そんな苦々しい顔をしていた。わたしも、唾を吐きかけてやりたいほど、嫌っていた。
 でも、いまの物乞いのわたしは、どうしたっていうの? ただ座っているばかりで、誰かが助けてくれる、まだそんな夢を見ているのかしら。わたしには、あの時の物乞いさんのように、自分を訴える勇気も、ありはしないんだわ……)

「いやぁ、あれ、アリエナだわ……」

 めずらしい物を見つけたという声に続き、どれどれ、と先を争うような声が聞こえた。
 アリエナは、顔をあげてそちらを向いた。それは、学校の同級生達だった。彼女達は、しきりにこちらを指差し、落ちぶれ果てたアリエナの姿を、噂しあっているようだった。
 好奇心は、すぐにいたずら心に変わった。中の一人が、おっかなびっくり、アリエナに近づいてきた。アリエナは、黙って座ったまま、ぼんやりと無感情な視線を、彼女に向けていた。
「あっ、ほんとにアリエナだ!」
 アリエナの顔を覗きこんだ彼女は、けたけた笑いながら、友達の所へ駆け戻っていった。まるで、物珍しい拾い物でもしたようだった。
 だんだんと、同級生達はにじり寄ってきた。からかい半分なのは、わかりきっていた。
「わぁ、かわいそうなんだぁ」そういう顔は、どれも皆笑っていた。
 彼女達は、口々に勝手なことを言っては、面白がっていた。アリエナに聞こえているのにもかまわず、図々しく悪口を並べ立てた。
「狼男の妹よ」そんな言葉までもが、かけられた。
 そういえば、泣き出すとでも思ってるのかしら。アリエナはそう思って、じっと渋面を作って耐えていた。どんなことを言われたからって、簡単に涙なんか見せやしない。と何度も自分自身に言い聞かせた。
「物乞いなら、物乞いらしく『お恵みください』とか言えばいいのに。いつまでもお嬢様気取りでいるみたい――」
 アリエナは、キッと声の主を睨みつけた。その目には、もはや気落ちしたアリエナはいなかった。元気いっぱいの、たくましいアリエナが蘇っていた。

「ねぇ、食べ物くれない。ねぇ、お金持ってるんなら、置いていってよ。わたし、今日は、まだ水しか飲んじゃいないんだから。さぁ、なにかおくれよ、恵んでおくれよ」

 両手を突きだし、せかすように叫んだ。どこか演技めいたところもあったが、これがわたしなのよ、とアリエナは、気持ちが晴れやかになるような気がしていた。

「――なにもないんなら、仕事でもいい。ぼろの服でもいい。いらない物があるんなら、わたしにおくれよ。ねぇ、おくれよ」

 

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よもよも

2022-04-11 06:15:35 | Weblog

やれほれ。

なんじゃらヨーロッパの戦争が

なかなか終わらないでますます泥沼になってる感じだけど

なんか自由主義を守りたい国々ってば、

人は出さんけど武器は提供するみたいな感じで、

それって古いドキュメントなんかでよく出てくる

新しい兵器の実験みたいな使い方に似てないかい??

あれやこれやって一般人の我々が見聞きしたことのない武器が出てきて、

はじめはこれがあれば早く戦争が終わるとかって話しなんだけど

結果ますます泥沼にはまるみたいな歴史と、

被ってるんじゃないかと思うんだけど・・・。

報道で見慣れたっていうか正直見飽きた元首相が

強力な兵器のボタンを持ってる方がいいみたいな事言ってたけど

よく考えればそれって会議室で戦争やってる人達の話でさ、

鉄砲の弾の下で戦争してる人間にしてみりゃ、

遠くから声だけで脅し合いしてれば血は流れないみたいな変な考えでさ、

対して役に立たないと思わんかい??

頭冷やして考えた方がいいよ。

いったん舵を切ったら、痛い目見るまで方向変えられないのが

国だし、歴史なんだから。。

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