くりぃーむソ~ダ

気まぐれな日記だよ。

狼おとこ(71)

2022-04-20 19:09:10 | 「狼おとこ」

「ありがとうございます」と、ジムは心の中で、やったと叫んでいた。「ありがとうございます」ジムはもう一度言った。こみあげる笑いが、止まらなかった。
「裁判で、住民達が見ている前で無実を証明しよう」と、ゲリルは宝石のネックレスを見ながら言った。「そこで、すべての疑いは晴れるであろう」
 ――――――    
 ジム達は、話し合いが成功したという報告を持って、集会所に現れた。心配そうに待っていた男達は、ジムの笑顔を見て飛び上がって喜んだ。アル達の父親は、おまえは命の恩人だ、そう言って、みんなの拍手を受けながら、ジムに抱きついた。
 そして、裁判は行われた。町の住民達がこぞって傍聴に訪れるよう、僧達は一週間も前からお触れを伝え歩いていた。当日、大通りにある噴水の前には、黒山の人だかりができていた。

「これから、この者達を、狼男の疑いがあるとして、裁判を行う」

 きらびやかな法衣を着けたゲリルが言った。後ろ手に縛られたアル達は、顔こそ赤みを失っているだけだったが、ぐったりとしていて、息をするのも苦しそうだった。それは、自白を求める拷問のためだった。外からでは見えない服の下は、それこそ血も乾かない生傷ばかりだった。
「それは、この針の試練によってだ」と、ゲリルは言うと、一本の太い針を取りだした。柄に十字を施した針は、まるで槍のように鋭く、見ただけでも目をそらせてしまいそうだった。
「みんなも知っているとおり、狼男は悪魔が作り出したものだ。この程度の針が刺さったのでは、一滴の血とて流れない。なぜなら、狼男は不死身だからだ。神を信ぜずに不死の者は、すべからく我々を滅びの道へと向かわしめる者だ。異端者は、その血をこの地上から絶やさなければならない。それが、すべての人民を救う最善の方法なのだ」
 ゲリルは僧に指示し、端に並んでいたチャールズを一歩前に出させた。人々は、息を飲んで見守った。
 長く太い針が、チャールズの腹部にあてがわれた。ゲリルは目を閉じると、聞き取れないほどの声で、神に祈りを捧げた。

「エイッ!」

 と、ほとばしる気合もろとも、ゲリルは針を突き刺した。その針は、柄までひと息に貫かれていた。しかしチャールズは、痛いとも言わず、ただ疲れたように立ちつくすばかりだった。
 ゲリルは、針を引き抜いた。そして、群衆によく見えるよう、高く持ち上げた。
「見ろっ! これが呪われた血を持つ者の正体だ。これほどの針が刺されても、血の一滴も流れない。まさにこいつは、狼男だ」
 この場面を見ていた男達は、群衆とは違った意味でどよめいた。ジムが話をつけてきたと信じ切っていた彼らは、ゲリルの裏切りを、くやしさに溢れる気持ちで見入っていた。期待を胸にやって来た父親達は、がっくりと肩を落とし、唇を噛みしめながら涙を落とした。

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よもよも

2022-04-20 06:12:41 | Weblog

やれほれ。

鳥インフルエンザの影響で、

北海道内の養鶏場で殺処分が進んでいるようだけど、

ニュース見る度にもったいないって思う。。

しかたが無いのはわかってるつもりなんだけど、

どうにかして、って思うのも仕方ないよなぁ・・・。

で、心配なのが鶏卵とか鶏肉とか値上がりするかどうかだけどさ、

これも覚悟しなきゃならないかもねXXX

はぁ。

ヨーロッパの争いもなかなか終わりが見えないし、

生活にも徐々に影響が出てきてると思うし、

先行き不透明すぎるわ・・・。

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