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くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(80)

2022-04-29 19:37:49 | 「狼おとこ」

 ビシーン、という鋭い音が、アリエナのすぐ横の壁を打った。
「ほっほ。なにをびくびくしてるんですか、お嬢さん。でも、次からは本気ですよ――」
 太った僧はうなずき、また大きく横に振りかぶった。
 と、勢いよく扉が開き、牢番の僧が吹っ飛んできた。僧は、石の床に背中から落ちると、それっきり気を失って泡を吹きだした。

「何事だ」と、ゲリルは叫んだ。

 ゲリルが扉へ近づこうとすると、異様に光るつりあがった目が、ゲリルの横を素早く通りぬけた。グゲッ、という悲鳴が聞こえたのは、そのすぐ後だった。ゲリルが後ろを振り返ると、鞭を持っていた僧が、吹っ飛んできた僧と同じく、泡を吹いて倒れていた。
「貴様……」と、ゲリルはくやしそうに言った。
 光る目の正体は、狼男に変身したグレイだった。グレイは、アリエナの手首に巻かれたロープを引きちぎると、アリエナを背に、自分が盾になるように立ち塞がった。
「ゲリル、もうこれ以上ひどいことはさせないぞ――」
「はっは、これは笑わせやがる」と、ゲリルは宙を仰いで笑った。「狼男だというから、どんな強そうな奴が現れるかと思えば、牙もない半端な小僧か」
 ゲリルは、腹を押さえて笑った。
「自分からやって来るとは、おつむまでいかれているときた。おれはな、はなっからこの時を待っていたんだよ。おまえが姿を見せるのをな」
 グレイは、アリエナをそのままに、きらびやかな僧衣を纏うゲリルに向かって、ダッと目にもとまらぬ早さで突っこんでいった。二人がぶつかり合う刹那、鉄を引っ掻く音と、銃の轟音が室内にこだました。
 ゲリルは、グレイの勢いに押され、二、三歩離れたところに尻もちをついた。その僧衣は胸の辺りから裂け、下には鋼の鎖が見えていた。

「あーっ!」

 と、アリエナは思わず声を出した。
 グレイが壁に激突し、もんどり打って倒れたからだった。その壁には血が飛び散り、肩を押さえたグレイの手の下から、血が流れ落ちていた。
「クックック、どうだ、銀の弾の威力は――」
 ゲリルは、ゆっくりと立ちあがった。その手には、拳銃が握られていた。
「狼男め、おとなしくあの世に行きやがれ」
 腰に拳銃を構えたゲリルは、肩口を押さえて懸命に後じさるグレイに近づいて行った。
 狂人のようなゲリルの笑い声が、不気味に響いていた。

「やめて!」

 アリエナは叫ぶと、ゲリルに駆け寄って腕にしがみついた。

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よもよも

2022-04-29 06:30:28 | Weblog

やれほれ。

出張明けすぐ祝日ってば、

いいもんか悪いもんか・・・。

それは置いといて、

久々地下鉄に揺られて薄ら寒くなった。。

ホームに降りた途端に行く先の地下鉄が出発して、

次の列車が来るまでぽつんと一人。

後ろの壁際にベンチがあって、

父親と子供が座ったのが、話し声からわかった。

父親は会話の端はしに英語のフレーズを織り交ぜて、

子供はキャッキャッと笑ってる。

兄弟なのか、姉弟なのか、子供は二人だと思ってたんだけど

待ってた列車が来て親子が後ろに並んだんだけど、

父親と手をつないでる子供が一人だけ。。

あれ? もう一人ってばどこ行った??

列車の中に入っても、父親が手をつないでるのは一人だけ・・・。

背中越しに聞こえてたもう一人の子供の笑い声って、

誰の声だったんだろう。。

女の子の声に聞こえてたんだけど??

冷や汗が止まらんなかった・・・。

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